REVIEW

愛にイナズマ【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『愛にイナズマ』松岡茉優/窪田正孝/池松壮亮/若葉竜也/佐藤浩市

嘘だらけの世の中で、不器用ながら正直に生きる家族の姿が映し出された作品。心ない人間ほど性善説を語り、心ある人間ほど人間の悪を無視できず、もがく姿に共感を覚えます。この世は理不尽なことで溢れているけれど、理不尽なことをやる人は理不尽なことに無頓着で、繊細な人間ほど理不尽なことから目を逸せません。そんな状況を目の当たりにさせられるストーリーにやるせなさを感じながら、それでも不器用で正直に生きる主人公の家族がお互いの真相を知ることで救われていく姿に、観ているこちらも救われます。ラブストーリーと家族愛の絡まり具合も絶妙で、か弱いのに強いメインキャラクター達の魅力も抜群です。
そして、やるせなさとユーモアが絡み合うストーリーにリアリティを吹き込む俳優陣の演技が見事!メインキャラクターを演じる松岡茉優、窪田正孝、池松壮亮、若葉竜也、佐藤浩市のユーモアのセンスを改めて感じます。特に佐藤浩市の“間”は神がかっていて、ふいに際どいツボに刺さります。他にも味のある俳優陣が脇を固め、脚本力、演技力、演出力が揃った作品となっています。観る者をリアルにイラつかせ、不安にさせておいて、最後に救いの手を差し伸べる、感情を揺さぶる作品ともいえて、こういう邦画の秀作がより多くの方に届くといいなと感じます。

デート向き映画判定
映画『愛にイナズマ』松岡茉優/窪田正孝

タイトルからしてどっぷりラブストーリーかと思いきや、どちらかというと家族愛がメインです。ラブストーリーの部分も何だか初々しさがあり、初デートで観ても気まずいということはないでしょう。恋愛対象より先に、相手を人間として好きになるという感覚も伝わってくるストーリーで、恋愛が苦手な者同士で観るにも向いている作品です。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『愛にイナズマ』松岡茉優/池松壮亮/若葉竜也

主人公の花子(松岡茉優)が子ども時代に不可解に感じていた家族の黒歴史の真相を知るストーリーなので、本作を観る皆さんにとっても、物事を別の角度から観るきっかけになるのではないでしょうか。また、日々世の中のここがおかしい、大人のここがおかしいと思いながらも、意見をいうと頭ごなしに押さえつけられてしまう感覚に悶々としているであろうティーンの皆さんにとっては共感ポイントも多いと思います。ぜひ観てみてください。

映画『愛にイナズマ』松岡茉優/窪田正孝/池松壮亮/若葉竜也/仲野太賀/趣里/高良健吾/MEGUMI/三浦貴大/芹澤興人/笠原秀幸/鶴見辰吾/北村有起哉/中野英雄/益岡徹/佐藤浩市

『愛にイナズマ』
2023年10月27日より全国公開
東京テアトル
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

©2023「愛にイナズマ」製作委員会

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2023年10月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 君の顔では泣けない【レビュー】

高校1年生の夏、坂平陸(武市尚士)と水村まなみ(西川愛莉)はプールに一緒に落ちたことで体が入れ替わってしまいます。2人はすぐに元に戻ることができず15年を過ごし…

映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト スプリングスティーン 孤独のハイウェイ

物語の舞台は1982年。ブルース・スプリングスティーン(ジェレミー・アレン・ホワイト)は、名声を手に入れながらも、葛藤を抱えて…

映画『2つ目の窓』松田美由紀 松田美由紀【ギャラリー/出演作一覧】

1961年10月6日生まれ。東京都出身。

「第38回東京国際映画祭」クロージングセレモニー:受賞者 東京グランプリは『パレスチナ36』!第38回東京国際映画祭ハイライト

2025年10月27日(月)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開幕したアジア最大級の映画の祭典である第38回東京国際映画祭が、11月5日(水)に閉幕。今年も個性豊かな作品が多数出品され、さまざまなイベントが実施されました。以下に、第38回東京国際映画祭ハイライトをお届けします。

映画『平場の月』堺雅人/井川遥 平場の月【レビュー】

朝倉かすみ著の同名小説を実写化した本作は、『ハナミズキ』『花束みたいな恋をした』(2021年)などを手がけた土井裕泰が監督を務めて…

映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル ぼくらの居場所【レビュー】

カナダのトロント東部に位置するスカボローを舞台に、さまざまな背景を抱えた3組の親子の姿を…

映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師【レビュー】

第二次世界大戦下のドイツに実在した牧師、ディートリヒ・ボンヘッファーは、ナチスに支配された教会やユダヤ人達を救おうと奮闘…

映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』SUMIRE 佐藤菫【ギャラリー/出演作一覧】

1995年7月4日生まれ。東京都出身。

映画『プレデター:バッドランド』エル・ファニング プレデター:バッドランド【レビュー】

おもしろい!いろいろユニーク!“プレデター”シリーズは…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  2. 映画『おーい、応為』長澤まさみ
  3. AXA生命保険お金のセミナー20251106ver3

REVIEW

  1. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人
  2. 映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト
  3. 映画『平場の月』堺雅人/井川遥
  4. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  5. 映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP