REVIEW

ベイビー・ブローカー【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ベイビー・ブローカー』ソン・ガンホ/カン・ドンウォン/イ・ジウン

是枝裕和監督ってやっぱりスゴい!そして、この世界観に生きる人間達をリアルに体現するソン・ガンホを始めとした韓国実力派俳優もスゴい!「赤ちゃんを売る」という絶対に共感できないであろう設定によって、最初は一種の抵抗感を持って観る方もいると思いますが、観てみると、皆が赤ちゃん、子どもを大切に思う姿勢が根底にあることがわかり、メインキャラクター達の葛藤を観る側も体感することになります。
キャラクターそれぞれの一見不可解な行動の裏には、傷付いた過去や未来への不安を物語る心境があり、それが徐々に露わになっていきます。さまざまな立場のキャラクターがいながら、誰かを擁護するわけでもなく、客観的、総合的な視点で「子どもが育てられない場合にどうすべきか」という問題に切り込んでいる点も見事です。当然ながら、女性目線で観て複雑な心境になるシーンやセリフはいくつかあります。きっと始めは誰か1人自分に近いキャラクターを見つけて感情移入しながら観るでしょう。でも、自分とは正反対の立場のキャラクターの心情も合わせて観ることができ、良い意味で何が正解かわからなくなるはずです。そうしてわからなくなるからこそ、それぞれの立場で考えるようになる。だから、本作はそういう意味でどんな立場の人にも平等に問題提起をしているのだと感じます。
また、本作には貧困という問題も潜んでいます。だから、女性だけの話、カップルや夫婦だけの話でもありません。社会全体に関わるストーリーというところで、ぜひ多くの方に観て欲しいと思います。

デート向き映画判定
映画『ベイビー・ブローカー』ペ・ドゥナ/イ・ジュヨン

将来的に子どもが欲しいと思っているカップルは特に、ぜひ一緒に観てください。実際にまだ子どもがいない状態だと、すべて大人の事情で考えてしまいがちです。でも、本作には子ども側の目線も描かれていて、子どもを持つことの重みを改めて実感させられます。子どもの存在は2人の関係にも大きく影響することなので、1度じっくり話し合う機会として観てみると良いのではないでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ベイビー・ブローカー』ソン・ガンホ/カン・ドンウォン

子ども目線では本作はどんな風に見えるのか、ぜひ聞いてみたいところです。本作を観ると、世の中にはさまざまな事情を抱えている人がいるとわかるでしょう。それぞれ考え方も違います。でも、本作のキャラクターはお互いを知ることで徐々に心を近づけていきます。学校などでも、辛い事情を隠している友達がいるかもしれません。本作を観て社会事情を知って視野が広がれば、悩みを抱えている友達に今より少しは優しくできるようになるかもしれません。

映画『ベイビー・ブローカー』ソン・ガンホ/カン・ドンウォン/ ペ・ドゥナ/イ・ジウン/イ・ジュヨン

『ベイビー・ブローカー』
2022年6月24日より全国公開
ギャガ
公式サイト

©2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ナイトボーン -夜哭-』ルパート・グリント ルパート・グリント【ギャラリー/出演作一覧】

1988年8月24日生まれ。イングランド、エセックス州ハーロウ出身。

実写映画『ルックバック』出口夏希/蒔田彩珠 ルックバック【レビュー】

藤本タツキによる原作漫画「ルックバック」は、「2024年には劇場アニメ化され、第48回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞。2026年7月現在、発行部数は100万部を突破して」おり、「本作は、藤本タツキ作品として初の実写映画化」となります…

映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』織田裕二 踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!【レビュー】

『踊る大捜査線』は1997年に連続ドラマとして放送が開始され、「これまでに公開された映画シリーズ8作品の累計動員数は3863万人、累計興行収入は524.1億円.。映画第2弾『踊る大捜査線THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003年)は、興行収入173.5億円を記録」した…

映画『私たちは、ちょうどいい。』バービー・フェレイラ/ジョン・レグイザモ 私たちは、ちょうどいい。【レビュー】

普段極力前情報を入れずに観るので、本作の背景も知りませんでした。だから、とてもイイ話だなとウルウルしてたら、最後に…

映画『ナイトボーン -夜哭-』セイディ・ハーラ セイディ・ハーラ【ギャラリー/出演作一覧】

1984年1月1日生まれ。フィンランド・キルッコヌンミ出身。

映画『さとこはいつも』有村架純/石田ひかり/姫野花春 さとこはいつも【レビュー】

沖田修一監督作特有の甘塩っぱい世界観がたまらない1作…

映画『ブルーロック』高橋文哉 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2026年8月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2026年8月】のアクセスランキングを発表!

映画『ワンオペレーション』ローズ・バーン ワンオペレーション【レビュー】

観ているだけで、主人公リンダ(ローズ・バーン)の半端ない疲労感が生々しく伝わってくる作品です…

映画『白鳥とコウモリ』風吹ジュン 風吹ジュン【ギャラリー/出演作一覧】

1952年5月12日生まれ。富山県出身。

映画『八つ墓村』尾上松也 八つ墓村【レビュー】

シリーズ累計発行部数5500万部を超える、横溝正史のベストセラー「八つ墓村」は…

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ボヘミアン・ラプソディ』ラミ・マレック 映画好きが選んだ実在アーティストの伝記映画ランキング

今回は実在アーティストの伝記映画について、正式部員の皆さんに投票してもらいました。さまざまな有名アーティストにまつわる作品がある中で上位にランクインしたのはどの作品でしょうか?

映画『ズートピア2』 映画好きが選んだ2025アニメ映画ベスト

今回は、2025年に劇場公開されたアニメ映画について、正式部員の皆さんによる投票結果ベスト30を発表!2025年のアニメ映画ベストに輝いたのは?

映画『国宝』吉沢亮 映画好きが選んだ2025邦画ベスト

今回は、正式部員の皆さんに投票していただいた2025年邦画ベストの結果を発表!2025年の邦画ベストで上位にランクインしたのはどの作品でしょう?

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集!
  2. 映画『四月の余白』一ノ瀬ワタル/上阪隼人
  3. 【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集!

REVIEW

  1. 実写映画『ルックバック』出口夏希/蒔田彩珠
  2. 映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』織田裕二
  3. 映画『私たちは、ちょうどいい。』バービー・フェレイラ/ジョン・レグイザモ
  4. 映画『さとこはいつも』有村架純/石田ひかり/姫野花春
  5. 映画『ブルーロック』高橋文哉

PRESENT

  1. ドラマ『幸せカナコの殺し屋生活2』のん/藤ヶ谷太輔
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP