REVIEW

100日間のシンプルライフ

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『100日間のシンプルライフ』フロリアン・ダーヴィト・フィッツ/マティアス・シュヴァイクホファー

モノが溢れている生活から一変、モノが0の状態からスタートして100日間過ごせるかを競い合う男性2人。なんでそんなことを始めたのかと思ったら、動機は勢いでしかないのですが、男の意地がぶつかりあって、熾烈な闘いへと発展します。本作はフィンランドで一大ムーブとなったドキュメンタリー映画『365日のシンプルライフ』をベースに大胆に脚色。自分の所有物は家から離れた倉庫に全部保管され、彼等は1日1アイテムだけ取り戻すことができます。寒い冬の日に部屋で真っ裸の状態から、彼等は1日いちにち生きていくために必要なものを優先して選んでいくので、文明の発達の過程をショートカットで観ているような感覚になります。モノを買うこともルール違反になるので、食は人からごちそうしてもらったり、会社の冷蔵庫のものを食べ漁ったり、あの手この手で生きていくのですが、消費活動が自由にできない日々の中で、彼等は徐々に「幸せって何だろう?」と考え、自分の今までの生活を見つめ直します。そんな彼等の会話の中には、幸せの定義がいくつか出てくるのですが、私達はモノを得ると同時に何を得て、何を失っているのか、改めて考えさせられます。
そんな深いテーマもありながら、1日目は文字通りスッポンポンからスタートして、その後もちょいちょい全裸シーンが出てくるので、肉体美が存分に披露されています(笑)。また、アホらしいやり取りが満載で、笑いを誘います。予想外のラストも、ある意味爽快で、いろんな意味で心の栄養補給になる映画です。

デート向き映画判定
映画『100日間のシンプルライフ』フロリアン・ダーヴィト・フィッツ/ミリアム・シュタイン

生きる姿勢、価値観に変化が起こることで、恋愛も変わってくる様子が見られます。なので、本作をデートで観た場合、ロマンチックな関係から現実的な関係に移り変わる展開を、それぞれどう受け止めるかで、相性がはっきりするかもしれないし、今は良くても長くは続かないと気付くかもしれません。逆に感覚が合うとわかったら、より心の距離が近づくのではないでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『100日間のシンプルライフ』フロリアン・ダーヴィト・フィッツ/マティアス・シュヴァイクホファー

本作は「モノやお金は人を幸せにするのか?」という究極の問いを追究する物語ですが、コミカルな人間ドラマなので、気楽に観ることもできます。主人公2人はもういい歳の大人ですが、子どもっぽいところも多く、幼馴染みの2人のやりとりには、キッズやティーンの皆さんも親近感がわくと思います。自分のお金で生活するようになったら、より心に刺さる物語なので、今1回観て、大人になって自立してしばらくしてからもう1回観てみると、見え方が全然違ってくると思います。

映画『100日間のシンプルライフ』フロリアン・ダーヴィト・フィッツ/マティアス・シュヴァイクホファー

『100日間のシンプルライフ』
2020年12月4日より全国順次公開
PG-12
トランスフォーマー、フラッグ
公式サイト

© 2018 Pantaleon Films GmbH / Erfttal Film & Fernsehproduktion GmbH & Co. KG / WS Filmproduktion / Warner Bros. Entertainment GmbH © Anne Wilk 2018 / Pantaleon Films GmbH / Erfttal Film & Fernsehproduktion GmbH & Co. KG / WS Filmproduktion / Warner Bros. Entertainment GmbH

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集!

ネットの普及によりオンラインで大抵のことができ、AIが人間の代役を担う社会になったからこそ、逆に人間らしさ、人間として生きる醍醐味とは何かを映画学の観点から一緒に探ってみませんか?

映画『スワイプ:マッチングの法則』リリー・ジェームズ スワイプ:マッチングの法則【レビュー】

リリー・ジェームズが主演とプロデューサーを兼任する本作は…

映画『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』アルテュス/アルノー・トゥパンス/ルドヴィク・ブール サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行【レビュー】

パラリンピックやハンディキャップ・インターナショナルのアンバサダーを務めるアルテュスが…

映画『消滅世界』蒔田彩珠/眞島秀和 眞島秀和【ギャラリー/出演作一覧】

1976年11月13日生まれ、山形県出身。

映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン Fox Hunt フォックス・ハント【レビュー】

“狐狩り隊(=フォックス・ハント)”と呼ばれる経済犯罪捜査のエリートチームが、国を跨いだ巨額の金融詐欺事件の真犯人を追い詰めるスリリングな攻防戦が描かれた本作は…

Netflix映画『フランケンシュタイン』オスカー・アイザック フランケンシュタイン【レビュー】

メアリー・シェリー著「フランケンシュタイン」はこれまで何度も映像化されてきました。そして、遂にギレルモ・デル・トロ監督が映画化したということで…

映画『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』リュ・スンリョン/チン・ソンギュ/イゴール・ペドロゾ/ルアン・ブルム/JB・オリベイラ 大命中!MEは何しにアマゾンへ?【レビュー】

『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』という邦題がいい感じで「どういうこと?」と好奇心をそそります(笑)…

映画『君の顔では泣けない』芳根京子 芳根京子【ギャラリー/出演作一覧】

1997年2月28日生まれ。

映画『白の花実』美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんインタビュー 『白の花実』美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんインタビュー

今回は『白の花実』に出演する美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんにお話を伺いました。撮影前に準備されたことや、本編を観た感想を直撃!

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集!

ネットの普及によりオンラインで大抵のことができ、AIが人間の代役を担う社会になったからこそ、逆に人間らしさ、人間として生きる醍醐味とは何かを映画学の観点から一緒に探ってみませんか?

映画『チャップリン』チャーリー・チャップリン『キッド』の一場面 映画好きが選んだチャーリー・チャップリン人気作品ランキング

俳優および監督など作り手として、『キッド』『街の灯』『独裁者』『ライムライト』などの名作の数々を生み出したチャーリー・チャップリン(チャールズ・チャップリン)。今回は、チャーリー・チャップリン監督作(短編映画を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

学び・メンタルヘルス

  1. 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集
  2. 映画『殺し屋のプロット』マイケル・キートン
  3. 映画学ゼミ2025年12月募集用

REVIEW

  1. 映画『スワイプ:マッチングの法則』リリー・ジェームズ
  2. 映画『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』アルテュス/アルノー・トゥパンス/ルドヴィク・ブール
  3. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
  4. Netflix映画『フランケンシュタイン』オスカー・アイザック
  5. 映画『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』リュ・スンリョン/チン・ソンギュ/イゴール・ペドロゾ/ルアン・ブルム/JB・オリベイラ

PRESENT

  1. 映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』チャージングパッド
  2. 映画『ただ、やるべきことを』チャン・ソンボム/ソ・ソッキュ
  3. 映画『グッドワン』リリー・コリアス
PAGE TOP