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冬薔薇(ふゆそうび)【レビュー】

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映画『冬薔薇(ふゆそうび)』伊藤健太郎

ゼロからの再スタートといえる伊藤健太郎が主演の本作は、阪本順次監督が彼からじっくり話を聞き、彼のために書き下ろしたオリジナルの脚本によって作られました。彼が演じた主人公は、親のすねをかじり、学費も出してもらいながらも専門学校にろくに通わず、不良仲間と連み、何もかもが中途半端な渡口淳。淳は過去に兄を亡くしており、ぎくしゃくした家族関係の中で居場所を見失っています。そんな淳の周りである大きな出来事があり、そこから淳は自分の現実を見つめ直すことになります。
本作は伊藤健太郎にとって、俳優としての再スタートをきる重要な作品というのは誰もが思うところでしょう。イメージアップを意図するような要素を入れたくなってもおかしくありません。でも、何ともいえない後味が残るストーリーで、少しゾッとするものがあります。それは彼の物語として、というのではなく、人は何かを一歩踏み間違えた時にどうしようもない孤独に陥り、そこで誰が手を差し伸べるのかによって運命が大きく変わることを描いているからです。本作を観ると、優しさと冷たさは紙一重で、他人と自分の優しさと冷たさの間で人間は迷子になるのだなと思えてきます。
罪を犯した人を無条件に擁護するわけではありません。でも、人間なら間違えることはあります。一方で、間違いを起こす前に周囲がどんなに心配してくれていても気付かない人、そのことに感謝できない人もいます。本作は人間が抱える愚かさと弱さと同時に、社会の歪みも描いています。1度足を踏み外して孤独に陥っている方、自暴自棄になっている方にとっては胸が苦しくなるストーリーではありますが、自分を見つめ直し、正しい選択ができるようにするために観て欲しい1作です。

デート向き映画判定
映画『冬薔薇(ふゆそうび)』小林薫/伊武雅刀/石橋蓮司

重い内容なので、初デートや交際ホヤホヤのカップルのデートには向いていないと思います。ただ、自分のことはもちろん、周囲の人の心の内を想像させられるストーリーで、表面的には見えない人間の複雑な面を知ることができます。もし、お互いに言えずに悶々としていることがあったら、本作を観た後で打ち明けてみると少し心の距離が近づくかもしれません。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『冬薔薇(ふゆそうび)』永山絢斗/毎熊克哉

いろいろなキャラクターが登場するので、誰かしら感情移入できる人が見つかると思います。家族関係、友達関係が重要な鍵となっていて、思春期の皆さんでも感覚として共感できる部分があるでしょう。本当の孤独を味わう前にできることがないか、本作を観て考えてみてはどうでしょうか。

映画『冬薔薇(ふゆそうび)』伊藤健太郎/小林薫/余貴美子

『冬薔薇(ふゆそうび)』
2022年6月3日より全国公開
PG-12
キノフィルムズ
公式サイト

©2022「冬薔薇(ふゆそうび)」FILM PARTNERS

TEXT by Myson

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