REVIEW

Fukushima 50(フクシマフィフティ)

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『Fukushima 50(フクシマフィフティ)』佐藤浩市/渡辺謙

東日本大震災から9年経ちましたが、福島第一原発の事故の裏側を、これだけ赤裸々に語ってくれたことに感謝です。目の前で非常事態が起き、逃げるという選択肢が最初からないなかで、自分達がやらなければという使命感を持って命をかけて対応にあたってくれた電力会社の現場の方々の姿は涙なしには観られません。この期に及んで要領を得ない政府や大企業幹部達の対応は観ていて本当に腹が立ちますが、現場の方々の知識と行動力、そして献身的な姿勢と責任感によって、どれだけ救われたかがわかります。東日本全体が壊滅していたかも知れなかった状況が今さらながらとてもリアルに伝わってきて、私達の命がまだあるのは彼らのおかげだなと感謝してもしきれません。当時から今も福島から避難した方々に心ない言葉を吐いたり、学校ではいじめがあったりすると聞きますが、そんな無理解な人にこそこの映画をぜひ観て欲しい!改めてこのことは忘れてはいけないし、今新型コロナウィルスの問題が起こっていますが、まさに同じような状況が背景であるのかと思うと、日本の危機管理の体制を見直す意味でも、政府関係者や保身ばかり気にして適切な対応を止めてしまっている関係者上層部の方々にもぜひ観て欲しいです。

デート向き映画判定
映画『Fukushima 50(フクシマフィフティ)』佐藤浩市

福島第一原発に働く夫と、その家族の物語も描かれています。災害で家族は避難しつつ、夫の命もどうなるのかわからず、ただ連絡を待っているだけの状況な上に、原発が爆発したことで、周囲からもどんな目を向けられるかわからないなかで、夫婦の信頼関係の重要さが伝わってきます。ロマンチックなムードにはなりませんが、大切な人を思う気持ちは改めて実感できるはず。涙もろい人はハンカチと、女子はメイク直しグッズをお忘れなく。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『Fukushima 50(フクシマフィフティ)』佐藤浩市

いつも当たり前に仕事から帰ってくるはずのお父さんが、帰ってくるのかわからない…。本作には子どもが心配する目線も描かれているので、年齢を問わず感情移入できます。原発の仕組みがわからなくても、どれくらい大変なことが起きていて、どれくらい危険な状況で人が対応しているのかは、映像から伝わってくるので、小学生が観ても理解できると思います。本作を観て、私達の見えないところで、命がけで私達を守ってくれた人達がいることを、ぜひキッズやティーンの皆さんにも知って欲しいです。

映画『Fukushima 50(フクシマフィフティ)』佐藤浩市/渡辺謙/吉岡秀隆/緒形直人/安田成美

『Fukushima 50(フクシマフィフティ)』
2020年3月6日より全国公開
松竹、KADOKAWA
公式サイト

© 2020『Fukushima 50』製作委員会

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ひゃくえむ。』 ひゃくえむ。【レビュー】

魚豊著の『チ。 ―地球の運動について―』がすごく好きなので、絶対に本作も…

映画『お嬢と番犬くん』櫻井海音 櫻井海音【ギャラリー/出演作一覧】

2001年4月13日生まれ。東京都出身。

映画『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』ビル・スカルスガルド ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝【レビュー】

実に楽しい!良い意味で「なんじゃこりゃ?」というハチャメチャなノリなのに…

ポッドキャスト:トーキョー女子映画部チャンネルアイキャッチ202509 ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】お悩み相談「どうしたらいい出会いがありますか?」他

今回は、正式部員の皆さんからいただいたお悩み相談の中から、下記のお2人のお悩みをピックアップして、マイソンなりにお答えしています。最後にチラッと映画の紹介もしています。

映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ ザ・ザ・コルダのフェニキア計画【レビュー】

REVIEWこれぞウェス・アンダーソン監督作という、何から何までかわいい世界観でありながら…

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流 こんな事があった【レビュー】

2021年夏の福島を舞台に、主人公の17歳の青年のほか、震災後も苦悩しながら生きる人々の姿を…

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ セレステ・ダッラ・ポルタ【ギャラリー/出演作一覧】

1997年12月24日生まれ。イタリア出身。

映画『ブロークン 復讐者の夜』ハ・ジョンウ ブロークン 復讐者の夜【レビュー】

『工作 黒金星と呼ばれた男』『アシュラ』などを手掛けたサナイピクチャーズが贈る本作は…

映画『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』西島秀俊/グイ・ルンメイ Dear Stranger/ディア・ストレンジャー【レビュー】

真利子哲也監督(脚本も担当)による西島秀俊主演作という情報のみで、毎度ながら前情報をほぼ入れずに観て、いろいろ良い驚きが…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 ファストムービー時代の真逆を行こうと覚悟を決めた!大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート前編

『るろうに剣心』シリーズ、『レジェンド&バタフライ』などを手掛けた大友啓史監督が<沖縄がアメリカだった時代>を描いた映画『宝島』。今回、当部の部活史上初めて監督ご本人にご参加いただき、映画好きの皆さんと一緒に本作について語っていただきました。

映画『宝島』妻夫木聡/広瀬すず/窪田正孝 沖縄がアメリカ統治下だったことについてどう思う?『宝島』アンケート特集

【大友啓史監督 × 妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太】のタッグにより、混沌とした時代を自由を求めて全力で駆け抜けた若者達の姿を描く『宝島』が9月19日より劇場公開されます。この度トーキョー女子映画部では、『宝島』を応援すべく、正式部員の皆さんに同作にちなんだアンケートを実施しました。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『ふつうの子ども』嶋田鉄太/瑠璃
  2. 映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダー
  3. 映画『バーバラと心の巨人』マディソン・ウルフ

REVIEW

  1. 映画『ひゃくえむ。』
  2. 映画『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』ビル・スカルスガルド
  3. 映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ
  4. 映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流
  5. 映画『ブロークン 復讐者の夜』ハ・ジョンウ

PRESENT

  1. 映画『ホーリー・カウ』クレマン・ファヴォー
  2. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  3. 映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈/板垣李光人
PAGE TOP