REVIEW

選ばなかったみち【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『選ばなかったみち』ハビエル・バルデム/エル・ファニング

本作は、サリー・ポッター監督自身が、若年性認知症と診断された弟さんの介護で寄り添った経験を基に描かれています。主人公は、メキシコ移民のレオ(ハビエル・バルデム)とその娘モリー(エル・ファニング)。ある朝モリーは認知症の父レオの家を訪れ、レオを病院に連れていこうと一緒に出かけます。でも行く先々でトラブルが続出。それでもモリーはレオに優しく寄り添います。そんな2人のシーンの間に、レオの回想シーンが挟まっていて、レオが選ばなかったと思われる別の人生が映し出されていきます。
印象的だったシーンは、モリーが周囲の人間に対して、父は目の前にいるのになぜ皆は父のことを“彼”と呼ぶのかと訴えるところです。レオの存在を無視するかのような人々の態度に、強く疑問を投げかけるモリーの姿からは深い愛情が伝わってくると同時に、当事者でない者と当事者との距離感がすごくあるのだと気付かされます。
そして、タイトルにある“選ばなかったみち”は何を指しているのかと考えながら観るわけですが、それはレオにとっての“選ばなかったみち”のことだけではなく、誰にとっても重要な分かれ道があることを表しています。それはどちらを選んでも後悔が残るのではないかというほどとても難しい決断であり、愛する家族との関係で必ずそういう時がくるということを意識させるメッセージを感じます。家族だからこそ逃れられない厳しい現実と、家族だからこそ心のどこかで許し合えるという希望。こういった家族のジレンマを見事に表現した作品となっています。

デート向き映画判定
映画『選ばなかったみち』ハビエル・バルデム/サルマ・ハエック

2つの人生が描かれているので、過去の恋愛に心残りがある方が観ると、デートで観ていることを忘れて、1人の世界に入りこんでしまう可能性があります。観ていると自然にこれまでの人生を振り返りたくなるので、内容的にも1人でじっくり観るほうが向いている作品だと思います。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『選ばなかったみち』ハビエル・バルデム/エル・ファニング

認知症でなかなか意思の疎通が取れない父と一生懸命心を通わせようとするモリーに、皆さんは共感できると思います。モリーが知らない父レオの過去が綴られていく展開は、子ども目線からすると少し複雑な気持ちになるかもしれませんが、大人になるにつれ誰もが重大な分かれ道を通らなければいけないことにも気付かされます。親子関係で今できることがあれば大事にしようと思わせてくれる内容でもあるので、親子で観るのも良さそうです。

映画『選ばなかったみち』ハビエル・バルデム/エル・ファニング

『選ばなかったみち』
2022年2月25日より全国公開
ショウゲート
公式サイト

© BRITISH BROADCASTING CORPORATION AND THE BRITISH FILM INSTITUTE AND AP (MOLLY) LTD. 2020

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『星の教室』桜田ひより 星の教室【レビュー】

『セーラー服と機関銃』『時をかける少女』『Wの悲劇』など数々の名作を生み出してきた角川春樹が総監督を務める作品です。原作は髙田郁の同名小説、監督は中川龍太郎が務めています…

映画『コットンテール』木村多江 木村多江【ギャラリー/出演作一覧】

1971年3月16日生まれ。東京都出身。

映画『ダビデ ~王になった少年~』 ダビデ ~王になった少年~【レビュー】

旧約聖書「サムエル記」に基づき作られた本作は、イスラエルの王となるダビデを主人公とした物語…

映画『mentor』磯村勇斗/末澤誠也/綾野剛 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2026年10月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2026年10月】のアクセスランキングを発表!

映画『てんてん ずっと独身でいるつもり?』森香澄さんインタビュー 『てんてん ずっと独身でいるつもり?』森香澄さんインタビュー

今回は『てんてん ずっと独身でいるつもり?』で初主演を飾った森香澄さんにインタビューをさせていただきました。

映画『GROTESQQQUE-グロテスク-』「エリィアンズ」 GROTESQQQUE-グロテスク-【レビュー】

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』で総作画監督を務めた錦織敦史が、監督、脚本、キャラクター原案を担当する本作は、「『好き』なものを『好きなだけ』詰め込んだ完全オリジナル・アニメーション映画」…

映画『男ともだち』原作者:千早茜先生インタビュー 『男ともだち』原作者:千早茜さんインタビュー

直木賞作家、千早茜のロングセラー小説を、主演に松岡茉優、共演に成田凌を迎えて映画化した『男ともだち』。今回は原作者の千早茜先生にインタビューをさせていただきました。

映画『ヴェリティ/真実』アン・ハサウェイ ヴェリティ/真実【レビュー】

本作の原作者でありプロデューサーも務めるコリーン・フーヴァーは、2023年にTIME誌で「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた人物…

映画『見上げてごらん』森田剛 見上げてごらん【レビュー】

夢を追いかける主人公が夢を叶えたり、夢に破れたりするストーリーはこれまで複数映画化されてきました。でも、本作は…

映画『ワンオペレーション』クリスチャン・スレーター クリスチャン・スレーター【ギャラリー/出演作一覧】

1969年8月18日生まれ。アメリカ、ニューヨーク州出身。

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』トム・クルーズ/ブラッド・ピット あの名作をリメイクするとしたら、誰をキャスティングする?『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』

世界的な超トップスター、トム・クルーズとブラッド・ピットが共演した奇跡の作品『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のパッケージリリースを機に、当部恒例企画「勝手にキャスティング企画!」を実施。

【映画学ゼミSeason2】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求(2)言葉とイメージの関係」参加者募集! 【映画学ゼミSeason2】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求(2)言葉とイメージの関係」参加者募集!

Season2では、比喩的思考、批判的思考、論理的思考を軸として、「思考力を鍛える映画鑑賞の仕組み」を探求するスタンスで一連の流れを意識して構成しています。 とはいえ、毎回冒頭で前回までの振り返りを簡単にしますので、好きな回だけ単発で参加いただいてもOKです。映画に関する雑談も含めて一緒に楽しみましょう!

映画『プラダを着た悪魔』アン・ハサウェイ 映画好きが選んだアン・ハサウェイ人気作品ランキング

今回は、アン・ハサウェイ出演作品(日本劇場未公開作品と直近の劇場公開作品を除く)を対象に、正式部員…

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミSeason2】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求(2)言葉とイメージの関係」参加者募集!
  2. 【映画学ゼミSeason2 第1回】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求①オリエンテーション」参加者募集!
  3. 【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集!

REVIEW

  1. 映画『星の教室』桜田ひより
  2. 映画『ダビデ ~王になった少年~』
  3. 映画『mentor』磯村勇斗/末澤誠也/綾野剛
  4. 映画『GROTESQQQUE-グロテスク-』「エリィアンズ」
  5. 映画『ヴェリティ/真実』アン・ハサウェイ

PRESENT

  1. 映画『ムクドリと人生とレモンパスタ』アルバ・ロルヴァケル/エリオ・ジェルマーノ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP