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映画で“食”について考えてみよう13:食欲増進や消化促進にもなる調味料

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映画『マダム・マロリーと魔法のスパイス』ヘレン・ミレン/シャルロット・ルボン

前回に続き今回も調味料についてご紹介します。日常的に使用する酢や胡椒、ソース、ハーブなどの特徴を知って、家庭でもぜひご活用ください。

映画で“食”について考えてみよう12:調味料の特徴を知ってより効果的に栄養を摂取

調味料の特徴を意識することで料理がさらに美味しくなる

1:酢
人間が作り出した最古の調味料と言われていて、米や果物を酢酸発酵させて作った「醸造酢」と、醸造酢に化学酢酸を加えた「合成酢」の2種類に大別されます。近年、さまざまな酢が輸入されており、料理に合わせて使い分けることができます。

■穀物酢…穀物を原料にした醸造酢。万能調味料として幅広く使われている。
■米酢…米だけで作った醸造酢。「純米酢」は、発酵時にアルコールを補わず、材料だけを使ったもの(発酵時にアルコールを添加したものは“純”の表記は使えない)。
■黒酢…米酢の一種。自然発酵させる時間が長いため、色が黒くなる。
■果実酢…果実を原料にした食酢。りんごやぶどう以外では、柿酢などが有名。
■アップルビネガー…リンゴ果汁を原料とした食酢。
■バルサミコ酢…ぶどうの木の樽で熟成させた食酢。“バルサミコ”はイタリア語で“誇り高い”の意。

酢の酸味成分は食欲を高めるだけでなく、強い殺菌効果もあるため、食中毒の予防にも大変有効な調味料となっています。 

映画『マダム・マロリーと魔法のスパイス』ヘレン・ミレン

2:マヨネーズ
原料は卵、酢、食用油。JAS規定では「油脂分65%以上、水分30%以下、着色料や乳化剤の使用は不可」と決められています。また、マヨネーズには「全卵型」(塩分1.8%)と「卵黄型」(塩分2.3%)があります。酢と塩の濃度が高いので、長期保存できるのも特徴。

3:ソース類
原料は野菜でスパイスが豊富に使われているため、ビタミンやミネラルも含んでいますが、摂取し過ぎると高塩分になるので注意が必要です。主なソースの特徴は以下の通りです。

■ウスターソース…日本で一般的に「ソース」と呼ばれているもの。野菜や果実の搾汁、煮出し汁などに酢、塩、砂糖、香料を加えた液体調味料のこと。
■中濃ソース…ウスターと濃厚ソースの中間濃度のソース。塩分は5〜7%。
■濃厚ソース…別名「とんかつソース」と呼ばれているもの。濃厚で甘味が強いのが特徴。塩分は5〜7%。
■トマトケチャップ…粉砕したトマトを加熱して裏ごししたトマトピューレに塩、砂糖やタマネギ、ニンニク、香辛料を加えたトマトソースの代表。塩分は3〜4%。

4:ハーブ、スパイス類
ハーブやスパイスに厳密な分け方はありませんが、葉のことを「ハーブ」、種のことを「シード」と呼ぶことから以下のように分類されることが多くあります。

■ハーブ…バジルやミントなど
■香味野菜…クレソンやパセリなど
■スパイシー・スパイス…胡椒やシナモンなど
■シード・スパイス…マスタードなど
■混合スパイス…カレー粉、七味唐辛子など

ここからは、代表的なハーブやスパイスをご紹介します。

<ハーブ>
■オレガノ…ほろ苦い味と涼しい香りが特徴。魚や肉の生臭さを消す効果も高い。
■セージ…抗菌力の高いハーブ。豚肉の臭みを消す効果が高い。
■バジル…爽やかな強い香りが特徴。生バジルは10〜20分で香りが飛んでしまうため食べる直前に調理するのが良い。
■ミント…メントールというすっきりした清涼感のある香りが特徴。お茶やお菓子によく使われる。
■ローズマリー…ハーブの中で最も香りが強いと言われている。肉の臭みを消すのに効果的。
■ローリエ…別名「ベイリーフ」と呼ばれ、日本では「月桂樹の葉」とも呼ばれている。煮込み料理によく使われる。

