REVIEW

ロストケア【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ロストケア』松山ケンイチ/長澤まさみ

本作は、日本の介護問題に鋭く切り込んだ葉真中顕の第16回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作を『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』『そして、バトンは渡された』の前田哲監督が映画化した作品です。ある民家で老人と訪問介護センターの所長の死体が発見され、介護士の斯波宗典 (松山ケンイチ)が逮捕されます。検事の大友秀美(長澤まさみ)は、斯波が勤める訪問介護施設のある不審な点に気づき、真実を突き止めようとします。
斯波は、一見とても真面目で優しく、他の職員からも慕われています。もし彼が側にいたとしても決して殺人犯には見えないと思います。でも、物語が進むにつれて衝撃の事実が明らかになります。詳細は控えますが、本作の1番の見どころは斯波と大友のそれぞれの正義がぶつかり合う点です。物語からは介護の闇も垣間見え、観ている側も昨今の介護問題と照らし合わせながら観ることができます。また、さまざまな介護問題を抱える人物が登場するので、観る方の状況によって感情移入するキャラクターが変わると思います。
主人公を演じた松山ケンイチ、長澤まさみをはじめ、鈴鹿央士、坂井真紀、戸田菜穂、柄本明らが共演していて、それぞれの名演が光っています。特に斯波と大友が対峙するシーンはものすごく緊張感が伝わってきて、見応えがあります。現代の社会問題と通ずる点がたくさんありつつ、ミステリーとしても楽しめる作品で、介護経験の有無や年齢問わず多くの方に観て欲しい1作です。

デート向き映画判定
映画『ロストケア』長澤まさみ/鈴鹿央士

恋愛要素はなく、介護問題にまつわる物語なので、付き合いの長いカップル向けの作品です。事件を推理しながら観ても楽しめるので、鑑賞後に一緒に感想を話すと盛り上がりそうです。また、本作では親の介護の大変さも描かれているので、これを機に親の介護や、自分達の老後について一緒に考えてみてはいかがでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ロストケア』松山ケンイチ/柄本明

皆さんの場合は介護とまだまだ疎遠な方が多いと思います。でも、人気俳優が出演しているという点や、事件の真相に迫るミステリー要素は皆さんも興味深く観られるのではないでしょうか。本作を観ることで、普段ニュースなどで報道されている介護問題についてもよりリアルに感じると思います。

映画『ロストケア』松山ケンイチ/長澤まさみ

『ロストケア』
2023年3月24日より全国公開
日活、東京テアトル
公式サイト

©2023「ロストケア」製作委員会

TEXT by Shamy

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ファースト・カウ』ジョン・マガロ ジョン・マガロ【プロフィールと出演作一覧】

1983年2月16日アメリカ、オハイオ州生まれ。演劇作品への出演からキャリアをスタートし…

映画『碁盤斬り』草彅剛/清原果耶 碁盤斬り【レビュー】

古典落語の名作「柳田格之進」をベースにした本作は、『孤狼の血』『彼女がその名を知らない鳥たち』の白石和彌が監督を務め…

映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』キングズリー・ベン=アディル ボブ・マーリー:ONE LOVE【レビュー】

ボブ・マーリーの歌を耳にしたことがある方は多くいらっしゃると思います。ただ…

映画『言えない秘密』京本大我/古川琴音 アイドルを観たい!知りたい!アイドル映画特集

こちらの記事では、アイドル出演作から、アイドルが原作を書いた作品、アイドルが主人公の作品、実在のアイドルがモデルとなっている作品まで、アイドルにまつわる作品をアレコレご紹介します!

映画『ミッシング』石原さとみ ミッシング【レビュー】

𠮷田恵輔監督、石原さとみ主演の本作は、行方不明になった6歳の娘を必死で探す夫婦と、その姿を報道するテレビ局の人間を通して…

映画『猿の惑星/キングダム』フレイヤ・アーラン 猿の惑星/キングダム【レビュー】

本作の宣伝で“完全新作”と称している通り、これまでとは異なるテンションが…

映画『不死身ラヴァーズ』見上愛/佐藤寛太 映画に隠された恋愛哲学とヒント集76:恋愛における過去・現在・未来の重要性

今回は、高木ユーナによる同名コミックを原作とし、松居大悟監督が10年以上温め続けてきたという『不死身ラヴァーズ』を題材に、恋愛における過去・現在・未来の重要性について考えます。

映画『またヴィンセントは襲われる』カリム・ルクルー またヴィンセントは襲われる【レビュー】

主人公のヴィンセントは、ある日突然、会社でインターンの男性に襲いかかられ…

海外ドラマ『三体』エイザ・ゴンザレス ポッドキャスト【だからワタシ達は映画が好き】8〜「最近観たNetflix作品」

『三体』は全部観た方とぜひ共有したい、とある伏線についての話で盛り上がっています…

映画『カラーパープル』タラジ・P・ヘンソン タラジ・P・ヘンソン【プロフィールと出演作一覧】

1970年9月11日アメリカ、ワシントンD.C.生まれ。俳優、プロデューサー、監督。2001年『サウスセントラルLA』で注目を集め…

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『MIRRORLIAR FILMS Season5』横浜流星 映画好きが推すイイ俳優ランキング【国内20代編】

今回は、国内で活躍する20代(1995年から2004年生まれ)のイイ俳優の中から、昨今活躍が目覚ましい方を編集部の独断で70名選抜し、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』ティモシー・シャラメ 映画好きが選んだ2023洋画ベスト

正式部員の皆さんに2023年の洋画ベストを選んでいただきました。どの作品が2023年の洋画ベストに輝いたのでしょうか?

映画『テルマ&ルイーズ 4K』スーザン・サランドン/ジーナ・デイヴィス あの名作をリメイクするとしたら、誰をキャスティングする?『テルマ&ルイーズ』

今回は『テルマ&ルイーズ』のリメイクを作るとしたら…ということで、テルマ役のジーナ・デイヴィスとルイーズ役のスーザン・サランドンをそれぞれ誰が演じるのが良いか、正式部員の皆さんに聞いてみました。

REVIEW

  1. 映画『碁盤斬り』草彅剛/清原果耶
  2. 映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』キングズリー・ベン=アディル
  3. 映画『ミッシング』石原さとみ
  4. 映画『猿の惑星/キングダム』フレイヤ・アーラン
  5. 映画『またヴィンセントは襲われる』カリム・ルクルー

PRESENT

  1. 映画『FARANG/ファラン』ナシム・リエス
  2. 映画『猿の惑星/キングダム』オリジナルTシャツ
  3. 映画『九十歳。何がめでたい』草笛光子
PAGE TOP