REVIEW
村上春樹の傑作短編連作「神の子どもたちはみな踊る」を原作にした本作は、世の中に大きな影響を与えた出来事を軸に、1995年、2011年、2020年、2025年の4つの時点の日本を舞台としています。4つの物語は直接繋がってはいないものの、1話1話追うごとに貫かれるテーマがあるとわかります。


4つの時点それぞれに、立ち止まったまま動けないでいる人、過去への贖罪を果たすかのように生きる人がいます。そして、心の片隅に何かを抱えたまま何事もなかったように生きようとする人もいます。何が正解で不正解というのではなく、それぞれが生きる術なのだと感じます。


本作にはのんが声を担当するかえるくんをはじめ、複数のメタファーがあり、それを解釈するおもしろさがあります。また、キャラクター達のセリフには村上春樹ワールドを感じさせる言葉があり、一見不可解な言動が見えるものの、“当たり前”の日常が一瞬にして壊れた時の人の言動は不可解で当然なのかもしれないと思えます。豪華キャストが集結し創り出した、本作の独特な世界観に浸ってみてください。
デート向き映画判定

私的な出来事ではなく、世の中全体に衝撃を与える出来事が起きた時に、それまで噛み合っていたはずの歯車が食い違ってくることもあり得るなと思う展開が生々しく描かれています。そういう点では、1人でじっくり観て自分達の関係を振り返るのに向いていると感じます。一方で、他者の解釈を聞いてみたい内容でもあるので、映画鑑賞後に語り合うのが好きなカップルはデートで観るのもアリでしょう。
キッズ&ティーン向き映画判定

孤独でありながらも懸命に踏ん張って生き続ける人達の姿から、何かしら感じる部分があると思います。ただし、132分とやや長尺で、大人向けの内容なので、せめて中学生くらいになってから観るほうが、それぞれのキャラクターの心情を生々しく想像しながら観られるのではないでしょうか。

『アフター・ザ・クエイク』
2025年10月3日より全国公開
ビターズ・エンド
公式サイト
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©2025 Chiaroscuro / NHK / NHKエンタープライズ
TEXT by Myson
関連作
「神の子どもたちはみな踊る」村上春樹 著/新潮文庫
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情報は2025年9月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。
