REVIEW

あの頃。

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『あの頃。』松坂桃李/仲野太賀/山中崇/若葉竜也/芹澤興人/コカドケンタロウ

夢中になる趣味を見つけて、同じ趣味の人達と出会い、居場所を見つける。これって究極の幸せですよね。でも、本作はそこに時間という概念を加えていることで、幸せの形は変化し続けるのだと気付かせてくれます。最初主人公は居場所を見つけて生気を取り戻しますが、仲間と一緒に過ごす時間が増えて長くそうしていることで、気持ちに変化が出てきます。彼の気持ちの変化はとてもリアルで、性別や年齢を問わず特に将来に迷っている時期には同じような体験をする人は多いと思います。居場所は大事だけれど、その中にいるだけではいられない時がきて、そこから一歩踏み出すかどうかは人それぞれ。そんな風に、趣味を自分の人生でどう位置づけるかというところもテーマになっていて、時間が経つにつれて、それぞれのキャラクターの選択が見えてくるところにドラマがあります。ただ何が正しくて間違っているということをいっているのではなく、どんな選択をしても同じ趣味の人達との交流が、心の拠り所となっていることが伝わってくる点で、愛が感じられる作品となっています。
キャスティングも絶妙でバランスもバッチリ、メインキャラクターは皆個性的で濃厚です。おバカなやり取りにホッコリできて、今泉力哉監督の作風を感じます。個人的には、若葉竜也が演じる西野のあるシーンがツボでしたが、良い意味でバカバカしいシーンが豊富で、難しいことを考えずに、作品の世界にどっぷり入るだけでも楽しい映画となっています。松浦亜弥など2000年代初頭のハロプロアイドルも懐かしみながら楽しんでください。

デート向き映画判定
映画『あの頃。』松坂桃李/仲野太賀

アクセント的に恋模様も描かれ、切ない展開もありますが、コミカルに描かれているので、その展開に感化されて変なムードになっちゃうような事態は心配しなくて大丈夫です。アイドルオタクでなくても同じ趣味に夢中になっているカップルなら、すごく共感できる内容なので、一緒に観ると盛り上がるのではないでしょうか。また、2000年代初頭のモーニング娘。や、同時期に活躍していた松浦亜弥などの“ハロー!プロジェクト”のアイドルが好きだった世代のカップルも、昔話に華が咲きそうですね。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『あの頃。』松坂桃李/仲野太賀/山中崇/若葉竜也/芹澤興人/コカドケンタロウ

キッズやティーンの皆さんは今まさにアイドルにハマっているお年頃ですよね。大人のハマり方とはちょっと違うところもあると思いますが、好き過ぎるがゆえの熱量は観ていて清々しくて、何だか楽しそうと思ってくれると良いなと思います。キャラクターそれぞれの生き方をどう受け止めるかは別問題として、今は気楽に観てもらえればOKです。もしかしたら皆さんの親御さんが本作に出てくるアイドル達をよく知る世代かもしれませんが、親子で一緒に観に行くと当時のリアルな話が聞けそうですね。

映画『あの頃。』松坂桃李/仲野太賀/山中崇/若葉竜也/芹澤興人/コカドケンタロウ

『あの頃。』
2021年2月19日より全国公開
ファントム・フィルム
公式サイト

©2020『あの頃。』製作委員会

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

ポッドキャスト:トーキョー女子映画部チャンネルアイキャッチ202509 ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】お悩み相談「どうしたらいい出会いがありますか?」他

今回は、正式部員の皆さんからいただいたお悩み相談の中から、下記のお2人のお悩みをピックアップして、マイソンなりにお答えしています。最後にチラッと映画の紹介もしています。

映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ ザ・ザ・コルダのフェニキア計画【レビュー】

REVIEWこれぞウェス・アンダーソン監督作という、何から何までかわいい世界観でありながら…

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流 こんな事があった【レビュー】

2021年夏の福島を舞台に、主人公の17歳の青年のほか、震災後も苦悩しながら生きる人々の姿を…

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ セレステ・ダッラ・ポルタ【ギャラリー/出演作一覧】

1997年12月24日生まれ。イタリア出身。

映画『ブロークン 復讐者の夜』ハ・ジョンウ ブロークン 復讐者の夜【レビュー】

『工作 黒金星と呼ばれた男』『アシュラ』などを手掛けたサナイピクチャーズが贈る本作は…

映画『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』西島秀俊/グイ・ルンメイ Dear Stranger/ディア・ストレンジャー【レビュー】

真利子哲也監督(脚本も担当)による西島秀俊主演作という情報のみで、毎度ながら前情報をほぼ入れずに観て、いろいろ良い驚きが…

映画『風のマジム』伊藤沙莉 風のマジム【レビュー】

マジムって何だろうから始まり、すぐに主人公の名前とわかると、次に「じゃあ、風のマジムってどういうことなんだろう?」という具合に…

映画『ベスト・キッド:レジェンズ』ベン・ウォン ベン・ウォン【ギャラリー/出演作一覧】

2000年1月1日生まれ。中国、上海出身。

映画『ベートーヴェン捏造』山田裕貴/古田新太 ベートーヴェン捏造【レビュー】

「ベートーヴェンにまつわる実話なのに邦画なの!?」と思われる方は少なくないはず。でも…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 ファストムービー時代の真逆を行こうと覚悟を決めた!大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート前編

『るろうに剣心』シリーズ、『レジェンド&バタフライ』などを手掛けた大友啓史監督が<沖縄がアメリカだった時代>を描いた映画『宝島』。今回、当部の部活史上初めて監督ご本人にご参加いただき、映画好きの皆さんと一緒に本作について語っていただきました。

映画『宝島』妻夫木聡/広瀬すず/窪田正孝 沖縄がアメリカ統治下だったことについてどう思う?『宝島』アンケート特集

【大友啓史監督 × 妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太】のタッグにより、混沌とした時代を自由を求めて全力で駆け抜けた若者達の姿を描く『宝島』が9月19日より劇場公開されます。この度トーキョー女子映画部では、『宝島』を応援すべく、正式部員の皆さんに同作にちなんだアンケートを実施しました。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『ふつうの子ども』嶋田鉄太/瑠璃
  2. 映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダー
  3. 映画『バーバラと心の巨人』マディソン・ウルフ

REVIEW

  1. 映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ
  2. 映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流
  3. 映画『ブロークン 復讐者の夜』ハ・ジョンウ
  4. 映画『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』西島秀俊/グイ・ルンメイ
  5. 映画『風のマジム』伊藤沙莉

PRESENT

  1. 映画『ホーリー・カウ』クレマン・ファヴォー
  2. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  3. 映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈/板垣李光人
PAGE TOP