REVIEW

フラッグ・デイ 父を想う日【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『フラッグ・デイ 父を想う日』ショーン・ペン

1992年、アメリカ最大級といわれる贋札事件の犯人による逃亡劇が全米に衝撃を与えました。本作はその犯人ジョン・ヴォーゲルについて娘ジェニファーが綴った回顧録を映画化したものです。父ジョン(ショーン・ペン)は、自称、起業家としてあらゆるビジネスを始めては失敗し、家族の前から姿を消すという繰り返し。そんな父でも大好きな気持ちは変わらないジェニファー(ディラン・ペン)は、時に父を頼り、時には父を立ち直らせようと奮闘します。信じては裏切られの繰り返しが観ていて本当に辛いですが、娘を失望させまいと必死なジョンの姿を観ていると、ジェニファーが父を嫌いになれない複雑な心情に共感できます。また、大きな夢を語ってはすぐに挫折してしまうジョンの姿を観ていると、何かしら夢を追いかけている人は複雑な思いに駆られることでしょう。失敗しても懲りずにトライする姿勢は最終的に大成する人と同じなはずなのに、根気がなく間違った選択に走ってしまう点がとても切ないです。彼は根っからの悪人ではないのになぜ罪を犯してしまうのかを考えると、人は必ずしも悪意でなく失意から間違った方法で目的を果たそうとしてしまうのだなと感じます。さらに、なぜジョンがこんなパーソナリティになったのかという理由の1つに、“フラッグ・デイ”の由来が出てくる点も興味深いです。
そして本作では、ショーン・ペンが監督と父親ジョン役を務め、実の娘ディラン・ペンが主演、実の息子ホッパー・ジャック・ペンも出演しています。ちなみにディランとホッパーの実母はロビン・ライトです。劇中でディランはすごく存在感があって、「この綺麗な俳優さんは誰なんだろう?」と思っていたら、エンド・クレジットで実の親子共演だったと知りました。ジョン(ショーン・ペン)とジェニファー(ディラン・ペン)の空気感がすごくリアルだなと思いながら観ていたので、2人の高い演技力はさることながら、ホンモノ親子の空気感も相まっていたのだなと納得できます。ショーン・ペンは本作の構想に15年かけたという背景を知ると、なお感慨深いものがあります。ショーン・ペン自身も父としていろいろ思うところがあったのかもしれない…など、彼がどんな思いで本作を作ったのかということにも想像を膨らませながら観るのもオススメです。

デート向き映画判定
映画『フラッグ・デイ 父を想う日』ディラン・ペン/ショーン・ペン

父と娘の物語なので、デートの雰囲気が盛り上がるという感じではありませんが、本作を一緒に観ると家族の話をしたくなるので、お互いのことをもう少し知りたいと思っているなら一緒に観て、会話のきっかけにするのも良さそうです。ただ、普段から家族の話をしたがらない様子なら、複雑な関係なのかもしれず、気まずい雰囲気になる可能性があるので、どこまで踏み込んで大丈夫かどうかは慎重に考えましょう。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『フラッグ・デイ 父を想う日』ディラン・ペン

内容的に中学生くらいになってから観るほうが、大人の複雑な事情もより具体的に想像しながら観られると思います。親に助けてもらえないだけでなく、親が原因で辛い状況に陥ったジェニファーは、自力で苦難を乗り越えていきます。彼女の姿を観ていると少し希望と勇気が湧いてくる部分があると思います。切ない物語ではありますが、家族というものを客観視するために観てみるのも良いと思います。

映画『フラッグ・デイ 父を想う日』ディラン・ペン/ショーン・ペン

『フラッグ・デイ 父を想う日』
2022年12月23日より全国公開
PG-12
ショウゲート
公式サイト

© 2021 VOCO Products, LLC

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(M) 『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(Mサイズ)2名様 プレゼント

映画『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(Mサイズ)2名様 プレゼント

映画『ロザリー』ナディア・テレスキウィッツ ロザリー【レビュー】

自分で作った美しいドレスを身にまとったロザリー(ナディア・テレスキウィッツ)は、父(ギュスタヴ・ケルヴェン)に連れられて…

映画『マリリン・モンロー 私の愛しかた』マリリン・モンロー 『マリリン・モンロー 私の愛しかた』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『マリリン・モンロー 私の愛しかた』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『サスカッチ・サンセット』ジェシー・アイゼンバーグ/ライリー・キーオ 『サスカッチ・サンセット』先行試写会 10名様ご招待

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』ジャパンプレミア試写会 5組10名様ご招待

映画『ベイビーガール』ニコール・キッドマン ニコール・キッドマン【ギャラリー/出演作一覧】

1967年6月20日生まれ。アメリカ、ハワイ州ホノルル出身。

映画『女神降臨 After プロポーズ編』Kōki,/渡邊圭祐/綱啓永 女神降臨 After プロポーズ編【レビュー】

前編となる『女神降臨 Before 高校デビュー編』では、主人公の麗奈がメイクの力でなりたい自分に近づく様子が描かれていました。そして…

映画『ミステリアス・スキン』ジョセフ・ゴードン=レヴィット ミステリアス・スキン【レビュー】

2004年にグレッグ・アラキ監督により制作された本作は…

映画『リライト』池田エライザ 『リライト』舞台挨拶付き完成披露試写会イベント 5組10名様ご招待

映画『リライト』舞台挨拶付き完成披露試写会イベント 5組10名様ご招待

映画『The Taste of Nature II 幻のカカオを探して』 『The Taste of Nature II 幻のカカオを探して』特別先行試写会 10組20名様ご招待

映画『The Taste of Nature II 幻のカカオを探して』特別先行試写会 10組20名様ご招待

映画『ただ、愛を選ぶこと』 ただ、愛を選ぶこと【レビュー】

2024年度サンダンス映画祭のワールドシネマ・ドキュメンタリー部門で審査員大賞を受賞…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『プラダを着た悪魔』アン・ハサウェイ/メリル・ストリープ 元気が出るガールズムービーランキング【洋画編】

正式部員の皆さんに“元気が出るガールズムービー【洋画編】”をテーマに、好きな作品を選んでいただきました。果たしてどんな結果になったのでしょうか?

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス
  2. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性
  3. 映画『風たちの学校』

REVIEW

  1. 映画『ロザリー』ナディア・テレスキウィッツ
  2. 映画『女神降臨 After プロポーズ編』Kōki,/渡邊圭祐/綱啓永
  3. 映画『ミステリアス・スキン』ジョセフ・ゴードン=レヴィット
  4. 映画『ただ、愛を選ぶこと』
  5. 映画『#真相をお話しします』大森元貴/菊池風磨

PRESENT

  1. 映画『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(M)
  2. 映画『マリリン・モンロー 私の愛しかた』マリリン・モンロー
  3. 映画『サスカッチ・サンセット』ジェシー・アイゼンバーグ/ライリー・キーオ
PAGE TOP