REVIEW

ホモ・サピエンスの涙

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ホモ・サピエンスの涙』

ロイ・アンダーソン監督が描く淡いパステル調の風景は、北欧独特の色調からくる部分もあるとは思いますが、それがとてもかわいくて、お人形達の世界を観ているような気持ちにさせられます。町も建物もインテリアも、そしてそこにいる人間もどこか愛らしさを感じさせますが、シーンの数々はとても絵画的でもあり、神様が模型の町で人形遊びをするように、人間世界を覗いているような感覚に観る者を誘います。それはまさに“神の目”を体感するような感覚です。公式サイトでは、監督自身、実際に、200年前、またはそれ以上昔の絵画から大きな影響を受けていると述べていて、監督がそれを映画として表現するにあたり、どんなことにこだわっているのかを知ると、作品への理解が一層深まります。ぜひ公式サイトの監督のコメントも合わせて読んでみてください。
そして、今回特に印象に残ったのはナレーションです。いろいろな人の人生の1シーンについて一言添えられていくのですが、ナレーションがあるシーンとないシーンがあるんですよね。それに気付いてから後半は何か法則が隠されているのか考えながら観ましたが、1度では読み解けませんでした(笑)。でも、ロイ・アンダーソン監督の作品はそういったところが魅力なのではと思うのです。いろいろな時代、いろいろな場面が出てきますが、時を越え、場所を越え、性別を越え、世代を越え、何もかも取っ払って広く広く見てみると、人間って同じようなことを繰り返して、苦しみ、喜びながら、生きているのだと気付かされます。ロイ・アンダーソン監督作品はいろいろと想像を膨らませながら観るのがおもしろいので、何度でも観て、自分なりの解釈が出てくる楽しさを味わってください。

デート向き映画判定
映画『ホモ・サピエンスの涙』

好みは結構分かれそうな映画だと思います。なので、ある程度お互いの好みがわかった上で誘うならアリだと思いますが、初デートで観るには少々チャレンジングだなと思います。でも、観終わった後に「自分はこう思った」「私はこう解釈した」と意見を交換したくなるので、映画好きのカップルや議論好きのカップルにはオススメです。うまく解説できると、リスペクトも得られるかもしれないですね(笑)。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ホモ・サピエンスの涙』

難しく考えてしまうとそのまま難しい映画に見えてしまう可能性もありますが、先入観なく子どもの目線で観ると、感覚的に楽しめる作品でもあるのではないでしょうか。派手な展開がないので、キッズは集中力が続かないように思いますが、中学生以上ならこういう作品を好きな人も出てくるのではと思います。美術的センスもくすぐられると思うので、芸術に興味がある人にも好んでもらえそうです。

映画『ホモ・サピエンスの涙』

『ホモ・サピエンスの涙』
2020年11月20日より全国順次公開
ビターズ・エンド
公式サイト

TEXT by Myson

© Studio 24

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『胸騒ぎ』 心理学から観る映画48:なぜ悪人を見抜けないのか【対人認知】

今回は、主人公一家が1つの出会いをきっかけに思いもしない事態に巻き込まれていく『胸騒ぎを題材に、対人認知の視点でキャラクター達の心理を考察します。

映画『からかい上手の高木さん』永野芽郁/高橋文哉 からかい上手の高木さん【レビュー】

こりゃピュア過ぎて、もどかし過ぎて…

韓国ドラマ『7 人の脱出』オム・ギジュン/ファン・ジョンウム/イ・ジュン/イ・ユビ 韓国ドラマ『7人の脱出』オリジナルQUOカード(500円分) 3名様プレゼント

韓国ドラマ『7人の脱出』オリジナルQUOカード(500円分) 3名様プレゼント

映画『QUEEN ROCK MONTREAL』フレディ・マーキュリー 音楽関連映画まとめ2024年5月16日号

今回は近日公開or配信予定(一部公開or配信中の作品も含む)の『ザ・ビートルズの軌跡 リヴァプールから世界へ』『アイ・アム セリーヌ・ディオン ~病との戦いの中で~』『プリンス ビューティフル・ストレンジ』他、音楽関連映画をまとめてご紹介!

Netflixドラマ『マスクガール』 マスクガール【レビュー】

どんな話なのかは知らず、調べず、直感的に…

映画『ブラックバード 家族が家族であるうちに』スーザン・サランドン スーザン・サランドン【プロフィールと出演作一覧】

1946年10月9日アメリカ、ニューヨーク生まれ。1970年、『ジョー』でデビュー。以降、『ロッキ…

映画『ハピネス』山崎まさよしさん&篠原哲雄監督インタビュー 『ハピネス』山崎まさよしさん&篠原哲雄監督インタビュー

今回は映画『ハピネス』に出演している山崎まさよしさんと篠原哲雄監督にお話を伺いました。『月とキャベツ』や『影踏み』などでもお仕事をされているお二人に改めてご一緒された感想など直撃。

映画『湖の女たち』福士蒼汰/松本まりか 湖の女たち【レビュー】

物語の主な登場人物は、100歳の寝たきり老人が不可解な死を遂げたことで疑惑を向けられる人達と…

映画『ありふれた教室』レオニー・ベネシュ ありふれた教室【レビュー】

校内で多発する盗難を解決しようとする行動が負の連鎖…

映画『ファースト・カウ』ジョン・マガロ ジョン・マガロ【プロフィールと出演作一覧】

1983年2月16日アメリカ、オハイオ州生まれ。演劇作品への出演からキャリアをスタートし…

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『MIRRORLIAR FILMS Season5』横浜流星 映画好きが推すイイ俳優ランキング【国内20代編】

今回は、国内で活躍する20代(1995年から2004年生まれ)のイイ俳優の中から、昨今活躍が目覚ましい方を編集部の独断で70名選抜し、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』ティモシー・シャラメ 映画好きが選んだ2023洋画ベスト

正式部員の皆さんに2023年の洋画ベストを選んでいただきました。どの作品が2023年の洋画ベストに輝いたのでしょうか?

映画『テルマ&ルイーズ 4K』スーザン・サランドン/ジーナ・デイヴィス あの名作をリメイクするとしたら、誰をキャスティングする?『テルマ&ルイーズ』

今回は『テルマ&ルイーズ』のリメイクを作るとしたら…ということで、テルマ役のジーナ・デイヴィスとルイーズ役のスーザン・サランドンをそれぞれ誰が演じるのが良いか、正式部員の皆さんに聞いてみました。

REVIEW

  1. 映画『からかい上手の高木さん』永野芽郁/高橋文哉
  2. Netflixドラマ『マスクガール』
  3. 映画『湖の女たち』福士蒼汰/松本まりか
  4. 映画『ありふれた教室』レオニー・ベネシュ
  5. 映画『碁盤斬り』草彅剛/清原果耶

PRESENT

  1. 韓国ドラマ『7 人の脱出』オム・ギジュン/ファン・ジョンウム/イ・ジュン/イ・ユビ
  2. 映画『FARANG/ファラン』ナシム・リエス
  3. 映画『猿の惑星/キングダム』オリジナルTシャツ
PAGE TOP