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『魔法少年☆ワイルドバージン』前野朋哉さんインタビュー

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映画『魔法少年☆ワイルドバージン』前野朋哉さんインタビュー

今回は、『魔法少年☆ワイルドバージン』で異色のヒーロー役を演じた前野朋哉さんに取材させて頂きました。“童貞”がテーマの一つなので、それに関わる質問を遠慮なく直球でさせて頂きましたが、とても優しく真摯に答えて頂いて本当に感謝です。

<PROFILE>
前野朋哉(まえの ともや):星村幹夫(ほしむら みきお)役
1986年1月14日生まれ、岡山県出身。2005年、『剥き出しにっぽん』で映画デビュー後、KDDI auの一寸法師・彦星役に抜擢され注目を集める。映画監督としても活動しており、岡山県PR動画ハレウッドシリーズを3年連続で担当。主な映画出演作に『桐島、部活やめるってよ』『大人ドロップ』『エミアビのはじまりとはじまり』『嘘八百』『チェリーボーイズ』『劇場版仮面ライダージオウOverQuartzer』『プリズン13』『いのちスケッチ』『MANRIKI』。『“隠れビッチ”やってました』などがある。2020年には『音楽』(声優)、『嘘八百 京町ロワイヤル』『一度死んでみた』の公開も控えている。

その“わからない”っていうのが嬉しい

映画『魔法少年☆ワイルドバージン』前野朋哉/芹澤興人

マイソン:
本作では、主人公の特殊能力は、本人の過去に紐付いたものでしたが、そういうのに関係なく、能力を身に付けられるとしたらどんな能力が欲しいですか?

前野朋哉さん:
いろいろありますけど、体だけ女性になってみたいですね。

マイソン:
中身は男のままで?

前野朋哉さん:
はい、中身は僕のままで(笑)。体だけ女性になれる能力がいいですね。

マイソン:
ハハハハ(笑)。それは女性として生活してみたいとか、女性目線が知りたいということですか?

前野朋哉さん:
はい、ちょっと女性の輪の中に入ってみたいです。

マイソン:
女子トークに混ざったり?

前野朋哉さん:
そうですね。すごく楽しそうだなと思って。でも実は気持ちは男だから、すごくドキドキしますし…、すみません、変態なんです(笑)。

映画『魔法少年☆ワイルドバージン』前野朋哉さんインタビュー
ヘアメイク:中村まみ

マイソン:
いえいえ、おもしろい能力だと思います(笑)。今回の役柄は童貞ということがキーワードになっていましたが、童貞って男性にとってどれほどコンプレックスなのかなって。他の映画でも、男性のコンプレックスとしてよく出てきますよね。

前野朋哉さん:
本人からしたら深刻な問題ではありますね。やっぱり不安というか、僕もそうでしたけど、いつ童貞を捨てられるんだろうって、学生時代は漠然とずっと抱えてきた悩みなので(笑)。

マイソン:
男子同士ではよく話題にするんですか?ある時から言えなくなる、言いづらくなるってこともあるのでしょうか?

前野朋哉さん:
言いづらくなることはないですね。僕の場合、それはなかったです。むしろ学生時代の時は童貞じゃない子の話を聞きたいというか、そっちのステージの話を聞きたいという思いがありました。やっぱり皆最初は童貞なので(笑)。

マイソン:
確かにそうですよね(笑)!

前野朋哉さん:
だから皆気持ちがわかっているので、次のステージに行った人の情報をより吸収したいという(笑)。

映画『魔法少年☆ワイルドバージン』前野朋哉

マイソン:
そういった意味では男女関係ないというか、たぶん女子もどんどん大人になった人の話を聞きたいという気持ちは持っていると思います。

前野朋哉さん:
そうですね、一緒だと思います。あと、そんなに暗いものではないというか、大学生くらいになってくると、ちょっと諦めがついてきちゃって、逆に「童貞でも良いんじゃないか?」って思う瞬間があるんです(笑)。それこそ今回もそうかも知れないですけど、作品とかにその時の気持ちを入れたりできるので。だから、何だかんだで自分から出せるものの1つとして、そういうコンプレックスって使えたりもするので、僕もそんなに早く童貞を捨てることにならなくて良かったのかなと、自分に言い聞かせています(笑)。

マイソン:
なるほど(笑)。それでちょっと映画の話からはずれるんですけど、『東京喰種 トーキョーグール』のジャパンプレミアの舞台挨拶の時に、前野さんが昔アルバイトをされていた丸の内ピカデリーの舞台に俳優として立っているというお話があって、映画ファンとして感動しました。前野さんが映画を好きになったきっかけとか、俳優さんになりたいと思ったきっかけとか作品はありますか?

