REVIEW

エジソンズ・ゲーム

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『エジソンズ・ゲーム』ベネディクト・カンバーバッチ

本作は、まだ炎で灯りを付けていた時代に“電流戦争”で火花を散らした、トーマス・エジソンとジョージ・ウェスティングハウスの物語。1880年にエジソンが電気によって夜を葬ると宣言してから、2人は「直流か交流か」という点で攻防を繰り広げます。エジソンは天才発明家、ウェスティングハウスはカリスマ実業家という違ったタイプの人間だからこそ、より高度な頭脳戦が展開されます。さらにそこへオーストリア移民の発明家テスラが加わるから、おもしろい!電流戦争について知る人が日本でどこまでいるかわかりませんが、これだけの人物が3人も揃って同じ時代に、同じテーマでお互いに影響を与え合っていたと考えるだけで、ドラマチックなストーリーだということは想像して頂けるのではないでしょうか。ベネディクト・カンバーバッチが演じるエジソン、マイケル・シャノンが演じるウェスティングハウス、ニコラス・ホルトが演じるテスラが魅力的に描かれているのはもちろん、特筆すべきはトム・ホランドが演じたエジソンの秘書です。彼は堅物なエジソンを理解する唯一の人物として、エジソンの秘めた人柄を表面化させる重要な役どころを担っています。そして、ラストシーンが何とも素敵!科学者ゆえの探究心、競争心で激しくぶつかり合うエジソンとウェスティングハウスの戦いには醜い部分もありましたが、このレベルの科学者同士でしか理解できないであろう部分で2人の繋がりを感じさせる美しいシーンで幕を閉じます。どちらが勝利するかよりも、良きライバルの存在が尊いものであることを実感できます。

デート向き映画判定
映画『エジソンズ・ゲーム』マイケル・シャノン/ニコラス・ホルト

天才同士の頭脳戦が描かれているので、集中力を持って観たい作品です。電流のことに詳しくなくても理解できる内容ではありますが、鑑賞後に話す際に理解度に差があり過ぎると、どちらかが不完全燃焼になる可能性があります。という部分を踏まえて、余計な気を使わなく良い人を誘うほうが楽しめるのではないでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『エジソンズ・ゲーム』ベネディクト・カンバーバッチ/トム・ホランド

今は当たり前に使えている電気機器ですが、こういう背景があったのだと知ると、有り難みを感じられるはず。また、これを機に「直流って?交流って?」と思ったら、改めて調べてみると頭に入りやすいでしょう。エジソンをはじめ、歴史に出てくる人物の実話を基にした映画なので、アメリカ史の勉強にもなりますね。科学、発明に興味がある人は特に良い刺激を受けると思うので、ぜひ観て欲しいです。

映画『エジソンズ・ゲーム』ベネディクト・カンバーバッチ/マイケル・シャノン

『エジソンズ・ゲーム』
2020年6月19日より全国公開
KADOKAWA
公式サイト

© 2018 Lantern Entertainment LLC. All Rights Reserved.

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ラブリセット 30日後、離婚します』カン・ハヌル/チョン・ソミン ラブリセット 30日後、離婚します

離婚を控えた夫婦が交通事故により同時に記憶を失ってしまい、そのまま離婚協議が進むドタバタ劇が描かれたラブコメディです。口論を繰り返し…

映画『泣いたり笑ったり』アレッサンドロ・ガスマン アレッサンドロ・ガスマン【プロフィールと出演作一覧】

1965年2月24日イタリア、ローマ生まれ。父に俳優のヴィットリオ・ガスマン、母に俳優のジュリエット・メニエルを持つ。主な出演作に…

映画『コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー』フィリス・ナジー監督 『コール・ジェーン −女性たちの秘密の電話−』フィリス・ナジー監督インタビュー

今回は『コール・ジェーン −女性たちの秘密の電話−』の監督を務めたフィリス・ナジーさんにお話を伺いました。

映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』 デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章【レビュー】

浅野いにおによる原作「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」を映画化した本作は2部作となっており…

映画『四月になれば彼女は』佐藤健/長澤まさみ 四月になれば彼女は【レビュー】

「愛を終わらせない方法、それはなんでしょう?」と聞かれたら…

海外ドラマ『ラブ&デス』エリザベス・マーヴェル エリザベス・マーヴェル【プロフィールと出演作一覧】

1969年11月27日生まれ。アメリカ出身。主な出演作に、ドラマ“The District(原題)”『ハウス・オブ・カード』『FARGO/ファーゴ』…

映画『PS1 黄金の河』ヴィクラム 『PS1 黄金の河』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『PS1 黄金の河』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー』エリザベス・バンクス コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー【レビュー】

本作は、人工妊娠中絶が違法だった1960年代後半から1970年代初頭にかけて実在した安全な中絶手術を提供する女性主導の団体“ジェーン”を題材に…

映画『12日の殺人』ルーラ・コットン・フラピエ 感情の矛先はどこへ向ければよいのか【加害者と被害者の物語】特集

加害者と被害者の関係には、想像以上に多面性があります。今回は、そんな加害者と被害者の複雑な関係を描いた映画をご紹介します。

映画『ビニールハウス』キム・ソヒョン ビニールハウス【レビュー】

ビニールハウスで暮らす女性が主人公の本作は、窮地に陥った人間が…

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』ティモシー・シャラメ 映画好きが選んだ2023洋画ベスト

正式部員の皆さんに2023年の洋画ベストを選んでいただきました。どの作品が2023年の洋画ベストに輝いたのでしょうか?

映画『テルマ&ルイーズ 4K』スーザン・サランドン/ジーナ・デイヴィス あの名作をリメイクするとしたら、誰をキャスティングする?『テルマ&ルイーズ』

今回は『テルマ&ルイーズ』のリメイクを作るとしたら…ということで、テルマ役のジーナ・デイヴィスとルイーズ役のスーザン・サランドンをそれぞれ誰が演じるのが良いか、正式部員の皆さんに聞いてみました。

映画『ミステリと言う勿れ』菅田将暉 映画好きが選んだ2023邦画ベスト

正式部員の皆さんに2023年の邦画ベストを選んでいただきました。どの作品が2023年の邦画ベストに輝いたのか、ランキングを発表!

REVIEW

  1. 映画『ラブリセット 30日後、離婚します』カン・ハヌル/チョン・ソミン
  2. 映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』
  3. 映画『四月になれば彼女は』佐藤健/長澤まさみ
  4. 映画『コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー』エリザベス・バンクス
  5. 映画『ビニールハウス』キム・ソヒョン

PRESENT

  1. 映画『PS1 黄金の河』ヴィクラム
  2. 映画『ミセス・クルナス vs.ジョージ・W・ブッシュ』メルテム・カプタン
  3. 映画『青春 18×2 君へと続く道』シュー・グァンハン/清原果耶
PAGE TOP