REVIEW

マリリン・モンロー 私の愛しかた【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『マリリン・モンロー 私の愛しかた』マリリン・モンロー

REVIEW

今もなお名を知られるマリリン・モンローは、1926年6月1日、非摘出子としてロサンゼルスに生まれ、ノーマ・ジーン・モーテンセンと名付けられました。彼女の不遇な生い立ちについては一部誤った情報が流布されてきたなか、本作は事実を知る人々の証言で構成され、これまで知られていなかった、もしくは誤解されてきたマリリン・モンローの真実を明かしています。

映画『マリリン・モンロー 私の愛しかた』マリリン・モンロー

まず驚くのは、スターとしてのマリリン・モンローの身近にいた人物、プライベートのノーマ・ジーンの身近にいた人物の中でも、本当にさまざまな接点で彼女を知る人物のアーカイブを集めて構成されていることです。なんと、イアン・エアーズ監督は、12年を費やし情報を集めたそうです。プロデューサーのエリック・エレナは、エアーズ監督が12年間かけた成果について、下記のように振り返ります。

映画『マリリン・モンロー 私の愛しかた』マリリン・モンロー

多くのドキュメンタリー作家はたいていアメリカのアーカイブを使用しますが、私たちはどちらかというとアメリカ以外のものも見るようにしました。(中略)ある人にインタビューすると「見せたことがない写真があるんだけど、見たい?」と聞かれ、その人だけが持っている写真がでてくるんです。その他に、彼女の死後から今日までに作られたDVDをすべて調べました。(中略)これまでの多くの伝記の中で、マリリンが言ったことをそのままに書いていることが多くありますが、それが必ずしも真実とは限らないと、監督は突き止めました。だからこそ、監督は読んだものをただ信じるのではなく、実際に当時の彼女を知っている人たちに会い、インタビューをし、そこから本当の彼女の姿や生い立ちを導き出し、真実だと感じられることを見つけたのです。(映画公式資料)

マリリン・モンローの最期についてもこれまで謎とされてきましたが、本作では膨大な調査のもと、ある見解を断言しています。そこに至るまでの経緯も彼女を知る人々の証言や複数の研究者の証言をもとに綴られているので、とても説得力があります。

映画『マリリン・モンロー 私の愛しかた』マリリン・モンロー

マリリン・モンローがセックスシンボルとして人気を得た背景も想像以上に複雑です。愛されようとする純粋な気持ち、過去の心の傷を癒すための反動など、さまざまな背景が絡んでいます。また、セックスシンボルと見られているからこそ、余計に自分で自分の身を守るのは大変だっただろうとわかります。徐々にではあるものの、日本も含め世界中でエンタテインメント業界の闇が暴かれてきた現代だからこそ、本当のマリリン・モンローの生き様を知る意義は大きいと感じます。

デート向き映画判定

映画『マリリン・モンロー 私の愛しかた』マリリン・モンロー

性的虐待や男性優位社会におけるハラスメントが平気で行われている状況が観ていて恐ろしいので、デートで観るには向いていない内容ではあるものの、一緒に観るとお互いの価値観を知るきっかけにできそうです。女性のキャリアについての理解もテーマにあるので、相手の反応を知りたい場合は敢えて一緒に観るのも良さそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『マリリン・モンロー 私の愛しかた』マリリン・モンロー

エンタテインメント業界は外から見ればきらびやかでしょう。でも、時代や国が異なるとはいえ、マリリン・モンローが経験した出来事を知ると、想像以上に恐ろしい環境でもあるとわかるはずです。それでも夢を諦めずにスターになり、その後も向上しようとし続けた彼女の生き様から学べることは大いにあると思います。

映画『マリリン・モンロー 私の愛しかた』マリリン・モンロー

『マリリン・モンロー 私の愛しかた』
2025年5月30日より全国公開
彩プロ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

©2023-FRENCH CONNECTION FILMS

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年5月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『金髪』白鳥玉季さんインタビュー 『金髪』白鳥玉季さんインタビュー

今回は『金髪』で生徒の板緑役を演じた白鳥玉季さんにインタビューさせていただきました。“金髪デモ”を起こすキーパーソンである板緑を演じた感想や、撮影裏でのエピソードを直撃しました。

映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉 TOKYOタクシー【レビュー】

クリスチャン・カリオン監督『パリタクシー』を原作とした本作は、東京にある柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設までの道のりを舞台に、山田洋次監督が映画化…

映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ 心理学から観る映画59:研究倫理に反する実験とその被害『エクスペリメント』『まったく同じ3人の他人』

『まったく同じ3人の他人』というドキュメンタリーを観ました。生き別れた三つ子が再会する感動のストーリーかと思いきや、驚愕の背景を知り、研究倫理について改めて考えさせられました。そこで今回は研究倫理をテーマとします。

映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』ヴァネッサ・パラディ ヴァネッサ・パラディ【ギャラリー/出演作一覧】

1972年12月22日生まれ。フランス出身。

映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮 ブルーボーイ事件【レビュー】

高度成長期にあった1965年の東京では、街の浄化のため、警察はセックスワーカー達を厳しく取り締まっていました。ただ、セックスワーカーの中には性別適合手術(当時の呼称は性転換手術)を受けて女性的な体をした通称ブルーボーイが…

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 君の顔では泣けない【レビュー】

高校1年生の夏、坂平陸(武市尚士)と水村まなみ(西川愛莉)はプールに一緒に落ちたことで体が入れ替わってしまいます。2人はすぐに元に戻ることができず15年を過ごし…

映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト スプリングスティーン 孤独のハイウェイ

物語の舞台は1982年。ブルース・スプリングスティーン(ジェレミー・アレン・ホワイト)は、名声を手に入れながらも、葛藤を抱えて…

映画『2つ目の窓』松田美由紀 松田美由紀【ギャラリー/出演作一覧】

1961年10月6日生まれ。東京都出身。

「第38回東京国際映画祭」クロージングセレモニー:受賞者 東京グランプリは『パレスチナ36』!第38回東京国際映画祭ハイライト

2025年10月27日(月)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開幕したアジア最大級の映画の祭典である第38回東京国際映画祭が、11月5日(水)に閉幕。今年も個性豊かな作品が多数出品され、さまざまなイベントが実施されました。以下に、第38回東京国際映画祭ハイライトをお届けします。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  2. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  3. 映画『おーい、応為』長澤まさみ

REVIEW

  1. 映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉
  2. 映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮
  3. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人
  4. 映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト
  5. 映画『平場の月』堺雅人/井川遥

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP