REVIEW

アプローズ、アプローズ!囚人たちの大舞台【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『アプローズ、アプローズ!囚人たちの大舞台』カド・メラッド/タヴィッド・アラヤ

「囚人達が舞台に立ち喝采を浴びる」というイメージで観ると、ハプニングが起きてもどこか安心して観てしまうのですが、本作は実話を元にしている点で、綺麗事に終わらず、現実もしっかり描いています。ネタバレになるのでこれ以上は書きませんが、想像通りのところもあれば、想像を裏切る部分もあり、最後まで読めない展開が楽しめます。
そして、本作で囚人達が演じる戯曲が、サミュエル・ベケットの「ゴドーを待ちながら」であるだけでなく、本作の物語全体が「ゴドーを待ちながら」のストーリーと重ね合わせながら展開していく構成がとてもユニークです。これは演劇ファン、英文学好きにはたまらない内容となっているのはもちろん、「ゴドーを待ちながら」を知らない方でも興味が湧く内容となっています。私は大学生の頃、英文学科のゼミで「ゴドーを待ちながら」を知りました。不条理劇のおもしろさを知ったのはまさに「ゴドーを待ちながら」がきっかけで、それから不条理劇がすごく好きになりました。今でも海外だけでなく日本でも「ゴドーを待ちながら」はさまざまな俳優さんによってさまざまな形で演じられているので、皆さんもぜひ一度は観ていただければと思います。
本作は囚人達と彼等に演劇の素晴らしさを教えた演出家であり俳優のお話です。演出家の葛藤に共感し、囚人達が自尊心を取り戻し、更生の兆しを見せていく姿に共感できます。ただし、囚人は重い罪も犯している囚人なので、正直なところ手放しでアプローズ(拍手)を贈る気持ちになれるかは人によって反応が分かれるところでしょう。でも実は、この拍手は誰に贈られているのかこそが、本作の肝になります。それをどう解釈するかによって、本作の真髄に到達できるか否かに分かれるように思います。

デート向き映画判定
映画『アプローズ、アプローズ!囚人たちの大舞台』カド・メラッド

軽快なムードが漂う作品で、デートでも観やすいと思います。ただし、映画のメッセージの受け取り方によって感想が変わってきそうなので、自分の解釈と相手の解釈があまりにズレていると、感性や相性が合わないと気付くきっかけになるかもしれません。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『アプローズ、アプローズ!囚人たちの大舞台』

本作には囚人達の生活が映し出されていて、そこにはお国柄も垣間見えます。刑務所がどのような管理体制になっているかは万国共通な部分ももちろんあると思いますが、一部驚くようなところもあります。映画はストーリーを追うだけでも楽しめるものがありますが、そういった文化の違いも知ることができるので、いろいろな視点で観てみてください。

映画『アプローズ、アプローズ!囚人たちの大舞台』

『アプローズ、アプローズ!囚人たちの大舞台』
2022年7月29日より全国公開
リアリーライクフィルムズ
公式サイト

© 2020 – AGAT Films & Cie – Les Productions du Ch’timi / ReallyLikeFilms

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

海外ドラマ『ワンダーマン』ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世 ワンダーマン【レビュー】

ワンダーマンは、スタン・リー、ジャック・カービー、ドン・ヘックによって、1964年に「アベンジャーズ #9」でマーベル・コミックスに初登場したキャラクター…

映画『ナースコール』レオニー・ベネシュ ナースコール【レビュー】

物語の舞台は、スイスの州立病院。遅番の看護師のフロリア・リント(レオニー・ベネシュ)が出勤してから、シフトの8時間を…

Netflixドラマ『エミリー、パリへ行く シーズン5』タリア・ベッソン タリア・ベッソン【ギャラリー/出演作一覧】

2001年8月1日生まれ。フランス出身。

映画『ザ・クロウ』ビル・スカルスガルド ザ・クロウ【レビュー】

ブルース・リーの息子ブランドン・リーの遺作となった『クロウ/飛翔伝説』(1994)が、約30年の時を経てリブート…

映画『憧れのウェディング・ベル The Five-Year Engagement』エミリー・ブラント 未公開映画活性課ア行

未公開作品のなかから、当部が気になる作品、オススメしたい作品をご紹介。

映画『ブルームーン』イーサン・ホーク/マーガレット・クアリー ブルームーン【レビュー】

実在した作詞家ロレンツ・ハートが過ごした一夜を描いた本作は、ロレンツ・ハートとエリザベス・ウェイランドによって書かれた手紙からインスパイアされた…

映画『しあわせな選択』イ・ビョンホン しあわせな選択【レビュー】

パク・チャヌク監督作ということで、皮肉が効いているだろうと予測はしていたものの…

映画『嵐が丘』ジェイコブ・エロルディ ジェイコブ・エロルディ【ギャラリー/出演作一覧】

1997年6月26日生まれ。オーストラリア生まれ。

映画『スペシャルズ』佐久間大介(Snow Man)/椎名桔平/中本悠太(NCT)/青柳翔/小沢仁志 スペシャルズ【レビュー】

殺し屋がダンスチームを作るとはどういうことなのか…

映画『ほどなく、お別れです』浜辺美波/目黒蓮 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2026年2月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2026年2月】のアクセスランキングを発表!

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』 私ならこうする!『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』を観た女子の本音

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』をトーキョー女子映画部正式部員の皆さんに観ていただき、感想や「私ならこうする!」を聞いてみました。

【映画学ゼミ第6回】「鑑賞者のローカス・オブ・コントロールと、映画鑑賞における着眼点・感想の関係」参加者募集! 【映画学ゼミ第6回】「鑑賞者のローカス・オブ・コントロールと、映画鑑賞における着眼点・感想の関係」参加者募集!

映画を観終わった後に「運命は変えられない」と思ったり、「何事も自分次第」と思うことがありますよね。そういった背景にあるのかもしれない心理的概念として、今回は、ローカス・オブ・コントロール(Locus of Control)を取り上げます。

映画『ユージュアル・サスペクツ』ガブリエル・バーン/スティーヴン・ボールドウィン/ケヴィン・スペイシー/ケヴィン・ポラック あの名作をリメイクするとしたら、誰をキャスティングする?『ユージュアル・サスペクツ』

今回の「勝手にキャスティング企画!」では、『ユージュアル・サスペクツ』のリメイクを作るとしたら?と…

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第6回】「鑑賞者のローカス・オブ・コントロールと、映画鑑賞における着眼点・感想の関係」参加者募集!
  2. 【映画学ゼミ第5回】「登場人物にみる人間の非合理性」参加者募集!
  3. 映画『グッドワン』リリー・コリアス

REVIEW

  1. 海外ドラマ『ワンダーマン』ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世
  2. 映画『ナースコール』レオニー・ベネシュ
  3. 映画『ザ・クロウ』ビル・スカルスガルド
  4. 映画『ブルームーン』イーサン・ホーク/マーガレット・クアリー
  5. 映画『しあわせな選択』イ・ビョンホン

PRESENT

  1. 映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』峯田和伸/若葉竜也/吉岡里帆
  2. 映画『カミング・ホーム』ベン・キングズレー/ハリエット・サンソム・ハリス/ジェーン・カーティン
  3. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP