REVIEW

時の面影

  • follow us in feedly
  • RSS
Netflix映画『時の面影』キャリー・マリガン/レイフ・ファインズ

物語の舞台は、第二次世界大戦直前のイギリス。未亡人のエディス・プリティ(キャリー・マリガン)は、自らが所有する土地にある墳丘墓を発掘するため、アマチュアの考古学者バジル・ブラウン(レイフ・ファインズ)を雇います。本作は実話を基にしており、エディスとブラウンが歴史に残る大発掘を成し遂げた様子を綴っています。世紀の発見に至った経緯もドラマチックですが、本作にはエディスやブラウンをはじめとしたキャラクター達が時代に翻弄されて生きている姿も印象的に描かれています。戦争の影が常に生活に影を落としているのはもちろん、学問の世界の権力構造も今よりもっと権威主義的で、ブラウンは子どもの頃から発掘の仕事を覚え経験も知識も豊富ですが、学位がないというだけで、他の学者から軽んじられたり、手柄を奪われたりする様子が描かれています。実際に本作で描かれているサットン・フーの宝の発掘に関して、バジル・ブラウンが発見者であることは近年明かされたばかりというところにその名残が感じられます。だからこそ、こうして発掘の真相を描いた映画ができて良かったと思えて、本作にはバジル・ブラウンの人柄の良さがすごくにじみ出ているので、観終える頃には誰もが彼の功績が世に伝えられたことを嬉しく思えるはずです。何のために仕事をしているのか、自分の存在価値は何なのかと悩んでいる人には一層共感できるストーリーです。ちょっぴり切ないですが、とても穏やかな気持ちになれますよ。

デート向き映画判定
Netflix映画『時の面影』リリー・ジェームズ/ジョニー・フリン

恋愛も時代に縛られていたということが感じられるシーンがいくつか出てきます。自分が望んだ状況を手に入れたと思いきや、現実を突きつけられて、自分の生き方を見つめ直すキャラクターもいて、主軸のストーリーと並行して、気になる恋愛も後半描かれていきます。そこにフォーカスして観た時に似たような境遇にある人がどっちに転ぶかは予測不可能。時代背景が異なるので、自分達にリンクすることはないかもしれませんが、薄々今の交際に疑問を感じながらもずるずる付き合っている人は1人で観ていろいろじっくり考えるきっかけにするほうが良さそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
Netflix映画『時の面影』キャリー・マリガン/レイフ・ファインズ

エディスの息子ロバートも物語の鍵を握っていて、キッズやティーンの皆さんは彼の目線で観ると感情移入しやすいでしょう。もちろんブラウンの目線で観るのもアリです。皆さんの中にも一生懸命1つのことに打ち込んで成果を出したのに、手柄を取られたり、なかなか実力を認めてもらえなかったりという経験をした人がいると思います。そんな状況のなかでもめげずに続けるにはどんな考え方をすれば良いか、参考になる部分があるでしょう。

Netflix映画『時の面影』キャリー・マリガン/レイフ・ファインズ

『時の面影』
2021年1月29日よりNetflixにて配信中
12歳未満には保護者の助言・指導を推奨
公式サイト

NETFLIX © 2021

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『おーい、応為』長澤まさみ 心理学から観る映画58:遺伝と環境がヒトに与える影響『おーい、応為』

今回は、葛飾北斎の娘、お栄(長澤まさみ)の半生を描いた『おーい、応為』を題材に、遺伝と環境が才能に与える影響について考えてみます。

海外ドラマ『ウェンズデー シーズン2』ジェナ・オルテガ ジェナ・オルテガ【ギャラリー/出演作一覧】

2002年9月27日生まれ。アメリカ出身。

映画『愚か者の身分』北村匠海/林裕太/綾野剛 愚か者の身分【レビュー】

闇ビジネスに関するニュースが増えてきた日本において、本作で描かれているような出来事は…

映画『次元を超える』窪塚洋介/松田龍平 次元を超える【レビュー】

キービジュアルとタイトル、「人はどこから来て、どこへ行くのか」という意味深なキャッチコピーだけで観たくなったのは…

映画『見はらし世代』黒崎煌代 黒崎煌代【ギャラリー/出演作一覧】

2002年4月19日生まれ。兵庫県出身。

映画『ヒポクラテスの盲点』 ヒポクラテスの盲点【レビュー】

新型コロナウイルスワクチンの被害が起こっている現実に着目した、中立した立場の取材に基づくドキュメンタリー…

映画『ファンファーレ!ふたつの音』ピエール・ロタン ピエール・ロタン【ギャラリー/出演作一覧】

1989年6月20日生まれ。フランス出身。

映画『トロン:アレス』ジャレッド・レト トロン:アレス【レビュー】

本シリーズ1作目『トロン』(=『トロン:オリジナル』)は1982年、『トロン:レガシー』は2010年に作られ、本作はシリーズ3作目となります…

映画『層間騒音』イ・ソンビン 層間騒音【レビュー】

冒頭から不可解な現象が映し出され、観る側はゾワゾワさせられながら騒音の原因を想像することになるわけですが…

映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ミア・スレアプレトン ミア・スレアプレトン【ギャラリー/出演作一覧】

2000年10月12日生まれ。イギリス出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

AXA生命保険お金のセミナー20251106ファイナンシャルプランナーversion ファイナンシャルプランナーから学ぶ【明るい未来のための将来設計とお金の基本講座】女性限定ご招待!

本セミナーでは、「NISA・iDeCoなどの資産形成」「子どもの教育資金」「将来受け取る年金」「住宅購入・住宅ローン」「保険」など、将来に役立つお金の知識や情報、仕組みやルールについて、ファイナンシャルプランナーの先生が初めての方でもわかりやすく優しく教えてくれます。

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『おーい、応為』長澤まさみ
  2. AXA生命保険お金のセミナー20251106ファイナンシャルプランナーversion
  3. 映画学ゼミ:アイキャッチ1/本の上の犬と少女

REVIEW

  1. 映画『愚か者の身分』北村匠海/林裕太/綾野剛
  2. 映画『次元を超える』窪塚洋介/松田龍平
  3. 映画『ヒポクラテスの盲点』
  4. 映画『トロン:アレス』ジャレッド・レト
  5. 映画『層間騒音』イ・ソンビン

PRESENT

  1. 映画『モンテ・クリスト伯』ピエール・ニネ
  2. AXA生命保険お金のセミナー20251106ファイナンシャルプランナーversion
  3. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
PAGE TOP