前野朋哉さん:
ありがとうございます。特にこの作品、この俳優さんというのはなくて、映画館に行くっていうのが中学生の頃の一大イベントで好きだったので、どんな形でも良いから、映画の仕事に関われたら人生楽しそうだなとふと思ったのがきっかけです。

映画『魔法少年☆ワイルドバージン』斎藤工

マイソン:
いろいろな映画の仕事がある中で、俳優さんへの道がどんどん作られていったのはどういう経緯があったんでしょうか?

前野朋哉さん:
まず俳優をやるっていう選択肢は自分からではないんです。最初は映画に関わりたいと思っていたら、「だったら美大に行ったらどう?」って言ってくれる人がいて、大阪芸術大学の映像学科に入ったんです。自分達で映画を撮るなかで、最初は照明部をやりたくてやってたんですけど、露計が計れなくて挫折して(笑)、それで技術系は無理だなと花形の監督をやりたいと思って、監督をやっていたんですけど、自分の作品になかなかキャストが決まらない時があったんです。だったら自分で出ちゃおうということになって、周りのスタッフも出たほうが良いよって。その後に「前野くんはちゃんと俳優をやったほうが、監督の仕事も来ると思うから、まず俳優をやったほうが良いよ」って何人かに同じタイミングで言われたんですよね。それで、「そうなんだ!」と思って、僕自身は俳優をやる予定はなかったんですが、ちょっとずつ話がきて受けるようになりました。

マイソン:
そうだったんですね。映画が好きな学生って、映画の世界に入りたいって最初は漠然と思う人が多いと思うんですが、一旦そういう環境に入るほうがいろいろ具体的に見えてきそうですね。

前野朋哉さん:
たぶんそうですね。どうやって作っているのかがわかるので、自分は何がやりたいのかとか、何に向いているのかなって、結構ダイレクトにわかると思います。

マイソン:
前野さんのように、裏方になるつもりが表に立つほうも向いているっていう風に、ご自身で思っていたのと違うきっかけを得るということもありますもんね。

映画『魔法少年☆ワイルドバージン』前野朋哉

前野朋哉さん:
それは周りがそう言ってくれたからなんですけど、言われなかったらたぶんやっていないと思うんですよね。裏方のお仕事はやっぱり好きですし、今後もやりたいなとは思っています。

マイソン:
俳優さんとしても監督さんとしても今後の作品を楽しみにしています。で、洋画でも邦画でも良いのですが、例えば女性が主人公で、女性にしかわからないような心情を描いている作品ってあるじゃないですか。そういう映画をご覧になった時に、わからないなって思ったらどうされますか?

前野朋哉さん:
嬉しいですね、その“わからない”っていうのが。「あれはどういうことなの?」っていうのが嬉しくなるので、妻に聞いたり、その映画を観た女性に聞いたりします。

映画『魔法少年☆ワイルドバージン』芹澤興人

マイソン:
やはり奥様や周囲の女性のお話を聞いて「なるほど!」となりますか?

前野朋哉さん:
そうなる時もありますし、聞いても納得できない時は「え、そうなの?」ってなる時もありますし、異性と観に行けばそれがすぐ話せるから、すごく楽しいですね。映画が観終わった後にその話ができますもんね。

マイソン:
その観方の違いが楽しいっていうことってありますもんね。

前野朋哉さん:
あります、あります。それに相手も「そうなんだ」っていう発見があったりするので、やっぱり1つの題材でも男女の気持ちがこうも違うんだっていう風に分かれるのっておもしろいですよね。例えそれでケンカになったとしても良いのかなって思います。それってすごく良い映画ですよね。ケンカまでできるなんて。

映画『魔法少年☆ワイルドバージン』前野朋哉さんインタビュー

マイソン:
語り甲斐もありますしね。では最後にこの作品の女子にアピールしたいポイントを教えてください。

前野朋哉さん:
男性という生き物を今もすごく温かい目で観て頂いているんですけど、より一層温かい目で、観て頂けると嬉しいです(笑)。出ているキャラクター達が皆結構子どもっぽい気持ちを持っているので、直球で普段言えないこととかも結構言っちゃったりしているんです。だから観ている人も主人公になった気持ちで、告白したり、言いたいことを言っちゃっても良いんじゃないかなと思います。

マイソン:ありがとうございました!

2019年11月7日取材 PHOTO & TEXT by Myson

映画『魔法少年☆ワイルドバージン』前野朋哉/佐野ひなこ/芹澤興人/田中真琴/濱津隆之/斎藤工

『魔法少年☆ワイルドバージン』
2019年12月6日より全国順次公開
監督:宇賀那健一
出演:前野朋哉/佐野ひなこ/芹澤興人/田中真琴/濱津隆之/斎藤工
配給:Vandalism

保険会社に勤める星村幹夫は、営業成績はずっと最下位で、彼女もできたことがないまま、もうすぐ30歳になろうとしていた。社内では「童貞のまま30歳を迎えると魔法使いになる」という都市伝説が囁かれ、星村は「魔法使い」と馬鹿にされていたが、遂に童貞のまま30歳になり…。

公式サイト 映画批評&デート向き映画判定

©cinepoison

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