学び・メンタルヘルス

大切な人ができれば、譲れないことも変わる!?『We Live in Time この時を生きて』【映画でSEL(社会性と情動の学習)】

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映画『We Live in Time この時を生きて』フローレンス・ピュー/アンドリュー・ガーフィールド

今回は運命的な出会いを果たし、ぶつかり合いながらもお互いに正直に生きるカップルの物語『We Live in Time この時を生きて』を取り上げます。

本作の主人公は、若くして実力を認められた一流シェフのアルムート(フローレンス・ピュー)と、何もかもが上手くいかず失意のどん底にいたトビアス(アンドリュー・ガーフィールド)です。ストーリーは2人にまつわる過去の出来事と現在を行ったり来たりしながら描かれていきます。2人はとても上手くいっているようでいて、過去にはさまざまな意見の食い違いを経験していて、現在進行中の日々のなかでも、さらに大きな決断を迫られる局面にぶつかります。

映画『We Live in Time この時を生きて』フローレンス・ピュー/アンドリュー・ガーフィールド

【映画でSEL(社会性と情動の学習)】の簡単な解説はこちら
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冒頭は幸せそうな2人の様子から始まり、ユーモアのある会話から、もともと相性の良い2人であるとわかります。でも、徐々に明かされていく過去の出来事を観ると、2人とも譲れない部分があったとわかります。その譲れない部分とは、恋愛観の中でも重視される部分で、真剣交際をしたい場合に最初にここで食い違っているとわかったら、交際を諦める人も少なくない要素といえます。

映画 『We Live in Time この時を生きて』フローレンス・ピュー/アンドリュー・ガーフィールド

ただ、2人に学ぶべきは自分にも相手にも正直な点です。恐らく、多くの場合、フラれることを恐れていわずにやり過ごすパターンになりそうなところを、一方が正直に話し、もう一方も簡単に受け入れずに一旦離れたり、考えたりする期間を持ちます。

もちろん現実的にはここで別れてしまう場合も大いにあり得ます。でも、一旦距離や時間をおいたりすることで、2人は“その時”の自分の気持ちに正直に行動します。

そうした“コミュニケーション”が、カップルである間も夫婦になってからも繰り返されていくなかで、以前は譲れなかった部分でも譲歩し合いながら、関係を深めていきます。

映画『We Live in Time この時を生きて』フローレンス・ピュー/アンドリュー・ガーフィールド

SELの視点で、本作で特にみられる社会的能力は、
<基礎的社会的能力>の中の【自己への気づき/他者への気づき/責任ある意思決定】、<応用的社会的能力>の中の【人生の重要事態に対処する能力】です。

まず2人とも譲れない部分がハッキリしている点から、自分のことをよくわかっているといえます。そして、別れることになるかもしれない可能性がありながら相手に本音をぶつける姿勢は、ある意味相手を理解しているからできることでしょう。別れる覚悟を持ちながらも正直に接する点は「責任ある意思決定」といえます。

映画 『We Live in Time この時を生きて』フローレンス・ピュー

そして、特にアルムートについては、後半に大きな決断を迫られます。自分の人生、妻として母としての人生、それぞれの立場で何を優先すべきなのかとても難しい状況に置かれます。正解はないなかで、自分も大切な家族も納得がいくように彼女は悩みます。その過程では、まさに「人生の重要事態に対処する能力」が試されています。

過去を引きずり、まだ何も起きていない未来を心配するのではなく、『We Live in Time この時を生きて』というタイトルの通り、“今”を生きているという点でも、2人の主人公の生き様はとても良いお手本となります。映画でSELの題材作品としても、すごくオススメの1本です。

映画 『We Live in Time この時を生きて』フローレンス・ピュー/アンドリュー・ガーフィールド

『We Live in Time この時を生きて』
2025年6月6日より全国公開
キノフィルムズ
公式サイト
REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定

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TEXT by 武内三穂(認定心理士)

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