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『リスタート』品川ヒロシ監督インタビュー

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映画『リスタート』品川ヒロシ監督インタビュー

今回はお笑い芸人、映画監督として活躍されている品川ヒロシさんにインタビューをさせていただきました。これまでさまざまなタイプの映画を作ってきた品川監督に、今回女性を主人公にした経緯や、監督の映画にまつわるルーツについていろいろとお話をお聞きしました。

<PROFILE>
品川ヒロシ(しながわ ひろし):監督・脚本
1972年4月26日生まれ。東京都出身。1995年8月に相方の庄司智春とお笑いコンビ“品川庄司”を結成。お笑い芸人として第一線で活躍する傍らで、2009年に自身の自伝的小説を原作とした映画『ドロップ』で長編監督デビューを飾る。2011年には、原作・監督・脚本作品第2弾『漫才ギャング』が公開し、その後も『サンブンノイチ』『Zアイランド』などの作品を手掛ける。また、2021年には舞台“池袋ウエストゲートパーク”の演出も担当するなど、多方面で活躍中。


スクリーンで映画を観る気持ち良さって全然違うし、1本に対する思い出が変わってくる

映画『リスタート』EMILY(HONEBONE)/SWAY(DOBERMAN INFINITY/劇団EXILE)

マイソン:
今回女性を主人公に撮ろうと思ったきっかけは何かありましたか?

品川ヒロシ監督:
特に女性でというのはなく、北海道の下川町に行った時に、主人公がなんとなく傷ついて下川町に来て歌を歌うという設定を急に思いついたという感じです。

マイソン:
EMILYさんの起用はどんな風に決まったのでしょうか?

品川ヒロシ監督:
下川町でその設定を思いついて、歌の上手い女優さんがいないかなと思っていろいろ検索しながら東京に帰ってきたんですけど、家に着いてテレビを観たらEMILYが出ていて、歌は上手いし喋りもおもしろいなと思ったんです。それでHONEBONE(EMILYとKAWAGUCHIのフォークデュオ)のYouTubeを観て、カッコ良いなと思ってツイッターでHONEBONEのことをつぶやいたらEMILYが「仕事をください」って反応してくれて。EMILYは音楽の仕事という意味で言ったらしいのですが、僕は「女優に興味ある?」と怪しいダイレクトメールを送りました(笑)。それで「えー!!まさか」となり、彼女は最初信じていなかったみたいですけど、僕は真剣でアルバムも全部聴いて当て書きのようなことをしていきました。調べていくと現状に満足していなくてフツフツしていてというEMILYのあのキャラクターがおもしろいなと。

映画『リスタート』EMILY(HONEBONE)

マイソン:
そうだったんですね!女性を主人公に描くおもしろさや難しさはありましたか?

品川ヒロシ監督:
やっぱり綺麗に撮ってあげたいと思うんですけど、人間らしさとか汚い綺麗さとか、会っている時の人間っぽさを撮りたいから、それは男性とは違うところかもしれないです。僕だけかもしれませんが、スクリーンだと不細工な男でもカッコ良く見えませんか?汚くても、むしろ画になるというか。女性も綺麗には撮りたいけど、ライティングを調整してシワとかシミを目立たなくするというようなことではなく、人間らしく撮りたいんです。汚い綺麗さみたいなものを出した上で、人間臭い泥臭い美しさだったのが最後ステージではちゃんとメイクをして綺麗な服を着て出ていくっていうそこですかね。

マイソン:
今お話をお聞きしていて“汚い綺麗さ”こそ映画的だなと思いました。劇中では主人公に起きた出来事によってSNSで炎上したり、マスコミが憶測で報道することで主人公を苦しめるシーンもありました。品川監督はSNSに対して何か思うところはありますか?

品川ヒロシ監督:
僕も一時期好感度が低いとか嫌われているとかありましたが、街で会うと「ファンです」って言ってくれたり、「写真を撮ってください」って喜んでくれることのほうが多かったんです。だからその箱の中にそのまま囚われていなければ、“いいね!“もなければ炎上もない、目の前にあるものがすべてでしょって思うところはあります。そこに囚われていると目の前の優しい人が見えなくなってしまうと思うんです。もちろんSNSの良いところはいっぱいあるんですけどね。現にこの映画なんてSNS以外で広めようがないですから(笑)。

映画『リスタート』EMILY(HONEBONE)/SWAY(DOBERMAN INFINITY/劇団EXILE)/中野英雄ほか

マイソン:
すごく拡散力がありますもんね。では話題が変わりますが、品川監督はお笑い芸人も映画監督もされていますが、映画を作りたいと思ったきっかけは何かありますか?

