REVIEW

浅草キッド【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
Netflix映画『浅草キッド』大泉洋/柳楽優弥

ビートたけしの浅草での下積み時代から人気芸人となるまでの実話を綴った、ビートたけしの原作「浅草キッド」を、劇団ひとりが監督を務め映画化。ビートたけし役は柳楽優弥、その師匠、深見千三郎役を大泉洋が務めています。ビートたけし本人も要所要所で出てるんだと思い込んで観ていて、エンドクレジットに名前が出てこなかったので後から調べてみたら、あれは柳楽優弥が特殊メイクをしていたと知ってめちゃめちゃビックリ!特殊メイクそのものも精巧だし、柳楽優弥が演じるビートたけしの仕草や雰囲気もソックリなんです。若かりし頃のシーンは、特殊メイクではなく柳楽優弥のまま演じていますが、それでも違和感がないくらい、自然にビートたけしを演じていて、柳楽優弥恐るべしと改めて彼の演技力の高さを実感させられます。そして、師匠役を演じた大泉洋も上手い!大泉洋は元々がおもしろいからこういう役をやってもハマるのは当然ですが、おもしろいだけではなく、厳しい表情やその裏で優しい一面、人間的にカッコ良い一面も持っているキャラクターをリアルに体現している点でも見事です。あとは、ツービートの相方ビートきよしが「似てるな〜、誰が演じてるんだろう」と思いながら観ていたら、ナイツの土屋伸之だったんですね!顔もベースが似てるんだなと本作で気付きましたが、ほんわかした雰囲気がすごくハマってて良い味を出してました。
物語はというと、売れる前のビートたけしがすごく素朴だったところに驚きました。破天荒な部分は根底に持ちつつ、不器用な点でとても親近感が湧きます。そして、師匠と弟子の物語が人情たっぷりで、2人とも不器用で素直になれない様子がなんとも愛おしいです。時代的なものなのか、業界的なものなのか、粋な計らいが見えるシーンもあって、懐かしみながら観る方もいれば、昔はそうだったんだと若い方には新鮮に思える部分もあるでしょう。ビートたけしにまつわる実話としても楽しめるし、師弟関係の美学、哲学といった視点でも双方の立場から感情移入できる作品です。

デート向き映画判定
Netflix映画『浅草キッド』柳楽優弥/門脇麦

カップルで観て気まずいシーンはありませんが、パートナーに苦労をかけているカップルが観ると、もしかしたら本作の師匠夫婦の姿から何かしら思うところが出てくるかもしれません。衰退する世界と栄えていく世界で、どういう選択をするのかという点でも価値観に訴えてくるところがあるので、本作と似たような環境に今ある方はいろいろな考えが頭を巡るでしょう。それを語り合える相手とならデートで観ても良いでしょうし、1人でじっくり観るのも良いと思います。

キッズ&ティーン向き映画判定
Netflix映画『浅草キッド』柳楽優弥

エンタテインメントの中心が舞台演芸からテレビへと移行する昭和の世界を描いていて、新しい世界に飛び込む者もいれば、これまでの世界を守ろうと必死になる者もいます。これはいつの時代にもどんな業界にもあることなので、ティーンの皆さんにとっても身近なところにある時代の変化に照らし合わせて観られると思います。時代の変化を受けて、上下関係、師弟関係も変わってきているところはありますが、本作で描かれている師弟関係には素敵な一面があるので、良いところは皆さんの世代でも取り入れてみてはどうでしょうか。

Netflix映画『浅草キッド』大泉洋/柳楽優弥

『浅草キッド』
2021年12月9日よりNetflixにて配信開始
R-15+相当
公式サイト

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻』アリシア・ヴィキャンデル/ジュード・ロウ ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻【レビュー】

REVIEW政治的手腕を発揮しながらも、暴君としてイギリス史に悪名を刻んだヘンリー8世には…

映画『聖なるイチジクの種』ソヘイラ・ゴレスターニ/マフサ・ロスタミ/セターレ・マレキ 聖なるイチジクの種【レビュー】

REVIEWイランでは2022年に、ある若い女性がヒジャブ(髪の毛を覆う布)を付けておらず…

映画『コメント部隊』ソン・ソック コメント部隊【レビュー】

情報社会になった現代、大きな組織による世論操作が行われているのではないかと…

映画『リアル・ペイン〜心の旅〜』キーラン・カルキン キーラン・カルキン【ギャラリー/出演作一覧】

1982年9月30日生まれ。アメリカ出身。

映画『ドライブ・イン・マンハッタン』クリスティ・ホール監督インタビュー 『ドライブ・イン・マンハッタン』クリスティ・ホール監督インタビュー

ダコタ・ジョンソンとショーン・ペンの2人芝居で魅せる『ドライブ・イン・マンハッタン』で監督、脚本を務めたクリスティ・ホールさんにオンラインでインタビューをさせていただきました…

映画『愛を耕すひと』マッツ・ミケルセン 愛を耕すひと【レビュー】

イダ・ジェッセンによる史実に基づく歴史小説“The Captain and Ann Barbara(英題)”を原作に…

映画『嘘喰い』白石麻衣 白石麻衣【ギャラリー/出演作一覧】

1992年8月20日生まれ。群馬県出身。

映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』来日スペシャルレッドカーペットイベント:ティモシー・シャラメ ボブ・ディランの音楽がいかに僕にインパクトを与えたかわかるはず『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』ティモシー・シャラメ来日

第97回アカデミー賞8部門にノミネートされている『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』でボブ・ディランを演じたティモシー・シャラメが来日…

映画『ロングレッグス』マイカ・モンロー 『ロングレッグス』トークイベント付き試写会 5組10名様ご招待

映画『ロングレッグス』トークイベント付き試写会 5組10名様ご招待

映画『ブルータリスト』エイドリアン・ブロディ/フェリシティ・ジョーンズ ブルータリスト【レビュー】

タイトルになっている“ブルータリスト”は「残忍な」という意味の単語ですが、“ブルータリズム”と呼ばれる建築様式にもかけて付けられていると考えられます…

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』トム・ホランド/ゼンデイヤ 映画好きが選ぶマーベル映画ランキング

2025年もマーベルシリーズ最新作が公開されます。そこでこれまでのマーベルシリーズも合わせて盛り上げたいということで、ランキングを実施しました。

映画『ベルヴィル・ランデブー』 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.3

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダーほか トーキョー女子映画部が選ぶ 2024年ベスト10&イイ俳優MVP

毎年恒例のこの企画では、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

REVIEW

  1. 映画『ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻』アリシア・ヴィキャンデル/ジュード・ロウ
  2. 映画『聖なるイチジクの種』ソヘイラ・ゴレスターニ/マフサ・ロスタミ/セターレ・マレキ
  3. 映画『コメント部隊』ソン・ソック
  4. 映画『愛を耕すひと』マッツ・ミケルセン
  5. 映画『ブルータリスト』エイドリアン・ブロディ/フェリシティ・ジョーンズ

PRESENT

  1. 映画『ロングレッグス』マイカ・モンロー
  2. 映画『TATAMI』アリエンヌ・マンディ
  3. 映画『フライト・リスク』マーク・ウォールバーグ
PAGE TOP