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『春画先生』柄本佑さんインタビュー

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映画『春画先生』柄本佑さんインタビュー

春画の世界に魅せられた者達の姿を描いた偏愛コメディ『春画先生』。今回は、本作で編集者の辻村役を演じた柄本佑さんにお話を伺いました。主人公達と特殊な関係を築く辻村の印象や、柄本さんご自身が映画業界に入った経緯について直撃しました。

<PROFILE>
柄本佑(えもと たすく):辻村俊介 役
1986年12月16日生まれ。東京都出身。2003年、映画『美しい夏キリシマ』で映画主演デビュー。2018年、『きみの鳥はうたえる』『素敵なダイナマイトスキャンダル』『ポルトの恋人たち -時の記憶-』で、キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞、毎日映画コンクール男優主演賞など受賞。その他の主な出演作に『火口のふたり』(2019)、『アルキメデスの大戦』(2019)、『痛くない死に方』(2021)、『心の傷を癒すということ≪劇場版』』(2021)、『先生、私の隣に座っていただけませんか?』(2021)、『真夜中乙女戦争』(2022)、『ハケンアニメ!』(2022)、『シン・仮面ライダー』(2023)などがある。今後の待機作として映画『花腐し』(2023年11月10日全国公開)、大河ドラマ『光る君へ』(2024年放送開始)などがある。また、監督作品として短編映画『帰郷★プレスリー』(2009)、『夜明け』(【アクターズ・ショート・フィルム】2021)、『ippo』(2023)などがある。

※前半は合同インタビュー、後半は独占インタビューです。

“春画”は実は“青春画”ではないかと思います

映画『春画先生』内野聖陽/北香那

シャミ:
最初に脚本を読んだ時に物語についてどんな印象を受けましたか?

柄本佑さん:
最初に台本を読ませていただいた時は、単純におもしろいと感じました。塩田監督の一見可笑しなストーリーテリングが、非常に洗練されていて、各キャラクターの立ち位置や展開などに過不足がなく、だけど一瞬余計なものばかりにも見えるというコメディ性も感じました。セリフやキャラクターもそうですが、塩田監督の中にある強固なものを感じました。

シャミ:
では台本を読んで、よりこの作品に参加したいと感じたんですね。

柄本佑さん:
そうですね。でも、出演自体は、塩田監督からお話をいただいた時点で心の中で決めていたと思います。

映画『春画先生』柄本佑さんインタビュー

シャミ:
なるほど〜。辻村についてはどんな印象でしたか?

柄本佑さん:
セリフに関してはフィクション度が強く、自分からアプローチを仕掛けるというよりもセリフに乗っかって言えば、然るべき辻村というキャラクターが立ち上がるだろうと思いました。ただ1つ、明瞭にセリフを話そうと思いました。表現を変えると元気良く話すということなのですが、それは台本の時点で塩田監督の演出が入っていたような気がします。本読みの時に、セリフをしっかりと発音して話すようにしたら、塩田監督から「今の方向性で良いと思います」と言っていただいたので、ハキハキとセリフを話して立体的になるようにしました。

記者A:
辻村について監督から“いい加減な色男”という通称をいただいたそうですが、それも含めて辻村というキャラクターをどのように捉えていましたか?

映画『春画先生』柄本佑

柄本佑さん:
監督から衣裳合わせの時に「この役は、いい加減な色男です」と聞いて、僕もその通称がしっくりくると思いました。辻村は、芳賀先生(=春画先生/内野聖陽)のことを1番に尊敬していて、自分はその弟子であるということをちゃんと理解していて、とにかく春画大全の完成を誰よりも楽しみにしています。なので、弓子(北香那)とある関係になりますが、そこにねちっこさよりも爽やかさがあったほうが良いと考えました。それは青春を謳歌している感じで、セリフの中に「春画先生に会うと心のリミッターが外されてしまうんだよ」とありましたが、辻村自身もその1人なんです。なので、ある意味では春画の絵に近いような一面を持った人物だと思います。

記者B:
春画を題材にして、それをエンタテインメント化している作品は初めてだと思うのですが、柄本さんご自身は完成した作品をご覧になっていかがでしたか?

