REVIEW

ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』

REVIEW

“ハッピー”や“ゲット・ラッキー”をはじめとする大ヒット曲を多数生み出し、他のビッグ・アーティストへの楽曲提供やプロデュースでも並外れた偉業を成してきたファレル・ウィリアムスの人生が初めて映画化されました。でも、「なぜレゴ®で?」と思った方もいるでしょう。それにはしっかり理由があり、本作の冒頭の彼の言葉を聞けばわかります。そして、それはユニークなアイデアという点に留まらず、彼が伝えたいメッセージの深さにも通じています。さらに、本作を観ていくにつれ、レゴ®で表現するというユニークさは、ファレル・ウィリアムスらしさの表れだと気づきます。

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』
ファレル・ウィリアムス

ほとんど彼について知らないとしても、本作で出てくる数々の楽曲を聞けば、聞いたことのある曲ばかりだと思うはず。実際に私はほとんど彼の経歴を知らずに観たものの、「あの曲もその曲もファレル・ウィリアムスが手掛けたのか!」と驚きました。また、彼は好奇心旺盛で、音楽だけではなく、ファッションなど興味を持った分野でさまざまな制作活動に携わっていて、思いのままに生きている姿は観ていて爽快で、強い共感を覚えます。

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』
ダフト・パンク“ゲット・ラッキー”MV

彼の類稀な才能は、彼が自分らしくあるからこそ発揮されている点も印象的です。逆にいえば、そうではなかった時期に彼は相当苦しみます。誰にでもスランプはあるというだけではなく、大きな成功を掴んだ人間には、私利私欲で近づいてくる人物が必ずいます。彼も例外ではなく、彼の富みにあやかろうとする人物からの入れ知恵のために、自分らしくいることを妨げられます。でも、そんななか、もがきにもがいた末に彼は再び自分らしさを取り戻す姿に希望をもらえます。

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』
スヌープ・ドッグ

彼の才能を見抜いた祖母の言葉にも心に響く金言が複数あります。一つだけ紹介すると、「好きなことの中に、人の役に立つことがある」という言葉がありました。言葉を聞いただけでは、高い理想に聞こえるし、どうやって現実に落とし込むのか想像するのは簡単ではないものの、その言葉が彼にどんな影響を及ぼしたのかを観ると、大きなヒントを得られます。好きなことを仕事にできるのかな、そうした仕事って続くのかなと自信が持てない方、一度そうした自信を持っていたけれど失ってしまった方には特に響くと思います。

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』
ジャスティン・ティンバーレイクとファレル・ウィリアムス

個人的に、この作品を観たタイミングが自分にとってすごく意味があるタイミングだったこともあり、響くところが多くあったと同時にたくさんの気づきとパワーをもらいました。本作を観て、ファレル・ウィリアムスが一気に好きになりました。ファレル・ウィリアムスをあまり知らない方、音楽に疎い方にもオススメです。そして、レゴ®による表現がすごくカワイイのと同時に、こんなに表情豊かに描けるのかと驚かされます。子どもから大人まで楽しめる異色作、ぜひご覧ください。

デート向き映画判定

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』
ファレル・ウィリアムスとグウェン・ステファニー

ファレル・ウィリアムスの妻のヘレン・ラシチャンの存在も印象的に描かれています。ファレル・ウィリアムスが絶好調な時でも、絶不調な時でも、ヘレンが静かに見守る優しさがすごく伝わってきます。ファレルとヘレンの夫婦関係は、カップルにとって良いお手本にできるでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』
幼少期のファレル・ウィリアムス

レゴで描かれる世界がとても可愛くて、楽しいので、ファレル・ウィリアムスを知らない若い世代の皆さんでも存分に楽しめます。本作では「7種類の肌色と51種の顔パーツが含まれたレゴ®ミニフィギュアで多様性」が表現されています(映画公式資料)。クリエイティブな刺激も存分に得られるはずです。

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』

『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』
2025年4月4日より全国公開
パルコ、ユニバーサル映画
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

© 2024 FOCUS FEATURES LLC

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年3月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『金髪』白鳥玉季さんインタビュー 『金髪』白鳥玉季さんインタビュー

今回は『金髪』で生徒の板緑役を演じた白鳥玉季さんにインタビューさせていただきました。“金髪デモ”を起こすキーパーソンである板緑を演じた感想や、撮影裏でのエピソードを直撃しました。

映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉 TOKYOタクシー【レビュー】

クリスチャン・カリオン監督『パリタクシー』を原作とした本作は、東京にある柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設までの道のりを舞台に、山田洋次監督が映画化…

映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ 心理学から観る映画59:研究倫理に反する実験とその被害『エクスペリメント』『まったく同じ3人の他人』

『まったく同じ3人の他人』というドキュメンタリーを観ました。生き別れた三つ子が再会する感動のストーリーかと思いきや、驚愕の背景を知り、研究倫理について改めて考えさせられました。そこで今回は研究倫理をテーマとします。

映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』ヴァネッサ・パラディ ヴァネッサ・パラディ【ギャラリー/出演作一覧】

1972年12月22日生まれ。フランス出身。

映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮 ブルーボーイ事件【レビュー】

高度成長期にあった1965年の東京では、街の浄化のため、警察はセックスワーカー達を厳しく取り締まっていました。ただ、セックスワーカーの中には性別適合手術(当時の呼称は性転換手術)を受けて女性的な体をした通称ブルーボーイが…

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 君の顔では泣けない【レビュー】

高校1年生の夏、坂平陸(武市尚士)と水村まなみ(西川愛莉)はプールに一緒に落ちたことで体が入れ替わってしまいます。2人はすぐに元に戻ることができず15年を過ごし…

映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト スプリングスティーン 孤独のハイウェイ

物語の舞台は1982年。ブルース・スプリングスティーン(ジェレミー・アレン・ホワイト)は、名声を手に入れながらも、葛藤を抱えて…

映画『2つ目の窓』松田美由紀 松田美由紀【ギャラリー/出演作一覧】

1961年10月6日生まれ。東京都出身。

「第38回東京国際映画祭」クロージングセレモニー:受賞者 東京グランプリは『パレスチナ36』!第38回東京国際映画祭ハイライト

2025年10月27日(月)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開幕したアジア最大級の映画の祭典である第38回東京国際映画祭が、11月5日(水)に閉幕。今年も個性豊かな作品が多数出品され、さまざまなイベントが実施されました。以下に、第38回東京国際映画祭ハイライトをお届けします。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  2. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  3. 映画『おーい、応為』長澤まさみ

REVIEW

  1. 映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉
  2. 映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮
  3. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人
  4. 映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト
  5. 映画『平場の月』堺雅人/井川遥

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP