特集

後味スッキリ派かモヤモヤ派か、鑑賞頻度で異なる?【映画研究】映画人心解剖2

  • follow us in feedly
  • RSS
Netflix映画『グッド・ナース』ジェシカ・チャステイン/エディ・レッドメイン

観た後にスッキリする映画と、モヤモヤが残る映画ってありますよね。今回はその2つのタイプについて、鑑賞頻度によって好みが変わるのか調べてみました。

データ:映画研究1アンケート
回答期間:2022/5/26 18:00〜2022/6/26 23:59
回答数:10代を含む195名の女性
<方法>
アンケートの中で、「Q:観終わった後、強いていうとしたら、どちらの感覚になるのが好きですか?」という質問に、「スッキリ」「モヤモヤ」の2択で答えていただきました。
さらに、「Q:あなたが1番頻繁に映画を観ていた頃の鑑賞頻度を教えてください。※映画館か配信かなどは問いません。」という質問で、下記の4択から選んでいただきました。
・年に1,2作品
・月に1,2作品
・週に1,2作品
・ほぼ毎日
上記の結果から、カイ二乗検定を行い、下記のように解釈しました。

映画と人の研究2:映画と人の研究2:スッキリ好きかモヤモヤ好きか、鑑賞頻度で異なる?カイ二乗検定結果

表の数字の後に▽もしくは▲が付いているところは、有意ということを示しています。統計学的な表現なので少々わかりづらいですが、ざっくりいうと文字通り「有意=意味がある」ということです。
表を見ていただくと、「ほぼ毎日」「月に1、2作品」観る人は、「スッキリ」を好む人も「モヤモヤ」を好む人もいずれかの三角がついています。これはこの結果には意味があるということです。

「ほぼ毎日」映画を観ていて「スッキリ」を好む人は、▽(=有意に少ない)が付いています。一方、同じ「ほぼ毎日」映画を観ていて「モヤモヤ」を好む人は、▲(=有意に多い)が付いています。ということは、「ほぼ毎日」映画を観る人に「スッキリ」を好む人が少ないことには意味があると解釈できそうです。逆にいうと、「ほぼ毎日」映画を観る人に「モヤモヤ」を好む人が多いことには意味があると解釈できます。

映画『チケット・トゥ・パラダイス』ジュリア・ロバーツ/ジョージ・クルーニー

そして、「月に1、2作品」観ていて「スッキリ」を好む人は、▲(=有意に多い)、「モヤモヤ」を好む人は、▽(=有意に少ない)が付いています。これにも意味があるということです。

「ほぼ毎日」映画を観る人と、「月に1、2作品」観る人では、「スッキリ」を好む人、「モヤモヤ」を好む人の傾向が逆であることがわかりました。一般的に「月に1、2作品」でも、映画を観る頻度は高いといえます。ただ、「ほぼ毎日」と比較すると、「ほぼ毎日」のほうが圧倒的に頻度が高いといえます。そう考えると、頻度が鑑賞後の後味の好みに関係しているといえそうです。そこから「ほぼ毎日」映画を観る人と、「月に1、2作品」観る人のスタンス、映画鑑賞に求めるものが異なると解釈しました。

この分析から背景まで探ることはできませんが、今回の結果から「ほぼ毎日」映画を観る人は気分転換に映画を観ることはあるにしても、基本的に映画を観ることで物事や人について考察したり、そこから何かを得ようというスタンスで観ているという新たな仮説を立てられます。一方、「月に1、2作品」観る人は主に気分転換として映画鑑賞をしていて「スッキリ」を好む傾向が強いという仮説も立てられます。

ここで立てた新たな仮説については、別途また調査、分析してみたいと思います。

後味スッキリ派の皆さん、モヤモヤ派の皆さん、上記の分析結果と新たな仮説についてどう思われますでしょうか?ご自身がどちらを好むかにどんな理由があるのかこれを機に考えてみると、一層好みの映画を選びやすくなるかもしれません。

Netflix映画『グッド・ナース』ジェシカ・チャステイン/エディ・レッドメイン

『グッド・ナース』
2022年10月21日より一部劇場にて公開中/10月26日よりNetflixにて配信中
劇場用公式サイト Netflix公式サイト
REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定

事件は解決しますが、真相は謎の部分を残します。観た後に自分であれこれ考えるおもしろさがあります。

映画『チケット・トゥ・パラダイス』ジュリア・ロバーツ/ジョージ・クルーニー

『チケット・トゥ・パラダイス』
2022年11月3日より全国公開中
公式サイト
REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定

観てスッキリ、気持ちもハッピーになるハリウッドの王道ラブコメ。

© 2022 Universal Studios. All Rights Reserved.

TEXT & ANALYSIS by Myson(武内三穂)

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『お坊さまと鉄砲』ケルサン・チョジェ お坊さまと鉄砲【レビュー】

かつてブータンは「世界一幸せな国」といわれていました。本作は、その理由や、民主主義、文明とは何かを改めて考えさせられる…

映画『ビートルジュース ビートルジュース』キャサリン・オハラ キャサリン・オハラ【ギャラリー/出演作一覧】

1954年3月4日生まれ。カナダ出身。

映画『インサイド・ヘッド2』 心理学から観る映画51:“インサイド・ヘッド”シリーズを感情研究の理論にあてはめて考える

「感情」はとらえ方が大変難しい概念です。専門家による感情に関する研究でも、さまざまな理論があります。そこで、今回は「感情」のとらえ方について代表的な理論を取り上げます。

映画『はたらく細胞』永野芽郁/佐藤健 はたらく細胞【レビュー】

シリーズ累計発行部数1000万部を超えるベストセラーコミックを実写化した本作は、まず…

映画『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』天海祐希/大橋和也/伊原六花/上白石萌音 ふしぎ駄菓子屋 銭天堂【レビュー】

REVIEW累計発行部数1100万部を突破した「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」シリーズ(作:廣嶋…

映画『リアル・ペイン〜心の旅〜』ジェシー・アイゼンバーグ/キーラン・カルキン “サーチライトプレミア試写会-シネマラウンジーvol.1”『リアル・ペイン〜心の旅〜』15名様ご招待

“サーチライトプレミア試写会-シネマラウンジーvol.1”映画『リアル・ペイン〜心の旅〜』15名様ご招待

【東京コミコン2024】オープニングセレモニー:マッツ・ミケルセン、ジュード・ロウ、モリーナ・バッカリン、ベネディクト・カンバーバッチ、ジョン・ボイエガ、クリストファー・ロイド、ベン・マッケンジー、ジェイソン・モモア、ダニエル・ローガン、アンセル・エルゴート、山下智久、フルール・ジェフリエ、C・B・セブルスキ(マーベル・コミック編集長)、斎藤工(アンバサダー)、伊織もえ(PR大使)、山東昭子(東京コミコン名誉実行委員会)、小田井涼平(MC) クリストファー・ロイド、マッツ・ミケルセン、ジュード・ロウ、ベネディクト・カンバーバッチ、ジェイソン・モモアなど豪華ハリウッドスターが勢揃い!【東京コミコン2024】開幕

【東京コミコン2024】も超豪華な顔ぶれで幕を開けました。本レポートでは、ここでしか実現しない、ショットをたくさん掲載します。

映画『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』ジェームズ・マカヴォイ/アシュリン・フランチオージ スピーク・ノー・イーブル 異常な家族【レビュー】

REVIEW日本では2024年に劇場公開された、デンマークとオランダ合作の『胸騒ぎ』はご覧…

映画『不思議の国のシドニ』エリーズ・ジラール監督インタビュー 『不思議の国のシドニ』エリーズ・ジラール監督インタビュー

日本を舞台に、日本文化の特徴を活かしたストーリーが描かれた本作で、監督と脚本を務めたエリーズ・ジラールさんにインタビューをさせていただきました。日本で撮影を行い、実際に日本文化に触れたジラール監督の目に、日本はどのように映っていたのかお聞きしました。

映画『大きな家』 大きな家【レビュー】

とある児童養護施設の子ども達の素顔を映した本作は、齊藤工が企画・プロデュース、竹林亮が監督を務め、「”被写体ファースト”で非商業的な特殊な上映を目指」しており…

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『グランツーリスモ』オーランド・ブルーム 映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外40代編】雰囲気部門

イイ俳優ランキング【海外40代編】から、今回は<雰囲気部門>のランキングを発表します。錚々たる俳優が揃うなか、総合と比べてどのようにランキングが変化したのでしょうか?

映画『マイ・インターン』アン・ハサウェイ 映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外40代編】総合

今回は、海外40代(1975年から1984生まれ)のイイ俳優の中から、昨今活躍が目覚ましい方を編集部の独断で80名選抜し、正式部員の皆さんに投票していただきました。今回はどんな結果になったのでしょうか?

映画『淪落の人』アンソニー・ウォン/クリセル・コンサンジ 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.2

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

REVIEW

  1. 映画『お坊さまと鉄砲』ケルサン・チョジェ
  2. 映画『はたらく細胞』永野芽郁/佐藤健
  3. 映画『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』天海祐希/大橋和也/伊原六花/上白石萌音
  4. 映画『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』ジェームズ・マカヴォイ/アシュリン・フランチオージ
  5. 映画『大きな家』

PRESENT

  1. 映画『リアル・ペイン〜心の旅〜』ジェシー・アイゼンバーグ/キーラン・カルキン
  2. 映画『モアナと伝説の海2』Tシャツ
  3. 映画『アーサーズ・ウイスキー』ダイアン・キートン/パトリシア・ホッジ/ルル
PAGE TOP