REVIEW

ホワイト・ノイズ【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
Netflix映画『ホワイト・ノイズ』アダム・ドライバー

ノア・バームバック監督、アダム・ドライバー、グレタ・ガーウィグ、ドン・チードル出演と聞いて、映画ファンなら期待せずにはいられません。もちろん、期待通りノア・バームバック監督独特の世界観となっており、悲壮感と滑稽さを併せ持つキャラクターを演じる俳優陣の演技も絶妙です。改めて、監督と俳優の相性の良さも感じられます。
本作は、差し迫る死への恐怖心によって翻弄される人間を、ブラックユーモアを交えて描いています。原作はドン・デリーロの同名小説。化学物質の流出事故に遭遇した大学教授のジャック(アダム・ドライバー)は家族を連れて逃げることに。そんななか、ジャックは精神的に追い詰められ、悪夢か幻覚かもわからない状況に苛まれます。一方、ジャックの妻バベット(グレタ・ガーウィグ)にもある変化が…。
ここから先は本編で観ていただくとして、死をテーマにしながら、ユーモラスに描かれている点が魅力です。そして、ジャックに起きる不条理な出来事は本人としてはショッキングであろうと思いながら、観客としては皮肉な出来事としてどこか滑稽に映ります。また、大人と子どもの反応の違いを見せることで、順応性の差も客観視できます。彼等を観ていると、死を目の当たりにした状況でなくても、私達は日々ジャックやバベットのように、何かしら見えない恐怖に必要以上に振り回されて生きているのかもしれないと感じます。裏を返すと大切な一日いちにちをそんなことに費やしていて良いのかということに気付かせてくれる作品といえるのではないでしょうか。

デート向き映画判定
Netflix映画『ホワイト・ノイズ』アダム・ドライバー/ドン・チードル

思わぬ展開が出てくるので、デート向きなのかは微妙なところですが、夫婦、パートナー同士で問題に向き合う必要性を感じさせる展開もあるので、反面教師的に2人で一緒に観てみるのもアリかもしれません。Netflix上ではコメディに分類されていますが、紹介文に“不条理なコメディ”とある通り、皮肉が効いたコメディなので多少好みは分かれそうです。その点を踏まえてデートで観るか、1人でじっくり観るか決めると良いでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定
Netflix映画『ホワイト・ノイズ』アダム・ドライバー/グレタ・ガーウィグ

子ども達も登場するので、皆さんは彼等の目線で観られると思います。途中に出てくるアドベンチャー的な展開や、親子の何気ないやり取りにはクスッと笑えるシーンもあって、そこは純粋に楽しめるでしょう。ただし、親が大変な状況に陥っている姿は子ども達にはショッキングに映りそうです。内容的にはせめて中学生以上になってから観るほうが良さそうです。

Netflix映画『ホワイト・ノイズ』アダム・ドライバー/ドン・チードル/グレタ・ガーウィグ

『ホワイト・ノイズ』
2022年12月9日より一部劇場にて公開、12月30日よりNetflixにて配信開始
劇場用公式サイト Netflix公式サイト

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ブラックフォン2』イーサン・ホーク/メイソン・テムズ ブラックフォン2【レビュー】

2022年に作られたシリーズ1作目『ブラック・フォン』から4年後を描いた本作でも…

映画『金髪』白鳥玉季さんインタビュー 『金髪』白鳥玉季さんインタビュー

今回は『金髪』で生徒の板緑役を演じた白鳥玉季さんにインタビューさせていただきました。“金髪デモ”を起こすキーパーソンである板緑を演じた感想や、撮影裏でのエピソードを直撃しました。

映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉 TOKYOタクシー【レビュー】

クリスチャン・カリオン監督『パリタクシー』を原作とした本作は、東京にある柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設までの道のりを舞台に、山田洋次監督が映画化…

映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ 心理学から観る映画59:研究倫理に反する実験とその被害『エクスペリメント』『まったく同じ3人の他人』

『まったく同じ3人の他人』というドキュメンタリーを観ました。生き別れた三つ子が再会する感動のストーリーかと思いきや、驚愕の背景を知り、研究倫理について改めて考えさせられました。そこで今回は研究倫理をテーマとします。

映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』ヴァネッサ・パラディ ヴァネッサ・パラディ【ギャラリー/出演作一覧】

1972年12月22日生まれ。フランス出身。

映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮 ブルーボーイ事件【レビュー】

高度成長期にあった1965年の東京では、街の浄化のため、警察はセックスワーカー達を厳しく取り締まっていました。ただ、セックスワーカーの中には性別適合手術(当時の呼称は性転換手術)を受けて女性的な体をした通称ブルーボーイが…

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 君の顔では泣けない【レビュー】

高校1年生の夏、坂平陸(武市尚士)と水村まなみ(西川愛莉)はプールに一緒に落ちたことで体が入れ替わってしまいます。2人はすぐに元に戻ることができず15年を過ごし…

映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト スプリングスティーン 孤独のハイウェイ

物語の舞台は1982年。ブルース・スプリングスティーン(ジェレミー・アレン・ホワイト)は、名声を手に入れながらも、葛藤を抱えて…

映画『2つ目の窓』松田美由紀 松田美由紀【ギャラリー/出演作一覧】

1961年10月6日生まれ。東京都出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  2. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  3. 映画『おーい、応為』長澤まさみ

REVIEW

  1. 映画『ブラックフォン2』イーサン・ホーク/メイソン・テムズ
  2. 映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉
  3. 映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮
  4. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人
  5. 映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP