REVIEW

ヴォイジャー

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ヴォイジャー』タイ・シェリダン/リリー=ローズ・デップ

これは心理的にものすごく怖いストーリーです。環境が破壊された地球から他の惑星へ移住しようとする設定のSF映画は珍しくありませんが、本作は子孫を残すことが第一の目的となっている点でユニークです。ストーリーは、子孫を新たな惑星に届けるというミッションのために人工的に生殖され、訓練を受けた30人の子ども達と1人の教官(コリン・ファレル)が、居住可能な新たな惑星に向けて86年かかるとされる宇宙の旅に出るというもの。船内で子ども達は成長し、大人になった時に子を産み育てて、孫達が新しい惑星に着くことを目指します。船員ははじめ統制された状況にありますが、やがて一部のメンバーが大人達が隠している嘘に気付き、秩序が乱れていきます。ここから先は映画で観ていただきたいので詳細は伏せましょう。
本作は人間の本質の両局面を描いています。大人達は人間のある一面が秩序を乱し混乱を招くと予測したからこそ、子ども達を嘘で統制していたわけですが、裏を返すと人間を信じていなかったからこそ大きな問題に発展してしまったとも考えられます。このストーリーは地球で今起きていることを凝縮して喩えているとも言えて、すごくリアルな恐ろしさがあります。一方で人間を育てる上で必要なことは何か、人間から奪ってはいけないものは何かということも考えさせられます。SFスリラーとして楽しんでいただくのはもちろんのこと、人間を理解する上でもぜひ観て欲しいです。
そして、タイ・シェリダン、リリー=ローズ・デップ、フィオン・ホワイトヘッド、コリン・ファレルそれぞれの演技も見どころです。特にフィオン・ホワイトヘッドが鬼気迫る演技を見せているのでご注目ください。

デート向き映画判定
映画『ヴォイジャー』リリー=ローズ・デップ/フィオン・ホワイトヘッド

ロマンチックなムードになるというよりも、ハラハラドキドキが大半を占めているので吊り橋効果はあるかもしれません。人間の本能が目覚めた時に何が起こるのかを描いているので、恐ろしくなるシーンがありますが、一方で自由に恋愛できる環境にある有り難みも感じるのではないでしょうか。シンプルにエンタテインメントとしても楽しめるので、2人とも興味があれば観てみてください。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ヴォイジャー』タイ・シェリダン

人間って怖いと思える部分と、人間を信じたいという部分の両方が見えると思います。船員達が置かれる状況が二転三転するなかで、皆さんも自分だったらどういう選択をするかシミュレーションができます。どんな価値観で生きていくのが幸せか考えるきっかけになる部分もあるので、若い皆さんにこそぜひ観て欲しい1作です。

映画『ヴォイジャー』タイ・シェリダン/リリー=ローズ・デップ/フィオン・ホワイトヘッド/コリン・ファレル

『ヴォイジャー』
2022年3月25日より全国公開
アルバトロス・フィルム
公式サイト

©2020 VOYAGERS FINANCING AND DISTRIBUTION, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『あの花が咲く丘で、 君とまた出会えたら。』福原遥/水上恒司 あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。

本作のヒロイン百合(福原遥)は、1945年の日本にタイムスリップしてしまい…

映画『正欲』稲垣吾郎 イイ俳優セレクション・アクセスランキング【2023年11月】

“イイ俳優セレクション”【2023年11月】のアクセスランキングを発表!

映画『Winter boy』ポール・キルシェ Winter boy

同性愛者の17歳の青年リュカは、父を事故で亡くしたことをきっかけに、心の中で何かがプツッと切れてしまったような状況に陥ります。そんななか…

ドラマ『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』中島セナ/奥平大兼 『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』配信記念ワールドプレミア 10組20名様ご招待

ドラマ『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』配信記念ワールドプレミア 10組20名様ご招待

映画『ティル』ダニエル・デッドワイラー/ジェイリン・ホール ティル

1955年、アメリカ、ミシシッピ州のマネーで、アフリカ系アメリカ人の14歳の少年エメット・ティルが殺害された事件を映画化…

映画『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』片岡愛之助 片岡愛之助(かたおか あいのすけ)

1972年3月4日大阪府生まれ。1977年、松竹芸能子役オーディションに合格し…

映画『窓ぎわのトットちゃん』 窓ぎわのトットちゃん

原作者である黒柳徹子自身の幼少期を綴った自伝的小説…

映画『イコライザー THE FINAL』ダコタ・ファニング ダコタ・ファニング

1994年2月23日生まれ。アメリカ、ジョージア州コンヤーズ出身。幼少期からテレビドラマやCMに出演。2001年、映画『I am Sam アイ・アム・サム』に出演し…

映画『ウィッシュ』 ウィッシュ

ディズニー100周年を飾る本作には、まさにディズニーが100年間掲げてきた…

映画『ポッド・ジェネレーション』エミリア・クラーク エミリア・クラーク

1986年10月23日生まれ。イギリス、ロンドン出身。HBOのドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』のデナーリス・ターガリエン役で…

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』 トーキョー女子映画部正式部員が推す!今観ているアニメシリーズ特集

今回はトーキョー女子映画部正式部員の方々に、「今観ているオススメのアニメシリーズ」について、聞いてみました。

映画『インファナル・アフェア 4K』アンディ・ラウ/トニー・レオン あの名作をリメイクするとしたら、誰をキャスティングする?『インファナル・アフェア』

今回は『インファナル・アフェア』のラウ役のアンディ・ラウとヤン役のトニー・レオンをそれぞれ誰が演じるのが良いか、正式部員の皆さんに考えていただきました。今回はどんなキャスティング案が挙がったのでしょうか?

映画『ヒッチコックの映画術』アルフレッド・ヒッチコック 映画好きが選んだアルフレッド・ヒッチコック監督人気作品ランキング

アルフレッド・ヒッチコックが監督をした作品(1950年以降に制作された作品)について正式部員の皆さんに投票いただきランキングを作成しました。名作揃いのなか、どの作品が1位となったのでしょうか?

TSUTAYA TV

REVIEW

  1. 映画『あの花が咲く丘で、 君とまた出会えたら。』福原遥/水上恒司
  2. 映画『Winter boy』ポール・キルシェ
    Winter boy

  3. 映画『ティル』ダニエル・デッドワイラー/ジェイリン・ホール
    ティル

  4. 映画『窓ぎわのトットちゃん』
  5. 映画『ウィッシュ』
    ウィッシュ

PRESENT

  1. ドラマ『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』中島セナ/奥平大兼
  2. 映画『ファースト・カウ』ジョン・マガロ
  3. 映画『バービー』マーゴット・ロビー/ライアン・ゴズリング
PAGE TOP