REVIEW

夜明けのすべて【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『夜明けのすべて』松村北斗/上白石萌音

REVIEW

「そして、バトンは渡された」で本屋大賞(2019)を受賞した瀬尾まいこが書いた「夜明けのすべて」を、『ケイコ 目を澄ませて』の三宅唱監督が映画化した本作には、生きづらさを抱えた2人の主人公が登場します。1人は重いPMS(月経前症候群)を患う“藤沢さん”(上白石萌音)、もう1人は、パニック障害で電車に乗れないなどの不自由を抱える“山添くん”(松村北斗)です。2人は同じ職場で働いています。

映画『夜明けのすべて』松村北斗/上白石萌音

PMSやパニック障害について聞いたことはあっても、実際に日常でどんな困り事があるのかは当事者や身近に該当者がいないとなかなか知る機会がありません。本作では、それぞれに苦労を積み重ねてきた藤沢さんと山添くんだからこそ、本音で向き合い、お互いのさまざまな姿を目の当たりにするなかで支え合う姿が描かれています。

映画『夜明けのすべて』松村北斗/光石研

2人が務める企業の包容力も印象的です。また、深い悲しみを抱えながら生きている他のキャラクターもいて、それぞれに背景は異なるものの、お互いを理解し支えようとする姿に心が温かくなります。他者にイライラや怒りをぶつける人を見たら、その場面だけでその人物を判断してしまうことは少なくありません。でも、背景を知ると見え方が大きく変わるし、少しだとしても助けられる方法が見つかれば付き合い方もわかって距離が縮まることもあります。本作はそんなことを教えてくれる1作です。
一言でいうと、本作はとっても優しい映画です。そして、キャラクター皆に人間愛が溢れています。孤独にうちひしがれそうな時、安らぎを得たい時にぜひ観てください。

デート向き映画判定

映画『夜明けのすべて』上白石萌音/芋生悠

ラブストーリーが軸ではないものの、カップルも登場するので、一方が心の問題を抱えた時にどう向き合えば良いかシミュレーションできるところはあると思います。ただこれが正解だというメッセージがあるわけではありません。それぞれのキャラクターがお互いを尊重する姿に注目してください。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『夜明けのすべて』松村北斗/上白石萌音

人を知る方法が描かれているストーリーといえます。一見ぶっきらぼうでも、よく知っていくと優しい一面があったり、人にはいろいろな側面があるとわかるでしょう。たとえば、もし突然イライラして感情を爆発させている同級生を見かけたら、イヤだなで片付けるのではなく、何か事情があるのかなと想像してみるだけでも相手を知る一歩になります。可能なら、じっくり話してみる機会を作ると、相手を知るさらなる一歩に繋がると思います。でも、自分も無理をしないでゆっくり関係を作っていくと良いと思います。

映画『夜明けのすべて』松村北斗/上白石萌音

『夜明けのすべて』
2024年7月24日よりブルーレイ&DVD販売中/デジタル配信中
バンダイナムコフィルムワークス
公式サイト
Amazonでブルーレイを購入する Amazonプライムビデオで観る
Netflixで観る

©瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年3月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレート アンソニー・ブイサレート【ギャラリー/出演作一覧】

2004年9月27日生まれ。タイ、バンコク出身。

映画『逆火』北村有起哉 逆火【レビュー】

主人公の野島浩介(北村有起哉)は、感動を呼び話題となっている自伝小説の映画化作品の助監督を務めています。野島は作品に活かすため…

映画『アマチュア』来日ジャパンプレミア:レイチェル・ブロズナハン レイチェル・ブロズナハン【ギャラリー/出演作一覧】

1990年7月12日生まれ。アメリカ生まれ。

映画『顔を捨てた男』セバスチャン・スタン 顔を捨てた男【レビュー】

社会が自分を見る目と、自分自身が自分を見る目がいかにして人の心理や生き方、ひいてはウェルビーイングに影響するのかを…

映画『キャンドルスティック』阿部寛 キャンドルスティック【レビュー】

金融をテーマとした映画に、なぜ“『キャンドルスティック』というタイトルが…

映画『スーパーマン』デイビッド・コレンスウェット 映画好きが選んだDCコミックス映画ランキング

今回は正式部員の皆さんに好きなDCコミックス映画について投票していただきました。“スーパーマン”や“バットマン”など人気シリーズが多くあるなか、上位にはどんな作品がランクインしたのでしょう?

映画『夏の砂の上』オダギリジョー/髙石あかり/松たか子/満島ひかり 夏の砂の上【レビュー】

松田正隆による戯曲を映画化した本作は、演出家の玉田真也が監督、脚本を務め、オダギリジョーが…

映画『DROP/ドロップ』メーガン・フェイヒー DROP/ドロップ【レビュー】

主人公のバイオレット(メーガン・フェイヒー)は、幼い一人息子を育てるシングルマザーで、壮絶な過去を乗り越え…

映画『君がトクベツ』畑芽育 畑芽育【ギャラリー/出演作一覧】

2002年4月10日生まれ。東京都出身。

映画『この夏の星を見る』桜田ひより この夏の星を見る【レビュー】

2020年、新型コロナウィルス感染症が世界中に広まった1年目、私達の日常は大きく変わりました。本作では、その2020年に、長崎県、茨城県、東京都に住む中高生達が過ごした日々…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『スーパーマン』デイビッド・コレンスウェット 映画好きが選んだDCコミックス映画ランキング

今回は正式部員の皆さんに好きなDCコミックス映画について投票していただきました。“スーパーマン”や“バットマン”など人気シリーズが多くあるなか、上位にはどんな作品がランクインしたのでしょう?

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズ 映画好きが選んだトム・クルーズ人気作品ランキング

毎度さまざまな挑戦を続け、人気を博すハリウッドの大スター、トム・クルーズ。今回は、トム・クルーズ出演作品(日本劇場未公開作品を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『シークレット・アイズ』キウェテル・イジョフォー/ジュリア・ロバーツ /ニコール・キッドマン 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.5

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『君がトクベツ』畑芽育/大橋和也
  2. 映画でSEL:告知1回目
  3. 映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレートピシットポン・エークポンピシット

REVIEW

  1. 映画『逆火』北村有起哉
  2. 映画『顔を捨てた男』セバスチャン・スタン
  3. 映画『キャンドルスティック』阿部寛
  4. 映画『夏の砂の上』オダギリジョー/髙石あかり/松たか子/満島ひかり
  5. 映画『DROP/ドロップ』メーガン・フェイヒー

PRESENT

  1. 特製『平成狸合戦ぽんぽこ』ふんわりキーホルダー正吉
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP