REVIEW
つげ義春の「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」を原作に、『ケイコ 目を澄ませて』『夜明けのすべて』などを手がけた三宅唱監督が映画化した本作は、日本映画では18年ぶりにロカルノ国際映画祭で金豹賞(グランプリ)を受賞、加えてヤング審査員賞特別賞をW受賞しています。

脚本家の李(シム・ウンギョン)は、壁にぶち当たり、ぶらりと旅に出ます。宿も予約しておらず、泊まるところがなかなか見つからない李は、山奥の宿を紹介され辿り着きます。そして、亭主(堤真一)が1人いるだけで、他に客もいない宿で数日を過ごします。

「ここに女性1人で泊まるの⁈」というシチュエーションはさておき(笑)、のどかな旅の風景が美しく、観ているだけでも日常から少し離れられる感じがします。雪に覆われ外出するにも一苦労という場所にきて、見知らぬ人物と過ごす李の様子には、あてもない一人旅の醍醐味を見てとれます。

慣れた日常は楽ではあるけれど、李のように停滞感が出てきたら、日常から一歩出るって必要だなと感じます。そうすれば、当たり前のように感じていたことが当たり前ではなかったり、ちょっとしたハプニングが冒険になったり、人生のスパイスになります。つげ義春の「海辺の叙景」を原作とした劇中劇も哀愁漂う独特な世界観があって、観光目的の旅行とは異なる、旅の良さを物語っています。本作を観ると、観光目的の旅行とは異なる旅をしてみたくなりますよ。
デート向き映画判定

特別デート向きの作品というわけではないものの、ホッコリできるストーリーなので、一緒に気分転換できるでしょう。漠然とした停滞感がある状況は誰にでもあると思います。お互いに日常のモヤモヤを話す、聞いてもらうきっかけに観るのもアリではないでしょうか。
キッズ&ティーン向き映画判定

主人公が一人旅をして、ゆっくりと心に活力を取り戻す様子が淡々と描かれていて、見た目に派手さはありません。なので、派手な展開が多いエンタメ超大作が好みの方にはピンとこないかもしれません。ただ、詩的で印象的なセリフが複数あり、心の中を絶妙に表現しているシーンが見どころなので、焦燥感、空虚感、停滞感がある方は感覚的に共感できそうです。

『旅と日々』
2025年11月7日より全国公開
ビターズ・エンド 
公式サイト
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© 2025『旅と日々』製作委員会
TEXT by Myson
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