映画『マダム・マロリーと魔法のスパイス』ヘレン・ミレン

<スパイス>
■胡椒…爽やかな香りと強い辛みを持っているのが特徴。食材の味を引き締めたり、食欲を増進し、消化促進や発刊促進などの効果も認められています。胡椒の種類には以下の3つがあります。

○黒胡椒…完熟前の実を発酵させて乾燥したもの。
○白胡椒…完熟後の実の皮をむいて乾燥させたもの。
○緑胡椒…完熟前の実を冷凍乾燥、または塩水につけたもの。

■山椒…実をスパイス、葉はハーブとして使用。舌がシビれるような刺激が特徴。
■シナモン…「ニッキ」と呼ばれるスパイス。甘味と辛みの絶妙なバランスが特徴。
■唐辛子…体脂肪を燃焼させ、血行促進するカプサイシンが効いたスパイス。
■ナツメグ…甘く刺激的な香りとまろやかな苦さが特徴。挽き肉料理などによく使用する。

ハーブやスパイスは、料理の味を引き立てるのはもちろん、保存性を高める、臭みを消す、食欲を増進する、血行を良くするなど、さまざまな効用があります。また、ハーブやスパイスは香りが命なので、保存する際はしっかりフタを締め、直射日光や高温多湿な場所での保管は避けるようにしてください。

映画『マダム・マロリーと魔法のスパイス』ヘレン・ミレン

調味料は主に味の調整として使われることが多いですが、「この調味料は塩分が多いから、こっちの調味料にしよう」と変えてみるなど、意識をすることもとても大切です。上記以外にも多くの調味料があるので、普段使用しているものは、何からできているのか、どんな効果があるのか調べてみるのもオススメです。

<参考・引用資料>
三ッ井清貴「服部幸應の食育インストラクター養成講座 テキスト3」(がくぶん)
本内容は、上記で語られている内容を一部引用しまとめたものです。

食にまつわる映画をチェック!

マダム・マロリーと魔法のスパイス(字幕版)

『マダム・マロリーと魔法のスパイス』
ブルーレイ&DVDレンタル・発売中/デジタル配信中
REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定
【映画を処方】「ピンチはチャンス」は本当!

幼い頃から料理に興味を持っていたハッサンは、大人になり一家で営むレストランで腕を振るっていた。しかし、あることをきっかけにレストランがなくなり、営業再開の地を探していろいろな国を巡り、やがて南フランスにたどり着く。そこで何かを感じたハッサンの父は、インドレストランを開くと家族に告げるが、店の目の前にはマダム・マロリーが経営するミシュラン1つ星のフレンチレストランがあった…。

★食の注目POINT!!
インド料理、フランス料理の両方を観られて、とても食欲をそそられます。スパイスたっぷりのインド料理では、どんなスパイスが使用されているのかにも注目してみてください。

シェフ!〜三ツ星レストランの舞台裏へようこそ〜 (字幕版)

『シェフ!~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~』
ブルーレイ&DVDレンタル・発売中/デジタル配信中
ジャン・レノ来日イベント

舞台は、パリ有数の超高級三ツ星フレンチレストラン〝カルゴ・ラガルド″。そこで働くベテランシェフ、アレクサンドルは新メニューが閃かず、スランプに陥っていた。そんな時、老人ホームでペンキ塗りをしていたジャッキーと出会う。彼は天才的な舌を持っているにも関わらず、生意気な性格のせいで数々のレストランをクビになっていた。アレクサンドルはジャッキーを雇うことを決め、何とか新メニューの考案に臨むが…。

★食の注目POINT!!
レストラン存続の運命がどうなるのかにも注目ですが、繊細で見た目も華やかな料理にも注目です。スパイスやソースで料理にアクセントを付けていく様子なども参考になります。

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TEXT by Shamy(NPO日本食育インストラクターPrimary)

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