REVIEW

十二単衣を着た悪魔

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『十二単衣を着た悪魔』伊藤健太郎/三吉彩花

本作は紫式部の「源氏物語」で描かれる世界を新たな解釈で描く、内館牧子の小説「十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞」を原作に映画化したもの。「源氏物語」といえば“光源氏”ですが、本作の主人公は違います。主人公の1人は三吉彩花が演じる弘徽殿女御(こきでんのにょうご)。彼女がタイトルにある“十二単衣を着た悪魔”というわけですが、“悪魔”の定義は字義通りではないところにおもしろみがあります。原作の「十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞」は、『プラダを着た悪魔』でメリル・ストリープが演じたファッション誌の辣腕編集長がヒントになっていると言われており、弘徽殿女御がもし現代人だったら、全く違って見えたのではないかという視点が描かれている点が見どころです。物語のもう1人の主人公は、現代社会で自分の居場所を探し続ける青年、雷(伊藤健太郎)。雷が源氏物語の世界にタイムスリップしてしまい、新たな視点で「源氏物語」の世界を眺めることで、弘徽殿女御をはじめとする人間関係が現代的な視点では全く違って見えることを強調する役割を果たしています。
そういった「源氏物語」の新たな解釈が楽しめるのはもちろん、雷のように居場所が見つけられない人の思いを癒す観方もあります。弘徽殿女御は生まれるべき時代が早過ぎたわけですが、逆に雷というキャラクターは現代に馴染めていないというか、居場所を見つけられていません。彼の場合は時代を間違えたということではなさそうですが、時代を問わず生き抜くために何が必要かを探求するキャラクターとして機能していると思います。結局生まれた時代でどう生きるかを問う内容になっている点で私達の身近なストーリーとなっているので、時代劇という枠にはめずに観て欲しい作品です。
また、三吉彩花さんのインタビューでもお話が出ましたが、黒木瞳監督の並々ならぬこだわりが込められた作品です。女性達の所作の美しさや話し方などにもぜひ注目して観てください。

デート向き映画判定
映画『十二単衣を着た悪魔』伊藤健太郎/三吉彩花

「源氏物語」をベースにしているので、ラブロマンスの要素や男女の複雑な関係はもちろん描かれていますが、時代も違うし世界も違うので、気まずくなることはないでしょう。誰もが知ってるであろう「源氏物語」にまつわるお話なので馴染み易く、初デートでも誘いやすいですよね。歴史や文学が好きなカップルなら鑑賞後にたっぷり語れば良いし、それほどでもないカップルは気楽に観るだけでも良いと思います。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『十二単衣を着た悪魔』伊藤健太郎/伊藤沙莉

物語の軸が弘徽殿女御なので、あらゆる場面で彼女がどんな決断をするのかが、本作のおもしろみの1つとなっています。古文、日本史に苦手意識がある人は、こういう映画を観てみると親近感が増して、勉強する上でもちょっと興味がわくと思います。雷が抱える悩みや、兄弟関係は、ティーンの皆さんにとっても身近なので、感情移入しやすいでしょう。

映画『十二単衣を着た悪魔』伊藤健太郎/三吉彩花/伊藤沙莉

『十二単衣を着た悪魔』
2020年11月6日より全国公開
キノフィルムズ
公式サイト

© 2019「十二単衣を着た悪魔」フィルムパートナー

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『わたしの知らない子どもたち』小八重葵美/二階堂ふみ わたしの知らない子どもたち【レビュー】

戦後の厳しい時代を生き抜く子ども達の姿を描く本作は、広島に生まれた西川美和監督によって作られました…

映画『君の話』北村匠海/出口夏希 『君の話』キャスト&監督登壇!完成披露試写会20名様ご招待

『君の話』キャスト&監督登壇!完成披露試写会20名様ご招待

映画『さとこはいつも』石田ひかり 石田ひかり【ギャラリー/出演作一覧】

1972年5月25日生まれ。東京都出身。

映画『mentor』磯村勇斗/末澤誠也 mentor【レビュー】

メンターとは、指導者、師匠のような存在を指します。でも、𠮷田恵輔監督作となると、字義通りのメンターの話なのかどうか、というより、そのまま描くはずはない、と勘ぐってしまう方もいるでしょう(笑)…

映画『八つ墓村』堀田真由 堀田真由【ギャラリー/出演作一覧】

1998年4月2日生まれ。滋賀県出身。

映画『進行曲 マーチングボーイズ』ムー・セン(牧森) 『進行曲 マーチングボーイズ』ムビチケ前売券(カード) 3名様ご招待

映画『進行曲 マーチングボーイズ』ムビチケ前売券(カード) 3名様ご招待

映画『DIGGER/ディガー』来日記者会見、トム・クルーズ、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督 脚本を執筆中に想像上の出来事が現実となり私達を追い越していく恐ろしさを感じた『DIGGER/ディガー』トム・クルーズ&アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督来日記者会見

映画『DIGGER/ディガー』の公開を目前に来日記者会見が開催され、主演のトム・クルーズとアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が登壇しました。

映画『バイオハザード』ザック・クレッガー監督版:オースティン・エイブラムス バイオハザード【レビュー】

監督を務めたのは、『WEAPONS/ウェポンズ』(2025)を手掛けたザック・クレッガー…

映画『汝、星のごとく』横浜流星/広瀬すず 汝、星のごとく【レビュー】

凪良ゆうの同名ベストセラーを原作とする本作は、横浜流星の熱い想いが企画の発端だったといいます…

映画『ダビデ ~王になった少年~』 『ダビデ ~王になった少年~』特別試写会 5組10名様ご招待

映画『ダビデ ~王になった少年~』特別試写会 5組10名様ご招待

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

【映画学ゼミSeason2】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求(2)言葉とイメージの関係」参加者募集! 【映画学ゼミSeason2】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求(2)言葉とイメージの関係」参加者募集!

Season2では、比喩的思考、批判的思考、論理的思考を軸として、「思考力を鍛える映画鑑賞の仕組み」を探求するスタンスで一連の流れを意識して構成しています。 とはいえ、毎回冒頭で前回までの振り返りを簡単にしますので、好きな回だけ単発で参加いただいてもOKです。映画に関する雑談も含めて一緒に楽しみましょう!

映画『プラダを着た悪魔』アン・ハサウェイ 映画好きが選んだアン・ハサウェイ人気作品ランキング

今回は、アン・ハサウェイ出演作品(日本劇場未公開作品と直近の劇場公開作品を除く)を対象に、正式部員…

映画『ボヘミアン・ラプソディ』ラミ・マレック 映画好きが選んだ実在アーティストの伝記映画ランキング

今回は実在アーティストの伝記映画について、正式部員の皆さんに投票してもらいました。さまざまな有名アーティストにまつわる作品がある中で上位にランクインしたのはどの作品でしょうか?

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミSeason2】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求(2)言葉とイメージの関係」参加者募集!
  2. 【映画学ゼミSeason2 第1回】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求①オリエンテーション」参加者募集!
  3. 【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集!

REVIEW

  1. 映画『わたしの知らない子どもたち』小八重葵美/二階堂ふみ
  2. 映画『mentor』磯村勇斗/末澤誠也
  3. 映画『バイオハザード』ザック・クレッガー監督版:オースティン・エイブラムス
  4. 映画『汝、星のごとく』横浜流星/広瀬すず
  5. Netflixシリーズ『ダウンタイム』松岡茉優/仲里依紗

PRESENT

  1. 映画『君の話』北村匠海/出口夏希
  2. 映画『進行曲 マーチングボーイズ』ムー・セン(牧森)
  3. 映画『ダビデ ~王になった少年~』
PAGE TOP