REVIEW

MaXXXine マキシーン【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『MaXXXine マキシーン』ミア・ゴス

REVIEW

めちゃくちゃホラー愛、映画愛が詰まった作品!一周回ってすごくエモいではありませんか(笑)!シリーズ1作目『X エックス』、2作目『Pearl パール』の流れから、よくぞ見事に意外な形でまとめてくれたと感激します。こんな表現方法でホラー愛、映画愛を放つとは、タイ・ウェスト監督(脚本も担当)は天才!

映画『MaXXXine マキシーン』ミア・ゴス

本作の舞台は、『X エックス』の凄惨な事件から6年後の1985年。劇中には当時を象徴する人物やアイテムが登場します。まず、劇中で話題に挙がる“ナイト・ストーカー”は、当時全⽶を震撼させた実在の連続殺⼈⻤です(映画公式資料)。マキシーン(ミア・ゴス)の身の回りで次々に起こる不穏な出来事は“ナイト・ストーカー”に関連するのか、マキシーンとどう関わっていくのかというところで物語に引き込まれます。そして、映画スターを目指すマキシーンの友人がレンタルビデオ店を営んでいて、当時のビデオ文化に浸れるのも本作の魅力です。また、キャラクター達が身にまとう80年代のファッションにもこだわりが見えます。

映画『MaXXXine マキシーン』ミア・ゴス
映画『MaXXXine マキシーン』ミア・ゴス/エリザベス・デビッキ

マキシーンが映画スターを目指す過程で、映画スタジオを舞台にしたシーンがふんだんにある点も嬉しいポイントです。中でもアルフレッド・ヒッチコックのユニバーサル映画『サイコ』の撮影セットが効果的に使われているシーンに映画ファンは感激せざるをえないでしょう。映画公式資料のスタッフ談によると、「『MaXXXine マキシーン』の制作で⼤いに興奮したことの1つは、伝説的な家の中に⼊れたことだ。実際には⾒せかけだけだが、雰囲気と不穏な感じと映画の歴史に満ちあふれている家だ」と語っており、「アルフレッド・ヒッチコック財団から架空のベイツ・モーテルを撮影する許可を得」る際、「彼らは『MaXXXine マキシーン』の脚本を読んですぐに映画に対する臆⾯もない愛を感じ取ってくれた」そうです。やっぱり映画愛が通じたのだなとこの制作秘話にも感動します。

映画『MaXXXine マキシーン』リリー・コリンズ

三部作の最後を飾るにふさわしくキャストもすごく豪華です。脇役には、ケヴィン・ベーコン、ジャンカルロ・エスポジート、エリザベス・デビッキ、リリー・コリンズ、ミシェル・モナハン、ボビー・カナヴェイル、ソフィー・サッチャーが名を連ねています。中でも、リリー・コリンズが本作でどんな異彩を放っているのか、ご注目ください。

映画『MaXXXine マキシーン』ミア・ゴス/モーゼス・サムニー

本作は、ホラーでありつつ、刑事ものを観ているようなシーンや、観ようによってはコメディで、サクセスストーリーでもあります。なんだか“ええ話”みたいなノリもあり、よくこんな着地点を見つけたなと驚かされます。撮影所をめぐり名作のスポットを映したり、ビデオ文化も描かれ、ホラー映画のある種の偏見に対する反論に思える要素もあり、映画史を辿る感覚で映画愛に触れられます。同時に、ホラー、ひいては映画は、これまで文化として生き残ってきて、「これを終わらせたくない」という気持ちが本作に込められているように感じました。だから、自分で自分を守るマキシーンという存在は、映画を守りたい人達の分身のようにも思えます。よって、いろいろエモいと表現しました。ホラーファンのみならず、映画ファンの皆さん必見の作品です。

デート向き映画判定

映画『MaXXXine マキシーン』ミア・ゴス

エログロ要素があるので、年に数回のみ映画を観る方には刺激が強いと思うものの、映画好きのカップルは一緒に観ると盛り上がれる要素がたくさんあります。ジャンルを問わず映画をよく観る2人なら、本作をデートで観るのもありでしょう。シリーズ前作を観ていない方は、一緒に復習してから本作を観るのも良いですね。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『MaXXXine マキシーン』ミア・ゴス

R-15なので、15歳になったら観られるとはいえ、ホラーに免疫がついてから観るほうがただ怖がる、痛がるだけではない、ホラーの醍醐味を感じながら観られると思います。映画にハマり始めた方は、マイルドなホラーから徐々に馴らしていって、本シリーズを観ると良いのではないでしょうか。

映画『MaXXXine マキシーン』ミア・ゴス

『MaXXXine マキシーン』
2025年6月6日より全国公開
R-15+
ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

©︎ 2024 Starmaker Rights LLC. All Right Reserved.

