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エミリア・ペレス【レビュー】

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映画『エミリア・ペレス』ゾーイ・サルダナ/カルラ・ソフィア・ガスコン

REVIEW

君と歩く世界』『ディーパンの闘い』『パリ13区』など、ジャック・オーディアール(オディアールと表記することもあり)監督の過去作から想像すると、まさかミュージカルで撮るとは思い付かないし、どんな作品ができるのか興味津々の方も多いのではないでしょうか。1952年生まれで70代の監督が、まだまだ新しい分野に挑戦する姿勢が素敵です。

映画『エミリア・ペレス』カルラ・ソフィア・ガスコン

タイトルロールのエミリア・ペレスを演じたのは、自身もトランスジェンダー女性であるカルラ・ソフィア・ガスコンです。カルラは、限られた選択肢の中で生きるキャラクターを演じており、本作の出演により「トランスジェンダーの権利のための代弁者となる」ことについて、以下のようにコメントしています。

トランスジェンダーについては、否定されたり、一緒くたに決めつけられたり、笑いものにされたり、侮辱や憎悪を向けられることがなくなってほしいと願っています。私はある意味ラッキーでした。妻や家族のおかげで、自分の生活を続けながら性別移行ができたからです。しかし、職を失って生きるすべが売春しかないトランス女性もいます。誰もが陽の当たる場所で、そして何より普通に暮らせるようになることを願っています。(映画公式資料)

映画『エミリア・ペレス』ゾーイ・サルダナ

本作にはエミリア・ペレスの他にも、苦悩を抱えながら生きる女性が登場します。ゾーイ・サルダナはエミリア・ペレスの運命を握るキーパーソン、リタとして登場します。セレーナ・ゴメスが演じるキャラクターは、エミリア・ペレスの過去と現在で異なる立場で繋がり、ドラマを盛り上げます。本作には、女性のさまざまな苦悩があらゆる角度から描かれています。

映画『エミリア・ペレス』セレーナ・ゴメス

エミリア・ペレスの生き方を観ていると、性別を変えても別の苦悩が出てくるとわかります。思い切って捨てたつもりでも捨てられないものもあれば、取り戻せるようでいて以前と同じようには取り戻せないものがある。身分を隠しながら性別移行をするとなると余計にそういった問題に苦しめられるのだなと知ることができます。

映画『エミリア・ペレス』ゾーイ・サルダナ/カルラ・ソフィア・ガスコン

それでもパワフルに生き、自分で選んだ道で「生き直す」姿が清々しく映ります。エミリア・ペレスをはじめ、パワフルに生きる女性達の姿をご覧ください。

デート向き映画判定

映画『エミリア・ペレス』カルラ・ソフィア・ガスコン

2人だけの問題ではない複雑な関係が出てくるので、切ない気持ちになる可能性はありつつ、気まずくなることはないでしょう。常にどこかで愛情を持っている様子がうかがえる点で、お互いへの愛情や思いやりを再認識するきっかけにできるかもしれません。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『エミリア・ペレス』セレーナ・ゴメス

本作には子どもも重要な立場で登場するので、皆さんは彼等の目線で観られそうです。ただ、ややショッキングなシーンも出てくるし、内容は大人向けなので、せめて中学生くらいになってから観るほうが、社会背景なども想像しながら、キャラクター達の心情に寄り添って観られそうです。

映画『エミリア・ペレス』ゾーイ・サルダナ/カルラ・ソフィア・ガスコン/セレーナ・ゴメス

『エミリア・ペレス』
2025年3月28日より全国公開
ギャガ
公式サイト

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© 2024 PAGE 114 – WHY NOT PRODUCTIONS – PATHÉ FILMS – FRANCE 2 CINÉMA
COPYRIGHT PHOTO : © Shanna Besson

TEXT by Myson

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