品川ヒロシ監督:
10代の頃から映画が好きでした。芸人になる時にビートたけしさんが映画を撮っていたので、成功したら映画も撮れたりするのかなとなんとなく思って、夢の1つとしてありました。

マイソン:
どちらかというと映画を撮りたいというのが先だったんですか?

品川ヒロシ監督:
いえ、10代の時ですから映画がちょっと好きだからって映画を撮るも何もないし、もっと言えばお笑いがちょっと好きだからってお笑いができるわけでもないし、当時はまだ強く信念を持って映画を撮りたいとか、絶対にお笑いをやりたいという感じではなかったです。でも、NSC(吉本興業の芸能養成学校)という間口ができてお笑いを始めやすくなり、入ってからどんどん火が付いて30歳くらいの時にショートムービーを撮らせてもらったんです。それが現実におもしろいとなって、さらに撮りたい撮りたいとなっていきました。

マイソン:
10代で観ていた映画ってどんな映画でしたか?

品川ヒロシ監督:
最初はクエンティン・タランティーノとか映画はいっぱい観ていましたけど、15歳の頃、中学生の時に“ROADSHOW(ロードショー)”という雑誌を読んでいて、『トップガン』とかも観に行きました。でも映画は小学校の頃から好きで、“土曜洋画劇場”に始まり、小学校3年生くらいになると1人で映画館に行って映画を観ていました。

映画『リスタート』品川ヒロシ監督インタビュー

マイソン:
当時と今とで映画の観方は変わっていますか?

品川ヒロシ監督:
カット割りがどうとか脚本がどうとかは考えないように、とにかく純粋にお客さんとして楽しみたいという感じで観ています。僕の場合はですけど、評論をブログやツイッターに書くとなると、やっぱりセンスが良いって思われたいじゃないですか(笑)。そうなると何か良い感じで寸評したいなという目線で観てしまうから、とにかくお客さんとして映画を楽しみたいという感じです。好きな映画は何度も観て、「あのシーン、カッコ良いよね!」「こうやってカット割りをしているのか」となるのはその後ですね。

マイソン:
じゃあ初回は純粋に。

品川ヒロシ監督:
初回は純粋に観ています。それでメイキングも観たり、何回も同じ映画を観て「ここはこういう風に撮っていたんだ」「これはもう1回観てみよう」とか。

マイソン:
なるほど〜。その中でも特に印象に残っていたり影響を受けた作品はありますか?

品川ヒロシ監督:
やっぱりタランティーノですかね。『パルプ・フィクション』を観た時に衝撃を受けすぎて、「なんておもしろくてカッコ良い映画なんだ!」って思いました。それまでも映画が好きでしたが、とにかくカッコ良いって思いました。

マイソン:
じゃあそこから興味が深くなっていったんですね。

映画『リスタート』メイキング、品川ヒロシ監督

品川ヒロシ監督:
『パルプ・フィクション』で1個ギアが入った感じがあったかもしれないですね。

マイソン:
今は海外の方ともコミュニケーションがとりやすくなったと思うのですが、海外作品とか海外の方に出演してもらうとか、そういうことは今後ありそうですか?

品川ヒロシ監督:
海外で映画を撮りたいなと思いますね。予算の大きなハリウッド映画っていうのはいきなり無理ですけど、向こうに行って地道にみたいなことは考えたりもしますね。

マイソン:
ハリウッド、ヨーロッパ、アジアなどいろいろありますが、やっぱりハリウッドが良いですか?

品川ヒロシ監督:
やっぱりアメリカ映画が好きなのでアメリカが良いですね。あと、ハリウッドは天気が良いのでロケのスケジュールも組みやすそうですよね(笑)。ハリウッドって雨が少なくて日差しが強いからすごくパキッとしたカッコ良い映像になりますし、それが映画の街になった所以だと思います。

マイソン:
ハリウッドってそうなんですね!ぜひ将来ハリウッドでも撮っていただきたいです。今コロナ禍で良くも悪くもいろいろなことが変化を遂げているというか、変化を余儀なくされていると思うのですが、これを機に映画業界がこう変われば良いなとか思うところはありますか?

映画『リスタート』メイキング、品川ヒロシ監督

品川ヒロシ監督:
コロナを機にというわけではありませんが、僕は仕事の時はタクシー移動なのですが、映画館に行くのに電車に乗って地下の長いエスカレーターを登ってっていうのが好きなんです。この映画館でこれを観て、あの映画館ではあれを観て、間にお昼ご飯を食べてという風に計画を立てて1日3本綺麗に観られたりすると「お〜!」みたいな。同じシネコンで3本観るよりも、どちらかというと最後にテアトル新宿に駆け込むことができたら、今日は綺麗な1日だったなと思います。それはすごく楽しいですよね。だからまたそんな風に映画を観られる時が来たら良いなと思います。今は映画館が閉まっているわけではありませんが、映画館が閉まっていた時期は特にインディーズの監督さんとか1本延期になると本当にご飯が食べられなくなってしまったり、すごく才能のある人がなかなか映画を撮れなくなってしまうという状況もあります。なんとか才能のある人が映画を撮って映画館でかけられるという世の中に戻って欲しいです。今は皆本当に公開できるのかなとヒヤヒヤしながら映画を撮っているし、ロケもマスクやアクリル板を用意したり体温を測ったりして、それなりにコストもかかるから、若い監督さんも大変だと思います。この作品もコロナ禍の撮影だったらもう少し予算がかかったと思うんですよね。辛いのは僕らだけではありませんし、日本中、世界中同じなので、映画業界も元気になって欲しいなと思います。

マイソン:
今映画館に行きづらいというのもあるし、技術的にもいろいろなデバイスで観られるようになったなか、作り手側としてはどうでしょうか?

品川ヒロシ監督:
僕もめちゃくちゃ配信を観るんですよ。コロナでしばらく映画館には行きませんでしたから、配信でずっと観ているとこれで良いじゃんって思ったりもするんですけど、緊急事態宣言が明けた時に久しぶりに映画館に行ったらやっぱり良いんですよね。映画館の椅子に座って飲み物を置いてCMを観て、スクリーンで映画を観る気持ち良さって全然違うし、1本に対する思い出が変わってくるなと感じました。

映画『リスタート』品川ヒロシ監督インタビュー
スタイリスト:渡邊浩司/ヘアメイク:竹中真奈美
衣装:SMACK  ENGINEER
(問い合わせ先:GRAND TURKEY  077-551-5872)

マイソン:
日常で映画を消費するという感覚ではなく、映画館で観る時って一つひとつが出来事、思い出になっていきますよね。

品川ヒロシ監督:
やっぱり家で観ていると、途中で止めてトイレに行ったりとか、飲み物を取りに行ったりとかしますもんね。けど、映画館はそこに行ってスクリーンしかないので集中力も違うし。

マイソン:
そうですよね。早く何も気にせず映画館に行ける日が戻ると良いですね。本日はありがとうございました!

2021年5月26日取材 PHOTO&TEXT by Myson

映画『リスタート』EMILY(HONEBONE)/SWAY(DOBERMAN INFINITY/劇団EXILE)/中野英雄ほか

『リスタート』
2021年7月9日より北海道先行公開中/7月16日より全国公開
監督・脚本:品川ヒロシ
出演:EMILY(HONEBONE)/SWAY(DOBERMAN INFINITY/劇団EXILE)/品田誠/朝倉ゆり(エラバレシ)/夏目ベール(純情のアフィリア)/藤井俊輔/向井日菜海/阿部隼也/かんた/岩崎う大/もりももこ/西野亮廣(キングコング)/松田大輔(東京ダイナマイト)/庄司智春(品川庄司)/小杉竜一(ブラックマヨネーズ)/黒沢あすか/中野英雄
配給:吉本興業

シンガーソングライターになるという夢を追いかけ、北海道の下川町から高校卒業を機に上京した未央は、その10年後、地下アイドルとして活動していた。そんなある日、交際中の人気アーティストに妊娠中の婚約者がいることを明かされると同時に週刊誌に報じられ、そのスキャンダルによって未央は地下アイドルとしても窮地に立たされてしまい…。

公式サイト REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定

©吉本興業

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