映画『春画先生』柄本佑さんインタビュー

柄本佑さん:
春画が1つのテーマとしてあって、そこから一見思いつかないような明るさと爽やかさのあるコメディ作品だと思いました。それに、塩田監督の視点も上手く描かれていてとてもおもしろいと感じました。芳賀先生が「春画の世界ではこれだけのものが描き込まれていて、描かないことによってここまで表現されている」と話す場面がありますが、それは台本を読んだ時から紛れもなく塩田監督自身が実感されて書かれているセリフだとわかりました。その発想に至る塩田監督がとても素敵だと思いますし、この作品を観た方にも同じように思っていただけると僕としても嬉しいです。

シャミ:
辻村は芳賀先生と弓子の関係を良好に保つ、バランサー的な役割も担っていました。そんな3人の特殊な関係を柄本さんはどのように捉えていましたか?

映画『春画先生』内野聖陽/北香那/柄本佑

柄本佑さん:
演じている時はそこまで考えていませんでした。でも、辻村は決して頭の悪い人ではなく、弓子の芳賀先生への想いを1番よくわかっていて、2人が上手くいったら良いと思っています。ただ、芳賀先生が春画大全を作る上では、自分の出番が必要だと理解するわけです。辻村にとって師匠である芳賀先生の夢が自分の夢でもあるので、それを叶えるために役割を果たしているという部分がある気がします。辻村が叶えたいのはとにかく春画大全が完成することなので、単なる三角関係というよりも、弓子と芳賀先生の関係を少し遠くから見ているような存在だと思います。そして、辻村は弓子に対しても非常に良い印象を持っているんです。過去にも芳賀先生の女性を何人も見ているなかで、弓子は他の方とは違うと感じて、ちゃんと応援しているんです。そういった3人の関係が良いなと思いました。

記者B:
これから本作をご覧になる方に向けてメッセージをお願いします。

映画『春画先生』柄本佑さんインタビュー

柄本佑さん:
これだけ春画というものが映画作品の中に出ることは初めてで、入り口としては面を喰らってしまう部分があるかもしれません。でも、芳賀先生の言葉に耳を傾けていると、春画の見え方が大きく変わると思います。本当に個性豊かでユーモアがあり、生きる喜びのようなものがあると感じるはずです。 こうして取材を受けているなかで、“春画”は実は“青春画”なのではないかと思いました。男女が性交渉をする時間というのは、ある種の青春で楽しい時間でもあり、それが春なんだと思います。そのくらい楽しくて豊かでユーモアがある春画の新たな面を観ていただける作品だと思います。あとは、塩田監督の作品を信頼して劇場に来ていただければと思います。

映画作りの仲間入りをずっとしていくためには俳優の仕事を続けることが必要

映画『春画先生』柄本佑

シャミ:
本作は、シリアスな物語のようでどこかクスッと笑える部分もある作品でした。最初に弓子と一夜過ごした後の辻村のパンツ姿は特に印象的でした。あの衣裳は監督と相談して決められたのでしょうか?

柄本佑さん:
そうです。衣裳合わせの時に決めました。確か台本にも“ブーメランorブリーフパンツを履いている”と書いてあり、衣裳合わせの時にTバックの形でと準備していただきました。全部の衣裳を着て大体の方向性が決まり、1番最後にこのシーンは白か黒のパンツでとなりました。でも、着替えをしている時に、白や黒だと少し辻村っぽくないというか、辻村にしては少し楽しんでいる感じが薄いと思い、それを衣裳の方に話しました。その日はすごく晴れていて、それで「こういう空のような青色はどうですか?」と言ったら、監督が「青が良いと思います!」と言ってくださり、あの色に決まりました。

シャミ:
朝の明るいなか、あの姿で登場するのはとてもインパクトがあり、辻村らしいと感じました。後ろ姿が映る場面も絶妙でした!

柄本佑さん:
ハハハハハ!そうですよね(笑)。辻村はその時々を楽しむ人物なので、そういうところが細かいディテールにも出ていると思います。

映画『春画先生』柄本佑さんインタビュー

シャミ:
先ほどお話にもありましたが、柄本さんの演じた辻村は本当に“いい加減な色男”という通称にふさわしいと感じました。辻村を演じる上で気をつけた点や工夫された点はありますか?

柄本佑さん:
やはりとにかくセリフを明瞭に話すということに尽きる気がします。下品なことも知的なことも言う振り幅と、その瞬間その瞬間で楽しい方向に触覚が働くみたいなことは特に意識していました。色男という部分は置いておいて、“いい加減”の部分に重点を置いていたと思います。“いい加減”というと少し無責任な気もしますが、ちゃんといい加減なんです。春画大全が完成しなくてはいけないとか、先生を尊敬しているという根っこの部分がしっかりと形成されていたからこそ“いい加減”に振り切れると思いましたし、パンツの色も青色にできたんです(笑)。
それからもう1つ監督にこれはどうですかと言ったものがあります。鑑定旅行に出掛ける時にかけているサングラスがあるのですが、あれは台本には指定がありませんでした。でも、あそこで辻村だけサングラスをかけて、仕事だけどバカンスに行こうとしているような雰囲気にしてはどうかと提案しました。そういったその瞬間を楽しむところが辻村の良いところで、後腐れのなさがあると思います。

映画『春画先生』北香那/柄本佑

シャミ:
まさにそういった姿が体現されていたと思います。ここからは柄本さんご自身のお話も聞かせてください。映画『美しい夏キリシマ』(2003)のオーディションに合格されてデビューされていますが、最初に俳優の仕事に興味を持ったのはいつ頃でしょうか?

柄本佑さん:
小学生の頃から映画が好きで、映画監督になることが夢でした。中学校3年生の時(2001)に、母のマネージャーさんがこういうオーディションがあると話を持ってきてくだいました。両親は「佑が良いならいいよ」という感じで、母からは「あなたはどうせ面接で落ちるけど、映画好きだし、オーディションに行ったら映画監督と生で会えるよ」と言われ、映画監督を生で見たいと思い、オーディションを受けました。それでたまたまイメージに合っていたのか、『美しい夏キリシマ』に出せていただくことになりました。
そこから2年間は何もしていない時期があり、決まった時間に学校に行き、授業を受けてというルーティンに戻った時に、とにかくつまらなくなってしまい、早く映画作りの現場に戻りたいと思いました。それで僕が今すぐに映画作りの現場に戻ることができるのは、たまたま一度やったことのある俳優という場所でした。なので、俳優のお仕事に興味を持つというよりも、映画作りの仲間入りをずっとしていくためには俳優の仕事を続けて、勉強をすることが必要だったんです。その仲間入りを続けていくためには、やはり常に努力が必要で未だに勉強が続いています(笑)。

映画『春画先生』柄本佑さんインタビュー

シャミ:
そうなんですね!俳優として業界に入ってから年月が経ち、短編作品の監督経験もお持ちですが、今も監督志望という点は変わっていないのでしょうか?

柄本佑さん:
はい、そうです。近々長編も撮らなくてはいけないと思っています。

シャミ:
監督としてのご活躍も楽しみにしています!

柄本佑さん:
頑張ります!

シャミ:
では、最後の質問です。これまでで1番影響を受けた作品、もしくは俳優や監督など人物がいらっしゃったら教えてください。

映画『春画先生』柄本佑さんインタビュー
ヘアメイク:AMANO
スタイリスト:坂上真一(白山事務所)
<アルファベット表記:SHINICHI SAKAGAMI
(Shirayama Office)>

柄本佑さん:
影響を受けた監督は、池田敏春監督です。『ハサミ男』という作品の時に池田監督と一緒にお仕事をさせていただきました。出演シーンはそこまで多くなかったのですが、僕の思い描く監督像が池田敏春監督でした。それと、俳優として明らかに目標としているのは、小林桂樹さんです。1番憧れているというか、目指しているといえます。

シャミ:
本日はありがとうございました!

2023年7月21日取材 Photo& TEXT by Shamy

映画『春画先生』内野聖陽/北香那

『春画先生』
2023年10月13日より全国公開
R-15+
原作・脚本・監督:塩田明彦
出演:内野聖陽/北香那/柄本佑/白川和子/安達祐実
配給:ハピネットファントム・スタジオ

“春画先生”と呼ばれる芳賀一郎は、妻に先立たれ、世捨て人のように研究に没頭していた。一方、退屈な日々を過ごしていた春野弓子は、芳賀から春画鑑賞を学び、春画と芳賀の魅力に惹かれていく。そんな2人を取り囲む編集者の辻村や、芳賀の亡き妻の姉である一葉の登場により、大きな波乱が巻き起こっていく。

公式サイト

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©2023「春画先生」製作委員会

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