REVIEW

アジアの天使

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『アジアの天使』池松壮亮/チェ・ヒソ/オダギリジョー/キム・ミンジェ/キム・イェウン/佐藤凌

石井裕也が監督を務め、池松壮亮、オダギリジョーが出演する本作は、韓国を舞台に描かれ、95%以上の韓国スタッフ、キャストのチームで作られました。妻を亡くしたばかりの剛(池松壮亮)は幼い息子(佐藤凌)を連れて、兄が待つ韓国へ着の身着のままでやってきます。でも、兄の透(オダギリジョー)から剛に韓国に来て一緒に仕事をしようと誘ったにも関わらず、透はのらりくらりとしていて、剛の不安を煽るばかり。ただ、透は自信たっぷりで剛は透を信じて仕事を手伝います。そんななか、3人の運命を狂わす出来事が起き…。ここからは映画でご覧いただくとして、剛親子にとっては言葉も全く通じない韓国で不安ばかりの状況ですが、新たな出会いによって改めて哀しみと向き合い、人生を見つめ直すきっかけを得ていきます。また剛達と出会うソル(チェ・ヒソ)、ジョンウ(キム・ミンジェ)、ポム(キム・イェウン)きょうだいも、それぞれ抱えていた思いをお互いにぶつけ、再び心を通わせていきます。
石井裕也監督作には一貫して人生の苦い部分がリアルに描かれていて、本作にもそれは貫かれています。ただ、苦いだけで終わらず、自分で切り拓く余地があることや、人との出会いによって人は癒されていくことを物語っていて、温かさが伝わってくる作品となっています。そして、葛藤の末にすぐに答えを見つけられなくても、ゆっくりゆっくり進めばいいじゃないかというメッセージも込められていて、何だかホッとさせられます。そして、タイトルになっている“アジアの天使”が、必ずしもイメージ通りではないところが逆に救いとなっている点もユニークで、だからこそ人間次第なんだと思わせる説得力にもなっています。本作は自分が大切にしていたものを失い、どうすれば良いかわからずに心がさまよう人達の姿を描いています。コロナ禍の世界には今そういった人で溢れていると思いますが、ふと心を少し軽くしてくれる作品です。

デート向き映画判定
映画『アジアの天使』池松壮亮/オダギリジョー

ずっと今のままじゃいられないとわかっていても、怖くて前に進めない人はたくさんいると思います。既に好きな人がいるけど最初の一歩が踏み出せない人、まだ相手もおらず、そもそも恋ができるかわからない状況で自信がなくなっている人は、少し前向きな気持ちになれると思います。1人でじっくり観るのもオススメですし、友達以上恋人未満の2人なら背中を押してもらえそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『アジアの天使』池松壮亮/チェ・ヒソ/オダギリジョー/キム・ミンジェ/キム・イェウン/佐藤凌

皆さんは、剛の息子、学ぶの目線、ソルの妹ポムの目線が、身近に感じられるのではないでしょうか。基本的には大人向けの作品ではありますが、幼い頃に大事な人を亡くして寂しい思いをしている学やポムの気持ちは、誰にでも共感できると思います。親や自分を大切にしてくれる人を気遣って、逆に自分の気持ちを言えないでいる人もいると思いますが、本作を一緒に観ることで普段は言えないことを言えるきっかけにできるかもしれません。

映画『アジアの天使』池松壮亮/チェ・ヒソ/オダギリジョー/キム・ミンジェ/キム・イェウン/佐藤凌

『アジアの天使』
2021年7月2日より全国公開
クロックワークス
公式サイト

©2021 The Asian Angel Film Partners

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『Mr.ノボカイン』ジェイコブ・バタロン ジェイコブ・バタロン【ギャラリー/出演作一覧】

