REVIEW
映画のキービジュアルだけ見ると、穏やかなストーリーを想像させられるものの、実際は重いテーマを扱っています。そして、主人公が心に抱えた問題に立ち向かうなかで、記憶が鍵となっています。ちなみに本作の原題は、“MEMORY”です。監督、脚本は『ニューオーダー』で社会の闇をユニークな世界観で比喩したスリリングな物語を描いた、ミシェル・フランコが手掛けています。

アルコール依存症の互助会のシーンから始まる本作の主人公は、ジェシカ・チャステインが演じるシルヴィアです。彼女は何か心に抱えているものがあることは最初からうかがえつつ、具体的な内容はしばらく明かされません。ただ、警戒心の強さや13歳の娘に対して何かと心配し厳しくする様子から、深刻な問題を抱えていることは伝わってきます。

一方、ピーター・サースガードが演じるソールは最初何者かが不明で、登場直後のシーンはすごく不気味に映ります。そこから、徐々に彼の真相がわかり、シルヴィアとソールの物語が展開していきます。2人がどんな化学反応を起こすかは本編をご覧いただくとして、2人は異なる状況で記憶に苦しめられています。言い換えると、2人の辛さは、忘れられない面、忘れてしまう面という記憶の表と裏に紐付いています。

そんな2人の出会いはこれまでの日常が変わるきっかけとなり、閉じていた蓋が開き、問題の根っこと向き合うことになりながらも、ゆっくりと再生していく道が見えるラストには、とても温かい空気が漂います。途中辛いシーンもあるものの、最後には救いがあるので、デトックスをしたい方は観てみてください。
デート向き映画判定

重い内容なので初デートで観るには不向きに思います。ただ、心の中に抑えてきた感情があるきっかけで吹き出し、最終的に良い変化を招く過程を描いているので穏やかな気持ちになれます。なので、パートナーが何か1人で抱えてそうな様子だったら、一緒に観るのもありかもしれません。ただ、無理矢理何か聞き出すようなことはしないほうが良いでしょう。
キッズ&ティーン向き映画判定

主人公シルヴィアの娘アナは、皆さんと年齢が近く、子ども目線で親の問題を見つつ、自分も少なからず大人達の影響を受けるので、共感できる部分があると思います。親は子どもに辛い思いをさせたくないからこそ、自分自身の辛い経験が子育てや教育方針に反映されているケースは少なくないでしょう。事情がわからずにただ厳しくされると反抗したくなるものの、本作を観ると少し視野が広がり、大人に対する視点も変わるかもしれません。

『あの歌を憶えている』
2025年2月21日より全国順次公開
セテラ・インターナショナル
公式サイト
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© DONDE QUEMA EL SOL S.A.P.I. DE C.V. 2023
TEXT by Myson
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情報は2025年2月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。
