REVIEW

水曜日が消えた

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映画『水曜日が消えた』中村倫也

「“水曜日が消えた”ってどういうこと?」って思っていたら、「そういうことだったのね」から始まり、クライマックスでは、本来あるべき姿になることが主人公にとっては良いことなのか否かと考えてしまうような、視点の変化を体感できます。私達にとって当たり前の日常が、こういう視点で観るととても尊く見えて、1日1日が愛おしく感じます。曜日毎のムードが反映された主人公の日常を追ううちに、異次元を旅しているような感覚にもなれて、SFじゃないのにSFを観ているような気分になる不思議な世界観が魅力です。
多重人格のそれぞれの人格が曜日毎に割り振られているという設定がとてもユニークなわけですが、多重人格と言い切ってよいものか、これはこれである意味主人公にとっては“正常”であるならば、必ずしも精神疾患とは言えないのではないかと思うと、これまでのいろいろな多重人格者のストーリーと一線を画しています。クライマックスはどんどんスリリングになっていき、サスペンスとしても楽しめる上に、エンドロールはコミカルで温かく、一粒で何度でも美味しい作品となっています。カメレオン俳優、中村倫也の持ち味が存分に活かされているので、ファンはもちろん、ファン予備軍も魅了されることでしょう。友達と観に行くと、「私は火曜日が好き」「え〜、私は月曜日が好き〜」と、どうでも良い議論で盛り上がることもできそうです(笑)。

デート向き映画判定
映画『水曜日が消えた』中村倫也/石橋菜津美

恋愛も物語の展開上重要な役割を果たしますが、キャラクター設定がユニークで自分達に置き換えて観ることはないと考えると、デートで観ても気まずくなることはないでしょう。ただし、二股もしくは何股か持っているのではないかと相手に疑惑を持ちながら付き合っている人は、ストーリーがどんなものかはそっちのけで、変なところで変な想像に結びつけて観ちゃう可能性があります。その恐れがある人は、デートではなく、心の内を明かせる友達を誘って楽しく観てください。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『水曜日が消えた』中村倫也/中島歩/きたろう

「学校行くのやだ!」「宿題するのやだ!」「体育の時間やだ!」なんて思っていても、本作を観ると、毎日いろいろ違ったことができるって素敵なことで、明日も“自分”のままで過ごせることがどんなに有り難いことかがわかるはずです。もし週一、どれかの曜日しか生きられないとしたら、あなたはどうしますか?本作は、日頃私達が当たり前のこととしてしか見ていない大切なことに気付かせてくれる作品です。小学校高学年以上なら充分に理解できる内容だと思います。ぜひこの世界に入り混んで、当たり前の日常を新たな視点で眺めてみてください。

映画『水曜日が消えた』中村倫也

『水曜日が消えた』
2020年6月19日より全国公開
日活
公式サイト

©2020『水曜日が消えた』製作委員会

TEXT by Myson

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