REVIEW
キービジュアルに並ぶ、一見子ども向けのマスコット達が逆に不気味さを醸し出している本作は、ホラー映画で数々のヒット作を生み出してきた名プロデューサー、ジェイソン・ブラム率いるブラムハウスの作品です。原作は2014年8月にリリースされ大ヒットを記録し、これまでに9つのゲーム、スピンオフ・ゲーム、小説3部作、アンソロジー・シリーズが作られた同名のゲーム”ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ”。映画公式資料によると、なんと、本作ができる10年前にジェイソン・ブラムはゲーム開発者(原作者)のスコット・カーソンとの交渉を始め、やっと製作に漕ぎ着けたとのことです。スコット・カーソンは本作の製作として参加しており、このゲームに対して並々ならぬ思いを持っているようです。その背景は原作のゲーム誕生秘話を知ると納得します。約10年前、スコット・カーソンは、それまでに手掛けてきたビデオゲームの売り上げが頭打ちとなり、ゲーム開発をやめて転職を考えていたといいます。そんな時、自身が手掛ける最後のゲームとなっていたかもしれない”チッパー&サンズ・ランバー・コー(Chipper & Sons Lumber Co.)”に対するユーザーのレビューがきっかけで、”何気に怖い”ゲームを作ることを思いつきます。そのゲームが”ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ”です。その後の展開は前述したとおりで、多くのファンがいるからこそ、スコット・カーソンは映画化の声が多くかかっても、安易に引き受けずに慎重になっていたようで、ジェイソン・ブラムを始めとしたスタッフ達もその思いを汲み、長い年月をかけて本作を完成させたとのことです(映画公式資料より)。そんな背景を聞くと、なんだか一気に本作への親近感が増してきますよね。
不可解で恐ろしいシーンから始まる本作の舞台は、1980年代に子連れのファミリーで賑わっていたとされるピザレストラン。今では閉店されているにもかかわらず、オーナーが取り壊さずに残していて、警備員を雇っているという、いかにも意味ありげな場所です。主人公のマイク(ジョシュ・ハッチャーソン)は事情があり、仕事を選べないなか、フレディーズの警備員の仕事を引き受けます。そして、このフレディーズで不思議な体験をします。本作の世界観は、マスコット達の圧倒的な存在感に由来しています。マスコットを手掛けたのは、”セサミストリート”や『ダーククリスタル』(1982)、『ミュータント・タートルス』(1990)、『ベイブ』(1995)などのクリエイターとして知られるアニマトロニクスの先駆的存在、ジム・ヘンソン・クリーチャーショップです。本作はマスコットが肝になるので、こだわり抜くのも当然ですね。
本作は、お化け屋敷に入った感覚でアトラクションムービーして楽しめるのはもちろんのこと、キャラクター達の葛藤がみられる人間ドラマとしても見応えがあります。ホラーシーンも程よい描写で、ホラー入門者にも比較的トライしやすいと思います。この独特な世界観にどっぷり浸って楽しんでください。
デート向き映画判定
複数人で観るほうが、一緒にお化け屋敷に入った感覚で楽しめるので、デートで観るのもありでしょう。ただし、映画に詳しくない方を誘う場合、キービジュアルだけ見てキャッチコピーをきちんと観ないとホラー映画だと気づかないまま観ることになる可能性もなきにしもあらずなので、一応ホラー映画であると伝えておいたほうが無難です(笑)。初デートは相手の許容範囲がわからないので避けたほうが良いかもしれないですね。
キッズ&ティーン向き映画判定
R指定はついていないので、小学生でも観られるものの、子どもがキーパーソンとなるストーリーなので、等身大で観る皆さんにとっては一層怖く感じるかもしれません。ただ、過激な描写になりそうなところをギリギリの絶妙な演出が施されているので、ホラー映画に目覚めてきた方は、チャレンジしてみても良いのではないでしょうか。謎解きの要素もあるので、犯人を考えながら観るのもおもしろいです。
『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』
2024年2月9日より全国公開
東宝東和
公式サイト
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TEXT by Myson
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情報は2024年1月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。