REVIEW
クリスチャン・カリオン監督『パリタクシー』を原作とした本作は、東京にある柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設までの道のりを舞台に、山田洋次監督が映画化しました。

宇佐美浩二(木村拓哉)は個人タクシーの運転手をしています。浩二は、自宅の更新料や、音楽大学の付属高校に進学するチャンスを得た娘のために入学金や授業料の工面しなければいけない状況で、長距離移動のお客を任されます。そうして、柴又から葉山にある高齢者施設に向かうという85 歳の高野すみれ(倍賞千恵子)に出会います。

すみれはタクシーで葉山に向かう途中、思い出の場所に複数立ち寄るよう浩二に依頼します。そして、思い出の詳細を浩二に話します。その思い出エピソードは想像以上に過酷で、観客である皆さんもどんどんすみれの話に引き込まれていくはずです。深くて重い話も含まれるので、自ずと浩二の内面にも変化が起こりはじめます。そうして2人の間にジワジワと絆ができてくる様子が伝わってきます。

そんなすみれの背景がわかったところで、タクシーが到着した後にもドラマがあります。キャラクター設定から早い段階で何となくオチは予想できたとしても、本作の見どころはそれだけではありません。時代に翻弄されて生きてきたすみれと出会ったことで、浩二が変化していく様子に共感する方は少なくないはずです。

そして、本作を観ると、何より親に会いたくなります。親の愛情を改めて実感できる方もいるでしょうし、社会全般として上の世代の方々が、若い世代に受け継いでくれたさまざまな事柄に思いを馳せる機会になるでしょう。
デート向き映画判定

宇佐美浩二と妻の薫(優香)の関係性にも注目すると、長年連れ添うなかで疎かになりがちな夫婦関係を振り返る機会にもなるでしょう。マンネリ化し過ぎたと危機感を持っているカップルは特に一緒に観ると、お互いにちょっとした努力から再スタートしようという暗黙の了解を共有できそうです。
キッズ&ティーン向き映画判定

老齢のすみれと、皆さんの親世代の男性のお話で、大人向けのストーリーなので、まだ皆さんにはピンとこない部分もあるかもしれません。ただ、すみれが若かりし頃のエピソードも出てくるので、特に恋愛での苦労は参考になる部分もあるでしょう。皆さんと祖父母の世代が生きてきた時代について知ることができるので、祖父母を誘って観に行って、昔のお話を聞いてみるのも貴重な体験になると思います。

『TOKYOタクシー』
2025年11月21日より全国公開
松竹
公式サイト
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©2025映画「TOKYO タクシー」製作委員会
TEXT by Myson
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情報は2025年11月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

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