TEXT by Myson


関連作

『X エックス』
REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定
AmazonでDVDを購入する Amazonプライムビデオで観る

『Pearl パール』
REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定 恐怖の波が押し寄せる!2023年ホラー特集 映画好きが選んだ2023洋画ベスト
Amazonでブルーレイを購入する Amazonプライムビデオで観る

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年6月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『親友かよ』ティティヤー・ジラポーンシン ティティヤー・ジラポーンシン【ギャラリー/出演作一覧】

2005年1月4日生まれ。タイ、バンコク出身。

映画『バーバラと心の巨人』マディソン・ウルフ 心理学から観る映画56:映画鑑賞におけるソマティック・マーカー(身体反応)の影響

今回は、トーキョー女子映画部正式部員の方からいただいたお悩み相談に関する話題を提供します。

映画『か「」く「」し「」ご「」と「』早瀬憩 早瀬憩【ギャラリー/出演作一覧】

2007年6月6日生まれ。千葉県出身。

映画『木の上の軍隊』堤真一/山田裕貴 木の上の軍隊【レビュー】

原作はこまつ座で上演された同名の戯曲で、井上ひさしが遺した原案を基に、井上の娘でこまつ座社長の井上麻矢が遺志を継ぎ…

海外ドラマ『9-1-1 LA救命最前線 シーズン8』ピーター・クラウス ピーター・クラウス【ギャラリー/出演作一覧】

1965年8月12日生まれ。アメリカ出身。

映画『星つなぎのエリオ』 星つなぎのエリオ【レビュー】

主人公は、幼くして両親を失い、叔母のオルガのもとで暮らすことになった少年エリオ…

映画『タンゴの後で』アナマリア・ヴァルトロメイ/マット・ディロン 『タンゴの後で』トークイベント付試写会 15組30名様ご招待

映画『タンゴの後で』トークイベント付試写会 15組30名様ご招待

映画『MELT メルト』ローザ・マーチャント MELT メルト【レビュー】

いろいろな意味で残酷。絶対起きてはならない出来事…

映画『怪物』黒川想矢 黒川想矢【ギャラリー/出演作一覧】

2009年12月5日生まれ。埼玉県生まれ。

映画『スタントマン 武替道』トン・ワイ/テレンス・ラウ/フィリップ・ン スタントマン 武替道【レビュー】

香港映画に対する誇りと、香港映画や映画作りに関わる人達を守りたい気持ちが交錯する…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『スーパーマン』デイビッド・コレンスウェット 映画好きが選んだDCコミックス映画ランキング

今回は正式部員の皆さんに好きなDCコミックス映画について投票していただきました。“スーパーマン”や“バットマン”など人気シリーズが多くあるなか、上位にはどんな作品がランクインしたのでしょう?

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズ 映画好きが選んだトム・クルーズ人気作品ランキング

毎度さまざまな挑戦を続け、人気を博すハリウッドの大スター、トム・クルーズ。今回は、トム・クルーズ出演作品(日本劇場未公開作品を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『シークレット・アイズ』キウェテル・イジョフォー/ジュリア・ロバーツ /ニコール・キッドマン 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.5

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『バーバラと心の巨人』マディソン・ウルフ
  2. 映画『We Live in Time この時を生きて』フローレンス・ピュー/アンドリュー・ガーフィールド
  3. 映画『君がトクベツ』畑芽育/大橋和也

REVIEW

  1. 映画『木の上の軍隊』堤真一/山田裕貴
  2. 映画『星つなぎのエリオ』
  3. 映画『MELT メルト』ローザ・マーチャント
  4. 映画『スタントマン 武替道』トン・ワイ/テレンス・ラウ/フィリップ・ン
  5. 映画『IMMACULATE 聖なる胎動』シドニー・スウィーニー

PRESENT

  1. 映画『タンゴの後で』アナマリア・ヴァルトロメイ/マット・ディロン
  2. 映画『スーパーマン』オリジナルトートバッグ
  3. 映画『雪風 YUKIKAZE』竹野内豊
PAGE TOP