REVIEW

でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』綾野剛/柴咲コウ/亀梨和也

REVIEW

怖い、ものすごく怖い。いろんな意味で本当に怖いです。こんなことがあるなんて信じられないけれど、本作は2003年に福岡市の公立小学校で起きた実話をベースにしています。

映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』綾野剛

まず冒頭から映し出される一連のやり取りは、かなり恐ろしい描写となっています。“殺人教師”という響きもあり、一旦主人公の小学校教諭、薮下誠一(綾野剛)に対するイメージが固定されます。でも、法廷シーンで藪下は予想外の反応を見せます。そこから、視点が変わり、この出来事の真相が映し出されていきます。

映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』北村一輝

真相が明かされ始めると、すぐに自分が根拠のない情報に踊らされている人達と同じ側にいることに気づかされます。つまり、冒頭のシーンはそういう状態を観客に体感させる上で相当な効果を発揮しています。

映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』亀梨和也/髙嶋政宏

何が起こっているのかは早々にわかり、そこからが本当の怖い話といえます。俳優陣の迫真の演技のおかげもあって、観ていて、恐ろしさ、苛立ち、もどかしさというようなさまざまな感情が一気にこみ上げてきます。

映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』柴咲コウ/迫田孝也

ネタバレを避けるために具体的には書かないでおくとして、悪いのは大人の保身だなと痛感します。本作には、いろいろな立場の大人がその場しのぎの保身のため、体裁のため、自分のプライドのためというように、それぞれのやり方で保身をした結果が描かれているように感じます。

映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』綾野剛/大倉孝二/迫田孝也

同じような状況に置かれたら上手く対処できる自身が持てないほど最悪な人物を相手にするとして、根本的には問題に真正面から向き合わなければいけないと切に思いました。本作で起こっている状況はSNSの普及により、一層身近な現象になりました。これは誰にとっても他人事ではありません。

映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』綾野剛/小林薫

また、本作を観ていると、教師や学校と保護者の関係についても根深い問題があるとわかります。そこかしこに事なかれ主義が蔓延っている状況も、問題を起こす要因となっているのがわかります。本作を観ると、目が覚める部分が大いにあります。ぜひ多くの大人に観て欲しいです。

デート向き映画判定

映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』綾野剛/大倉孝二/光石研

最初から最後まで緊張感が続き、ストーリーに没頭すると思うので、デートで観ているという感覚にはなりづらいと思います。でも、観終わった後には話したくなる内容で、自分達が同じような状況に巻き込まれた場合にどう対処するか話してみると、お互いの価値観を知る機会にもなるでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』柴咲コウ

小学校で起こった出来事という点で、就学中の皆さんは身近に感じられるでしょう。自分の考えをはっきり言う、違うことは違うという、助けが必要な時はいう大切さを実感させられる内容です。また、世の中の情報にどれくらい信憑性があるのかを考えるきっかけにもなります。反面教師として学ぶべき事柄が多くあるので、観ておいて損はありません。

映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』綾野剛/柴咲コウ/亀梨和也/三浦綺羅/木村文乃/光石研/北村一輝/小林薫

『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』
2025年6月27日より全国公開
PG-12
東映
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

©2007 福田ますみ/新潮社 ©2025「でっちあげ」製作委員会

TEXT by Myson


関連作

「“でっちあげ 福岡『殺人教師』事件の真相”」福田ますみ 著/新潮文庫刊
Amazonで書籍を購入する

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年6月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『星つなぎのエリオ』 星つなぎのエリオ【レビュー】

主人公は、幼くして両親を失い、叔母のオルガのもとで暮らすことになった少年エリオ…

映画『タンゴの後で』アナマリア・ヴァルトロメイ/マット・ディロン 『タンゴの後で』トークイベント付試写会 15組30名様ご招待

映画『タンゴの後で』トークイベント付試写会 15組30名様ご招待

映画『MELT メルト』ローザ・マーチャント MELT メルト【レビュー】

いろいろな意味で残酷。絶対起きてはならない出来事…

映画『怪物』黒川想矢 黒川想矢【ギャラリー/出演作一覧】

2009年12月5日生まれ。埼玉県生まれ。

映画『スタントマン 武替道』トン・ワイ/テレンス・ラウ/フィリップ・ン スタントマン 武替道【レビュー】

香港映画に対する誇りと、香港映画や映画作りに関わる人達を守りたい気持ちが交錯する…

映画『スーパーマン』オリジナルトートバッグ 『スーパーマン』オリジナルトートバッグ 2名様プレゼント

映画『スーパーマン』オリジナルトートバッグ 2名様プレゼント

映画『We Live in Time この時を生きて』フローレンス・ピュー/アンドリュー・ガーフィールド 大切な人ができれば、譲れないことも変わる!?『We Live in Time この時を生きて』【映画でSEL(社会性と情動の学習)】

今回は運命的な出会いを果たし、ぶつかり合いながらもお互いに正直に生きるカップルの物語『We Live in Time この時を生きて』を取り上げます。

映画『雪風 YUKIKAZE』竹野内豊 『雪風 YUKIKAZE』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『雪風 YUKIKAZE』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『IMMACULATE 聖なる胎動』シドニー・スウィーニー IMMACULATE 聖なる胎動【レビュー】

敬虔な修道女のセシリア(シドニー・スウィーニー)は、イタリアの美しい田園都市にある修道院にやってきます…

映画『ストレンジ・ダーリン』ウィラ・フィッツジェラルド ストレンジ・ダーリン【レビュー】

6章からなる本作は、ユニークな構成となっています…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『スーパーマン』デイビッド・コレンスウェット 映画好きが選んだDCコミックス映画ランキング

今回は正式部員の皆さんに好きなDCコミックス映画について投票していただきました。“スーパーマン”や“バットマン”など人気シリーズが多くあるなか、上位にはどんな作品がランクインしたのでしょう?

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズ 映画好きが選んだトム・クルーズ人気作品ランキング

毎度さまざまな挑戦を続け、人気を博すハリウッドの大スター、トム・クルーズ。今回は、トム・クルーズ出演作品(日本劇場未公開作品を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『シークレット・アイズ』キウェテル・イジョフォー/ジュリア・ロバーツ /ニコール・キッドマン 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.5

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『We Live in Time この時を生きて』フローレンス・ピュー/アンドリュー・ガーフィールド
  2. 映画『君がトクベツ』畑芽育/大橋和也
  3. 映画でSEL:告知1回目

REVIEW

  1. 映画『星つなぎのエリオ』
  2. 映画『MELT メルト』ローザ・マーチャント
  3. 映画『スタントマン 武替道』トン・ワイ/テレンス・ラウ/フィリップ・ン
  4. 映画『IMMACULATE 聖なる胎動』シドニー・スウィーニー
  5. 映画『ストレンジ・ダーリン』ウィラ・フィッツジェラルド

PRESENT

  1. 映画『タンゴの後で』アナマリア・ヴァルトロメイ/マット・ディロン
  2. 映画『スーパーマン』オリジナルトートバッグ
  3. 映画『雪風 YUKIKAZE』竹野内豊
PAGE TOP