REVIEW

エマ、愛の罠

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『エマ、愛の罠』マリアーナ・ディ・ジローラモ/ガエル・ガルシア・ベルナル

ラブストーリーなのかなと思いきや、ただのラブストーリーではなく、軸はエマという女性がある問題を解決するために戦う物語で、またその戦い方が独特過ぎて、ラストであんぐりとなります(笑)。でも、あんぐりとしてしまう結末こそ、エマというキャラクターを象徴していて、自分の欲望に正直に生きる彼女の姿は観ていて爽快でもあります。常識的に考えてその展開はないはずと思えることが起きてしまうのが本作の魅力で、結末はシュール過ぎて「まじか!」と、呆れるを通り越してとてもコミカルにも見えます。ある出来事のためにエマは責められ、それが発端でエマは行動を起こすのですが、一見常識的に振る舞おうとしている人達が彼女の策略にハマり、結果それぞれに罪な行為をしてしまったり、男性キャラクター達が結局エマに振り回されて情けなく見える様子など、皮肉がいっぱい詰まっている点も本作の魅力となっています。エマというキャラクターに見る個人主義について賛否両論あるとは思いますが、エマが現実社会で弱者になり得る存在を象徴していると思うと、弱肉強食を壊す、これまでの常識を覆す存在として、ある意味ヒーローと言えるかも知れません。皆さんもいろいろな観方で楽しんでください。

デート向き映画判定
映画『エマ、愛の罠』マリアーナ・ディ・ジローラモ/ガエル・ガルシア・ベルナル

ベッドシーンやヌードが出てくるので、初デートだとちょっと気まずいでしょう。そしてキービジュアルのロマンチックな雰囲気とは裏腹に、複雑な関係が描かれているので、ムーディな雰囲気を期待すると裏切られます(笑)。でも、予想外の展開だからこそ、自分達とは割り切って観られる部分でもあり、これまでの一緒にいろいろな映画を観てきたカップルなら、普通に楽しめると思います。喧嘩ばっかりでギクシャクしているカップルには、ある意味で良い刺激になる部分もあるかも知れないので、試しに観てみてはどうでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『エマ、愛の罠』マリアーナ・ディ・ジローラモ

R-15なので15歳にならないと観られませんが、高校生でもこのストーリーを観たらどう思うんだろうと反応が気になる内容です。でも、エマの中にあるまだ子どもっぽい、ある意味純粋ともとれる部分は、ティーンの皆さんが共感できるところかも知れません。真似しちゃダメと言いたい部分は多々ありますが、一方的に責められて終わるのではない、エマの行動力は見習うべき部分もあると思います。

映画『エマ、愛の罠』マリアーナ・ディ・ジローラモ/ガエル・ガルシア・ベルナル

『エマ、愛の罠』
2020年10月2日より全国公開
R-15+
シンカ
公式サイト

© Fabula, Santiago de Chile, 2019

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集!

ネットの普及によりオンラインで大抵のことができ、AIが人間の代役を担う社会になったからこそ、逆に人間らしさ、人間として生きる醍醐味とは何かを映画学の観点から一緒に探ってみませんか?

映画『スワイプ:マッチングの法則』リリー・ジェームズ スワイプ:マッチングの法則【レビュー】

リリー・ジェームズが主演とプロデューサーを兼任する本作は…

映画『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』アルテュス/アルノー・トゥパンス/ルドヴィク・ブール サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行【レビュー】

パラリンピックやハンディキャップ・インターナショナルのアンバサダーを務めるアルテュスが…

映画『消滅世界』蒔田彩珠/眞島秀和 眞島秀和【ギャラリー/出演作一覧】

1976年11月13日生まれ、山形県出身。

映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン Fox Hunt フォックス・ハント【レビュー】

“狐狩り隊(=フォックス・ハント)”と呼ばれる経済犯罪捜査のエリートチームが、国を跨いだ巨額の金融詐欺事件の真犯人を追い詰めるスリリングな攻防戦が描かれた本作は…

Netflix映画『フランケンシュタイン』オスカー・アイザック フランケンシュタイン【レビュー】

メアリー・シェリー著「フランケンシュタイン」はこれまで何度も映像化されてきました。そして、遂にギレルモ・デル・トロ監督が映画化したということで…

映画『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』リュ・スンリョン/チン・ソンギュ/イゴール・ペドロゾ/ルアン・ブルム/JB・オリベイラ 大命中!MEは何しにアマゾンへ?【レビュー】

『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』という邦題がいい感じで「どういうこと?」と好奇心をそそります(笑)…

映画『君の顔では泣けない』芳根京子 芳根京子【ギャラリー/出演作一覧】

1997年2月28日生まれ。

映画『白の花実』美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんインタビュー 『白の花実』美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんインタビュー

今回は『白の花実』に出演する美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんにお話を伺いました。撮影前に準備されたことや、本編を観た感想を直撃!

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集!

ネットの普及によりオンラインで大抵のことができ、AIが人間の代役を担う社会になったからこそ、逆に人間らしさ、人間として生きる醍醐味とは何かを映画学の観点から一緒に探ってみませんか?

映画『チャップリン』チャーリー・チャップリン『キッド』の一場面 映画好きが選んだチャーリー・チャップリン人気作品ランキング

俳優および監督など作り手として、『キッド』『街の灯』『独裁者』『ライムライト』などの名作の数々を生み出したチャーリー・チャップリン(チャールズ・チャップリン)。今回は、チャーリー・チャップリン監督作(短編映画を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

学び・メンタルヘルス

  1. 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集
  2. 映画『殺し屋のプロット』マイケル・キートン
  3. 映画学ゼミ2025年12月募集用

REVIEW

  1. 映画『スワイプ:マッチングの法則』リリー・ジェームズ
  2. 映画『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』アルテュス/アルノー・トゥパンス/ルドヴィク・ブール
  3. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
  4. Netflix映画『フランケンシュタイン』オスカー・アイザック
  5. 映画『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』リュ・スンリョン/チン・ソンギュ/イゴール・ペドロゾ/ルアン・ブルム/JB・オリベイラ

PRESENT

  1. 映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』チャージングパッド
  2. 映画『ただ、やるべきことを』チャン・ソンボム/ソ・ソッキュ
  3. 映画『グッドワン』リリー・コリアス
PAGE TOP