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スウィート・シング【レビュー】

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映画『スウィート・シング』ラナ・ロックウェル/ニコ・ロックウェル/ウィル・パットン

15歳のビリー(ラナ・ロックウェル)と11歳のニコ(ニコ・ロックウェル)が主人公の本作は、アレクサンダー・ロックウェル監督の一家が揃って出演しています。ビリーとニコを演じたのはロックウェル監督の実の子ども達で、妻のカリン・パーソンズも2人の母親として出演しています。家族の物語をホンモノの家族が一緒に作り上げているって、それだけでも素敵ですね。
ストーリーはというと、母が家を出ていき父と暮らすビリーとニコが大人達に振り回される日々の中で、子どもらしい瞬間を映し出したものです。子どものほうが親への愛情が深いのではと思えるだけに、それが報われずに日々やっとの思いで生きている彼等の姿がとても切ないです。そして、大人達によって2人が怖い思いをするシーンも何度かあり、緊張感が走る一方、合間に見える彼等の無邪気な姿がコントラストとなって輝きを放ちます。
主にはビリーの目線で語られていき、モノクロとカラーのシーンが織り交ぜられた構成もユニーク。映像的にはとてもナチュラルでオシャレですが、それとは裏腹に内容は重く、そのギャップで余計に胸に残ります。でも、暗いだけではなく温かさもあるので構えずに観てください。

デート向き映画判定
映画『スウィート・シング』ラナ・ロックウェル

ロマンチックなムードになるタイプの作品ではありませんが、このアーティスティックな作品がもたらす空気感はデートに合いそうな気がします。暗い出来事が何度か起こるので切ない気持ちにはなりますが、姉弟が支え合いながら日々を生きる姿には共感できます。お互いのきょうだいについてまだあまり知らないカップルは、本作をきっかけに話してみると良いでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『スウィート・シング』ラナ・ロックウェル

こういう大人の姿は見たくないと皆さんが思うであろうシーンがいくつか出てきます。でも、そのなかでビリーとニコが必死で自分達の身を守り、子どもらしく過ごせる瞬間を見つける姿には共感できると思います。露骨には映っていませんが、少々怖い思いをするシーンもあるので、中学生以上になってから観るほうが一層2人の状況を理解した上で観られると思います。映画に興味が増してきたティーンの皆さんにはオススメの一作です。

映画『スウィート・シング』ラナ・ロックウェル

『スウィート・シング』
2021年10月29日より全国順次公開
ムヴィオラ
公式サイト

© 2019 BLACK HORSE PRODUCTIONS. ALL RIGHTS RESERVED

TEXT by Myson

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