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キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱【レビュー】

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映画『キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱』ロザムンド・パイク

キュリー夫人の功績は世界史の授業で習うとして、彼女の人柄までは知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。本編で彼女が登場すると、まず威勢の良い、強気な女性だなと感じると同時に、これくらい意志を強く持ち毅然としていなければ、圧倒的に男性優位で女性が冷遇される時代に学者として生きていけなかったというのも伝わってきます。それは、マリ・スクウォドフスカ(結婚後に姓がキュリーに変更)という名前があるにもかかわらず、“キュリー夫人”という呼称で現代まで語られてきたところにも象徴されているといえます。
放射性元素は、がん治療に貢献する一方で、核兵器の開発などにも関わり、人類の歴史において大きな功罪を残しました。映画公式サイトによると、キュリー夫人は人類史上初かつ唯一、1903年にノーベル物理学賞、1911年にノーベル科学賞と2つのノーベル賞を受賞した女性です。本作では、キュリー夫妻が発見した放射性元素が歴史的にどんな影響を与えてきたかが物語の合間に挟まれていると同時に、キュリー夫人のパーソナルな出来事が描かれています。彼女は自分達の発見が社会に及ぼす影響の大きさに苦しめられた部分もあり、サクセスストーリーというよりも科学者の発見が偉大であればあるほど背負うものがいかに重いかが描かれています。そして、夫との絆の深さも描かれていて、彼女の強さと脆さの両方が見えるストーリーとなっています。なので、彼女が偉大な科学者であることを抜きにして、一人の人間として共感できると思います。

デート向き映画判定
映画『キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱』ロザムンド・パイク/サム・ライリー

少しエロチックなシーンもありますが、初デートでない限りそこまで気まずくならないと思います。恋愛も大事だけれど、目指しているものがあったり、打ち込むことがある方は、性別年齢を問わず共感できると思います。そういった価値観についてお互いに話し合う機会として、一緒に観ても良さそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱』ロザムンド・パイク

男尊女卑が今よりもっと強かった時代に、堂々たる態度で男性と渡り合っていたキュリー夫人の姿はとても頼もしいです。あまりにストレートな態度なので敵を作ってしまう可能性があることは否めず、よっぽど自信がなければこのまま真似をするのはオススメしませんが、自分を強く持ち、使命を果たそうとする姿からは学べるものがあります。彼女の人柄も知ると一層印象に残るので、世界史の勉強にもなり一石二鳥ですね。

映画『キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱』ロザムンド・パイク/サム・ライリー/アナイリン・バーナード/アニャ・テイラー=ジョイ

『キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱』
2022年10月14日より全国順次公開
キノフィルムズ
公式サイト

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TEXT by Myson

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