REVIEW

川っぺりムコリッタ【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『川っぺりムコリッタ』松山ケンイチ/ムロツヨシ/満島ひかり/吉岡秀隆

『かもめ食堂』『彼らが本気で編むときは、』の荻上直子監督がオリジナル脚本で手掛けた本作。脚本に惚れ込んだ松山ケンイチを主演に迎え、ムロツヨシ、満島ひかり、吉岡秀隆らが個性的なキャラクターを演じています。さらに、江口のりこ、柄本佑、田中美佐子、緒形直人らも脇役として出演しており、それだけでも十分見応えがあると思います。
物語は、主人公の山田(松山ケンイチ)が働き口を見つけ、“ハイツムコリッタ”という古いアパートに引っ越してくるところから始まります。家族も生き甲斐もない孤独な山田は、ひっそりと暮らすことを望んでいます。しかし、引っ越し初日から隣人の島田(ムロツヨシ)が「お風呂を貸して欲しい」と、やってきます。その先は本編をご覧いただくとして、島田の無遠慮な行動に山田がたじたじになる姿はとても可笑しく、2人の関係の行方に注目です。さらに、アパートには他にもアクの強いキャラが登場するので、山田自身の心境がどう変化していくのかも見守って欲しいと思います。
そんな人間ドラマの一方で、もう1つ本作の重要なキーとなるのが、人間の死です。山田を含むアパートの住人達は、実は死と接点のある人物ばかりで、それぞれの死生観も感じられます。とはいえ、暗くなり過ぎず、優しく答えを導いてくれる作品なので、どんな人でも何か心に響くものがあると思います。山田を中心としたアパートの住人達の姿を観ていると、普段忘れかけていた小さな幸せにも気づくことができるので、自分の生活を振り返りながら観るのもオススメです。

デート向き映画判定
映画『川っぺりムコリッタ』松山ケンイチ/ムロツヨシ

恋愛要素はないものの、人間対人間の大切な関係に気づける作品です。孤独であることを望む山田が、アパートの住人と出会うことでさまざまな化学反応が起こります。その様子からは恋愛においても参考になる点が見つかりそうです。また、長く付き合っていると見失いがちな小さな幸せの大切さも感じられるので、本作を通して改めて幸せの見つけ方を思い出してみてください。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『川っぺりムコリッタ』満島ひかり

皆さんにもまずは純粋な気持ちで観て欲しいと思います。山田と島田の関係からは、皆さんの友人関係にも通ずるものを感じられるのではないでしょうか。人と人が寄り添って生きていくことの必要性も感じられるので、自分の家族や友達をより大事にしたくなると思いますよ。

映画『川っぺりムコリッタ』松山ケンイチ/ムロツヨシ/満島ひかり/吉岡秀隆

『川っぺりムコリッタ』
2022年9月16日より全国公開
KADOKAWA
公式サイト

© 2021「川っぺりムコリッタ」製作委員会

TEXT by Shamy

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ヒックとドラゴン』メイソン・テムズ メイソン・テムズ【ギャラリー/出演作一覧】

2007年7月10日生まれ。アメリカ生まれ。

「Kodansha Studios 設立発表会見」野間省伸(株式会社講談社 代表取締役社長)、 クロエ・ジャオ(Kodansha Studios 最高クリエイティブ責任者)、 ニコラス・ゴンダ(Kodansha Studios COO) 映画業界に新風を吹かせられるか?2025新レーベル発足および官民の取組みまとめ

今回は近日発足された新レーベルと、官民の取組みについてまとめて紹介します。

映画『果てしなきスカーレット』 果てしなきスカーレット【レビュー】

細田守が原作、脚本、監督を担当した本作は、16世紀のデンマークの王女、スカーレットが主人公です。細田監督は…

映画『ブラックフォン2』イーサン・ホーク/メイソン・テムズ ブラックフォン2【レビュー】

2022年に作られたシリーズ1作目『ブラック・フォン』から4年後を描いた本作でも…

映画『金髪』白鳥玉季さんインタビュー 『金髪』白鳥玉季さんインタビュー

今回は『金髪』で生徒の板緑役を演じた白鳥玉季さんにインタビューさせていただきました。“金髪デモ”を起こすキーパーソンである板緑を演じた感想や、撮影裏でのエピソードを直撃しました。

映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉 TOKYOタクシー【レビュー】

クリスチャン・カリオン監督『パリタクシー』を原作とした本作は、東京にある柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設までの道のりを舞台に、山田洋次監督が映画化…

映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ 心理学から観る映画59:研究倫理に反する実験とその被害『エクスペリメント』『まったく同じ3人の他人』

『まったく同じ3人の他人』というドキュメンタリーを観ました。生き別れた三つ子が再会する感動のストーリーかと思いきや、驚愕の背景を知り、研究倫理について改めて考えさせられました。そこで今回は研究倫理をテーマとします。

映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』ヴァネッサ・パラディ ヴァネッサ・パラディ【ギャラリー/出演作一覧】

1972年12月22日生まれ。フランス出身。

映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮 ブルーボーイ事件【レビュー】

高度成長期にあった1965年の東京では、街の浄化のため、警察はセックスワーカー達を厳しく取り締まっていました。ただ、セックスワーカーの中には性別適合手術(当時の呼称は性転換手術)を受けて女性的な体をした通称ブルーボーイが…

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  2. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  3. 映画『おーい、応為』長澤まさみ

REVIEW

  1. 映画『果てしなきスカーレット』
  2. 映画『ブラックフォン2』イーサン・ホーク/メイソン・テムズ
  3. 映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉
  4. 映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮
  5. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP