REVIEW
「18・19歳の厳罰化を目的とした、2022年の少年法改正に対して抱いた疑問から制作を始めました」(映画公式サイト、佐藤慶紀監督)とあるように、本作には少年院を出所した青年が登場します。1年前に少年院を出所したユウキ(高田万作)は、母の妹である叔母の典子(筒井真理子)が営むキャンプ場に突然やってきます。そして、もう何年も会っていなかったユウキが彼の母である姉の居場所を探していて、父親とうまくいっていないと知った典子は、ユウキと一緒に過ごすことにします。

ユウキはなかやか他者に心を開かず、大人からするとどう接したら良いかわからない印象です。ユウキに向き合おうとする典子自身も、人と器用に接することができるほうではありません。でも、だからこそ真正面から向き合おうとする典子に、ユウキは徐々に心を開こうとしているように映ります。


本作では、叔母と甥という独特な距離感が絶妙に描かれています。いつの時代も、年頃の若者の理解に困る大人はいて、わざわざ関わろうとする大人のほうが少ないでしょう。ただ、本作を観ていると、親でなくても、人生に迷った若者に手を差し伸べる大人の存在は必要だと感じます。そして、典子にとっても甥とのやり取りを通して、無念だった出来事に区切りをつけられているようにみえて、お互いの存在が癒しとなっている様子に、観ているこちらも癒されます。本作は、人間関係に疲れて、なんとなく孤独感がある方に特にオススメの1作です。
デート向き映画判定

特別デート向きという内容ではないものの、家族や親戚との心の繋がりを描いているので、観た後は自ずと生い立ちなどについて話したくなると思います。また、会話が少なくなっているカップルは、言葉少ななユウキの様子を観ていると、言葉にしないと相手に伝わらないしお互いに理解できないという状況を客観視できるところもありそうです。
キッズ&ティーン向き映画判定

日常を淡々と描いているので、見た目に派手な展開のある作品が好みの方には不向きかもしれません。ただ、ユウキは皆さんと世代が近いので、共感しやすい部分もあるでしょう。言葉の一つひとつや、その言葉を受けたキャラクターの細かい表情に目を向けて、それぞれの心の中がどんな風に動いているかをじっくり観察して欲しいです。

『もういちどみつめる』
2025年11月22日より全国順次公開
渋谷プロダクション
公式サイト
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©Aerial Films
TEXT by Myson
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情報は2025年11月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。






