1996年10月9日生まれ。アメリカ出身。

映画『さとこはいつも』有村架純/石田ひかり/姫野花春 『さとこはいつも』キャスト登壇付き特別試写会 5名様ご招待

映画『さとこはいつも』キャスト登壇付き特別試写会 5名様ご招待

映画『時には懺悔を』西島秀俊/満島ひかり 時には懺悔を【レビュー】

打海文三による原作「時には懺悔を」には、著者自身が障がいを持つ息子を育てた実体験が反映されているとのことです…

映画『グレイ・ミッション』ヘンリー・カヴィル/ジェイク・ギレンホール グレイ・ミッション【レビュー】

『コードネーム U.N.C.L.E.』と同様に、女性1名、男性2名のトリオで魅せる作品でありつつ、本作では女性がボスという設定に特徴があります…

映画『君の見る世界をなぞる』エロワ・ポユ/マクシム・スリヴィンスキー 君の見る世界をなぞる【レビュー】

一見恵まれた環境にいるエンゾは、自分のアイデンティティに悩まされ、居場所を見出せずにいます…

映画『ヒンド・ラジャブの声』 『ヒンド・ラジャブの声』トークイベント付き特別試写会10組20名様ご招待

『ヒンド・ラジャブの声』トークイベント付き特別試写会10組20名様ご招待

映画『ドラマなふたり』ゼンデイヤ/ロバート・パティンソン ドラマなふたり【レビュー】

その告白は一生添い遂げるつもりでいた相手の自信を簡単にくじく威力を持っています。本作はある種の“残酷”さが込められたラブストーリー…

映画『冴えないボクと映えるキミ』アビシャン・ジーヴィント/アナスワラ・ラージャン 『冴えないボクと映えるキミ』公開直前試食会 2組4名様プレゼント

映画『冴えないボクと映えるキミ』公開直前試食会 2組4名様プレゼント

映画『左利きの少女』ニーナ・イエ/マー・シーユエン 左利きの少女【レビュー】

ツォウ・シーチン 監督は、『テイクアウト』(2004)でショーン・ベイカーと共同で監督と脚本を務めて以降、プロデューサーとしてショーン・ベイカーを支えてきた人物です…

映画『Never After Dark/ネバーアフターダーク』穂志もえか 穂志もえか【ギャラリー/出演作一覧】

1995年8月23日生まれ。千葉県出身。

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集! 【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集!

メタ認知は、自分で自分をわかるために必要な認知機能です。今回は、映画鑑賞においてメタ認知の働きによって、鑑賞後の印象が変わるはずという仮説のもと、メタ認知が働く映画鑑賞とそうでない映画鑑賞で何が異なるのかを一緒に考えます。本ゼミでは、映画鑑賞に絡めて日常にも役立つ心理学を取り上げています。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』ラミ・マレック 映画好きが選んだ実在アーティストの伝記映画ランキング

今回は実在アーティストの伝記映画について、正式部員の皆さんに投票してもらいました。さまざまな有名アーティストにまつわる作品がある中で上位にランクインしたのはどの作品でしょうか?

映画『ズートピア2』 映画好きが選んだ2025アニメ映画ベスト

今回は、2025年に劇場公開されたアニメ映画について、正式部員の皆さんによる投票結果ベスト30を発表!2025年のアニメ映画ベストに輝いたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集!
  2. 映画『四月の余白』一ノ瀬ワタル/上阪隼人
  3. 【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集!

REVIEW

  1. 映画『時には懺悔を』西島秀俊/満島ひかり
  2. 映画『グレイ・ミッション』ヘンリー・カヴィル/ジェイク・ギレンホール
  3. 映画『君の見る世界をなぞる』エロワ・ポユ/マクシム・スリヴィンスキー
  4. 映画『ドラマなふたり』ゼンデイヤ/ロバート・パティンソン
  5. 映画『左利きの少女』ニーナ・イエ/マー・シーユエン

PRESENT

  1. 映画『さとこはいつも』有村架純/石田ひかり/姫野花春
  2. 映画『ヒンド・ラジャブの声』
  3. 映画『冴えないボクと映えるキミ』アビシャン・ジーヴィント/アナスワラ・ラージャン
PAGE TOP