メディアに囲まれる現代社会では、特有の問題が次々と起きています。そうした問題に目を向けるきっかけとなる作品が、今年だけでも立て続けに公開されているということは、問題意識も高まってきたように感じます。そこで今回は、メディア社会の闇を描いた作品をご紹介します。
俺ではない炎上

2025年9月26日より全国公開
松竹
監督:山田篤宏
出演:阿部寛/芦田愛菜/藤原大祐/長尾謙杜/三宅弘城/橋本淳/板倉俊之/浜野謙太/美保純/田島令子/夏川結衣
公式サイト

REVIEW
ある日突然、身に覚えのない罪を着せられ、SNSで身元が晒され、人生を奪われるという恐ろしい状況をシミュレーションできる物語です。主人公の山縣泰介(阿部寛)は大手ハウスメーカーに務める、一見フツーのサラリーマンです。でもある日、彼のものと思われるアカウントから、犯罪に絡む画像が投稿されたことで逃亡者になります。
山縣の対応がいろいろともどかしく思える点はさておき、SNSを使っていなくてもトラブルに巻き込まれる可能性がある点が何より恐ろしいです。本作には、日頃の小さな事柄の積み重ねが大きな事態に繋がっていく様子が描かれています。自分のでき心はもちろん、周囲にいる誰もができ心で悪事を働いてしまう可能性を排除できない世の中になってきたのだなと実感します。本作を観ると、情報の取扱いに身が引き締まるはずです。
殺人配信

2025年9月26日より全国公開
ファインフィルムズ
監督・脚本:チョ・ジャンホ
出演:カン・ハヌル/ハ・ソユン/カン・ハギョン/ハ・ヒョンス
公式サイト

REVIEW
情報を拡散する力がSNSによるビジネスを発展させてきた点を全否定するわけではないものの、どんな情報でも拡散すればよしとする仕組みは、解決すべき課題の一つです。本作でも、SNSが発展した社会が生んだ深い闇が描かれています。
人気トップの配信チャンネルのストリーマー、ウサン(カン・ハヌル)は、未解決の犯罪の分析で視聴数を稼いでいます。でも、ある連続殺人事件の分析をきっかけに、身近で不穏な出来事が起こります。本作は、何もかもがエンタテインメント化されてしまう現代社会の現状を映し出しています。あらゆる立場、あらゆる形の承認欲求がどんな結末を迎えるのか、ご覧ください。
ベートーヴェン捏造

2025年9月12日より全国公開中
松竹
監督:関和亮
出演:山田裕貴/古田新太/染谷将太/神尾楓珠/前田旺志郎/小澤征悦/生瀬勝久/小手伸也/野間口徹/遠藤憲一/井ノ原快彦/柊木陽太
REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定
悪意ではなく、愛情からの捏造とはいえ、許されるのかどうか…。楽しく笑って観られると同時に、とても考えさせられる内容です。情報を受け取る側、そしてそれを伝達していく側の批判的思考にも疑問を呈しています。
でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男

2025年6月27日より全国公開中
東映
監督:三池崇史
出演:綾野剛/柴咲コウ/亀梨和也/大倉孝二/小澤征悦/髙嶋政宏/迫田孝也/安藤玉恵/美村里江/峯村リエ/東野絢香/飯田基祐/三浦綺羅/木村文乃/光石研/北村一輝/小林薫
REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定
私達は意図も簡単に情報を鵜呑みにしてしまうという可能性を実感するストーリーです。誰がどう伝えるかで同じ出来事がこんなにも真逆に見えることに驚きを隠せません。
フロントライン

2025年10月1日よりデジタル販売&レンタル開始/11月19日ブルーレイ&DVD発売
ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
監督:関根光才
出演:小栗旬/松坂桃李/池松壮亮/森七菜/桜井ユキ/美村里江/吹越満/光石研/滝藤賢一/窪塚洋介
REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定
Amazonでブルーレイを購入する Amazonプライムビデオで観る
本当に必要とされている情報を発信するのではなく、ウケが良い情報を流して利益を得ようとするのは、SNSの普及で始まったわけではなく、マスメディアの体質として昔からあったもの。コロナ禍初期にあらゆる情報が飛び交ったなか、情報を誠実に伝えようとするジャーナリストはどれくらいいたのかということも考えさせられる内容です。そして、本作は、不特定多数に発信される情報による影響は、生身の人の生活に大きく及ぶという現実も描いています。
逆火

2025年7月11日より全国順次公開中
KADOKAWA
監督・原案:内田英治
出演:北村有起哉/円井わん/岩崎う大(かもめんたる)/大山真絵子/中心愛/片岡礼子/岡谷瞳/辻凪子/小松遼太/金野美穂/島田桃依
REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定
美談の裏にあるドロドロとした現実を描いた物語。生きるために仕方なく…でよいのかどうか、本当に難しい問題です。
タンゴの後で

2025年9月5日より全国公開中
トランスフォーマー
監督・脚本:ジェシカ・パルー
出演:アナマリア・ヴァルトロメイ/マット・ディロン/ジュゼッペ・マッジョ/イヴァン・アタル/マリー・ジラン
REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定
「観客が観たい」という勝手な大義名分のもとなら何をやっても許されるのでしょうか。芸術の探求だったのかもしれませんが、1人の女性の人生を壊す可能性に想像が及ばなかった点が悔やまれます。
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TEXT by Myson
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情報は2025年9月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。