REVIEW

ある町の高い煙突

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ある町の高い煙突』井手麻渡/渡辺大

本作は、JXTGグループ、日立製作所、日産自動車など春光グループの源流である日立鉱山(現・JX金属)におけるCSRの原点となった物語を映画化。国の発展のために、国民が犠牲になるという皮肉な現実はいつの時代もあったのだと知ることができると同時に、犠牲になって終わるのではなく、地元の人達自らの強さで問題を解決していった成功例として観ることができます。結局、国に報いる国民に対して、国は何もしないどころか害を及ぼしていて、解決するのも、国民自身。国は政治家によって守られているのではなく、国民一人ひとりの強さこそが国を守り、発展させているのだと実感できます。地元民と大企業が対立するかのような展開も出てきますが、最終的に敵、味方という構図に縛られずに、解決策を一緒に探していった点にも共感できて、身勝手な政治に振り回される時代は長く続いていますが、時代を問わず、解決策のお手本となるようなストーリーが描かれています。自分の夢を諦めて、代々受け継ぐ土地がある町の将来を背負う青年、問題を起こしている企業に所属しながらそれを中から解決しようともがく青年、一度は問題に立ち向かったが対処できず諦めてしまった企業家など、さまざまな立場で葛藤するキャラクターがいるので、誰かしらに感情移入して観られると思います。

デート向き映画判定
映画『ある町の高い煙突』井手麻渡/渡辺大/小島梨里杏

ラブストーリーの要素もあり、ロマンチックなシーンもありますが、ベースが社会派ドラマなので、デートの雰囲気が高まるというタイプの作品ではありません。ただ、いろいろなものを背負って生きる人々のお話なので、仕事で大変そうな時、家のことで大変そうな時に、本作を一緒に観ると、普段は口にしない苦労について少し吐露するきっかけにできるかも知れません。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ある町の高い煙突』渡辺大/吉川晃司/石井正則

学校の授業では、大きな流れの中の日本史を知ることができますが、こういった映画からは、日本の産業、企業の歴史を知ることができるので、勉強にもなると思います。土地に対する愛着を持つ人々の心情などにも注目すると、どこに住むかという問題が、人にとっていかに重要かというのも少し理解できると思います。

映画『ある町の高い煙突』井手麻渡/渡辺大

『ある町の高い煙突』
2019年6月14日ユナイテッド・シネマ水戸、シネプレックスつくばにて先行公開
6月22日より全国公開
エレファントハウス、Kムーブ
公式サイト

© 2019 Kムーブ

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『バーフバリ エピック4K』来日舞台挨拶イベント、プラバース、ショーブ・ヤーララガッダ(プロデューサー) プラバース、ショーブ・ヤーララガッダ来日!『バーフバリ エピック4K』には追加シーンも

2025年に劇場公開10周年を迎える大ヒット作『バーフバリ 伝説誕生』と『バーフバリ2 王の凱旋』を一つの作品として再編集し、壮大な物語を4K映像で体験できる『バーフバリ エピック4K』の日本公開を目前にして、バーフバリ役のプラバースと、プロデューサーのショーブ・ヤーララガッダが来日しました。

映画『楓』福士蒼汰/福原遥 楓【レビュー】

残酷過ぎて、切な過ぎて、優し過ぎて、どうしましょ(笑)。ネタバレを避けると、ほぼ何も書けませんが…

【東京コミコン2025】オープニング:イライジャ・ウッド、カール・アーバン、リー・トンプソン、トム・ウィルソン、クローディア・ウエルズ、ダニエル・ローガン、ジョン・バーンサル、クリスティーナ・リッチ、イヴァナ・リンチ、ノーマン・リーダス、ショーン・パトリック・フラナリー、ジャック・クエイド、マッツ・ミケルセン、浅野忠信、ピルウ・アスベック、セバスチャン・スタン、ジム・リー、C.B.セブルスキー、フランク・ミラー、クリストファー・ロイド、中丸雄一(MC)、伊織もえ(PR大使)、山本耕史(アンバサダー) 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』一行や人気アメコミ出演者達が勢揃い!【東京コミコン2025】オープニングセレモニー

年末恒例行事となった東京コミコンのオープニングセレモニーを取材してきました。今年は過去最高といえるのではないかという数のスター達が来日してくれました。

映画『ズートピア2』 ズートピア2【レビュー】

さまざまな動物達が人間と同じように暮らすズートピアを舞台にした本シリーズは…

映画『エディントンへようこそ』ホアキン・フェニックス/ペドロ・パスカル エディントンへようこそ【レビュー】

アリ・アスター監督とホアキン・フェニックスの2度目のタッグが実現した本作は、メディアの情報に翻弄される人々の様子を…

映画『愚か者の身分』林裕太 林裕太【ギャラリー/出演作一覧】

2000年11月2日生まれ。東京都出身。

映画『ペンギン・レッスン』スティーヴ・クーガン ペンギン・レッスン【レビュー】

『ペンギン・レッスン』というタイトルが醸し出す世界観、スティーヴ・クーガンやジョナサン・プライスといった名優がメインキャストに名を連ねていることからして…

映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』水上恒司/木戸大聖/八木莉可子/綱啓永/JUNON(BE:FIRST)/中沢元紀/曽田陵介/萩原護/髙橋里恩/山下幸輝/濱尾ノリタカ/上杉柊平 WIND BREAKER/ウィンドブレイカー【レビュー】

にいさとる作の同名漫画を原作とする本作は、不良グループが街を守るというユニークな設定…

映画『ナイトフラワー』北川景子 北川景子【ギャラリー/出演作一覧】

1986年8月22日生まれ。兵庫県出身。

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年11月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年11月】のアクセスランキングを発表!

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  2. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  3. 映画学ゼミ2025年11月募集用

REVIEW

  1. 映画『楓』福士蒼汰/福原遥
  2. 映画『ズートピア2』
  3. 映画『エディントンへようこそ』ホアキン・フェニックス/ペドロ・パスカル
  4. 映画『ペンギン・レッスン』スティーヴ・クーガン
  5. 映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』水上恒司/木戸大聖/八木莉可子/綱啓永/JUNON(BE:FIRST)/中沢元紀/曽田陵介/萩原護/髙橋里恩/山下幸輝/濱尾ノリタカ/上杉柊平

PRESENT

  1. 映画『楓』福士蒼汰/福原遥
  2. 映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ
  3. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
PAGE TOP