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ブルーピリオド【レビュー】

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映画『ブルーピリオド』眞栄田郷敦

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「なんて素敵な作品なんだ!」と、月並みな表現だけれど、素直に感動したからこそシンプルでストレートな表現で称えたい作品です。皆さんも内から熱いものが湧き出してきて、自分にエンジンがかかる感覚を得られるはずです。1人の高校生の日常が、あることをきっかけに自分の中から出てきた何かによってガラリと変わる。それがいかに尊いことか、本作は教えてくれます。
主人公の矢口八虎(眞栄田郷敦)は、流れに任せ、周囲に合わせ、そつなく生きていました。そんななか、美術の授業で描いた絵で自分の内面を表現できたと感じ、美術に関心を持ち始めます。
本作で、主人公の八虎は美術初心者ながら、超難関の東京藝術大学の受験に挑戦します。映画公式サイトによると、「東京藝術大学の絵画科は、日本一受験倍率が高い学科と言われている。現役生の倍率は約200倍で、受かるのは毎年5人ほどで、三浪、四浪は当たり前。十浪して目指す人もいるという。劇中では『ある意味、東京大学よりも受かるのが難しい大学と言えるかもしれない』と表現されるほどの超難関だ」とあります。本作の原作者、山口つばさ氏は東京藝術大学の出身とのことで、経験から描かれた点で一層リアルで説得力のあるストーリーとなっているのだなと感じます。

映画『ブルーピリオド』眞栄田郷敦/板垣李光人

もしも八虎と同じ立場だったら、きっとほとんどの人が挑戦すらしないはず。でも、八虎は挑戦する意志を固めていきます。その過程で、まず八虎自身が葛藤しながら努力する姿に心を動かされます。ただ絵画を勉強して練習するだけではなく、親を説得したり、自分の挑戦が本気だということを周囲に認めてもらうのもすごく大変で、いつ気持ちが折れてもよいところを踏ん張る姿に、自分を重ねて観てしまう方も多いと思います。
そして、周囲のキャラクターが八虎を励ましたり、ライバル心を燃やしながらも支える姿に胸を打たれます。まず、薬師丸ひろ子が演じる美術の先生が八虎の大きな第一歩を後押しするシーンでグッと引き込まれるはずです。また、眞栄田郷敦、高橋文哉、板垣李光人、桜田ひより、4人のメインキャストの演技が良かった!若者達の等身大の葛藤、苦しみが生々しく描かれているからこそ、本作の世界に没入できます。劇中では、眞栄田郷敦、高橋文哉、板垣李光人、本人が描いた絵画も使われているので要チェックです。
八虎と同じ年頃の若者達が本作を観て鼓舞されるのは当然のこと、大人も初心に返り忘れていた情熱を取り戻すきっかけをもらえるはずです。負けそうになったら、何度でも観たい1作です。

デート向き映画判定

映画『ブルーピリオド』眞栄田郷敦/桜田ひより

年齢を問わず、どんな関係のカップルにもオススメの1作です。自分の夢や目標って、それが難関で本気であるほど、大事な人にいうのを躊躇することがあると思います。もし、パートナーにまだ話していない夢や目標があるなら、本作を一緒に観ると、勢いを借りて話し易くなるかもしれません。一方で、パートナーが何かに挑戦中だったり、挑戦したいのに一歩踏み出せないでいたら、ぜひ誘ってあげてください。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『ブルーピリオド』眞栄田郷敦/高橋文哉

ティーンの皆さんにど真ん中の作品です。皆さんの世代に人気の俳優が出ている点で楽しめるのはもちろんのこと、何といってもストーリーが心に刺さると思います。進路に迷っている方は良い刺激を受けるでしょうし、大学受験はもう少し先というキッズでも、本作を観てビビッとくれば、未来に希望が持てて、いろいろなことに好奇心を持って接して、アンテナを張れるようになると思います。友達と観るのも良いし、家族で観るのも良いですよ。

映画『ブルーピリオド』眞栄田郷敦

『ブルーピリオド』
2024年8月9日より全国公開
ワーナー・ブラザース映画
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

©山口つばさ/講談社 ©2024 映画「ブルーピリオド」製作委員会

TEXT by Myson

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