REVIEW

コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー』エリザベス・バンクス

REVIEW

本作は、人工妊娠中絶が違法だった1960年代後半から1970年代初頭にかけて実在した安全な中絶手術を提供する女性主導の団体“ジェーン”を題材に描かれた物語です。プロデューサーは『ダラス・バイヤーズクラブ』『バービー』などを手掛けたロビー・ブレナー、監督は『キャロル』で脚本を担当したフィリス・ナジーが務めています。
主婦として何不自由なく暮らしていたジョイ(エリザベス・バンクス)は、第2子の妊娠により心臓病が悪化してしまいます。そこで彼女は中絶を決意しますが、病院の男性医師達にあっさりと拒否されてしまいます。そんななか、街で偶然「妊娠?助けが必要?ジェーンに電話を」という張り紙を見つけます。
最初はジェーンとは誰なのかもわからず疑いと不安の気持ちを抱いていたジョイが、“ジェーン”の実態を知り、次第に“ジェーン”の一員となり、熱心に活動していく姿はとてもリアルです。そして、何といっても中絶が法律的に許されない時代に女性達のためにここまで懸命に戦った方々がいたことに驚きます。物語自体はフィクションとして描かれているものの、現実でもきっとこういうやり取りがあったのかもしれないと伺える場面が多くあります。個人的にはリーダーのバージニア(シガニー・ウィーバー)が医者と交渉をし、ある決断を下すシーンが特に印象に残っています。
キャストには、主演のエリザベス・バンクスをはじめ、シガニー・ウィーバー、クリス・メッシーナ、ウンミ・モサク、ケイト・マーラ、コリー・マイケル・スミスらが集結し、それぞれキーパーソンを演じています。シリアスなテーマを扱いながらもいちエンタメ作品として昇華された物語なので、どんな方でも観やすいと思います。また、映画の公式資料によると1973 年にアメリカ連邦最高裁が女性の人工妊娠中絶の権利を合法と判決を下した“ロー対ウェイド判決”から50年の時を経た現在のアメリカでは、再び人工妊娠中絶を違法とする動きが活発になっている現状もあるそうです。そういった背景も踏まえて本作を観るとより考えさせられるのではないでしょうか。

デート向き映画判定

映画『コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー』エリザベス・バンクス/コリー・マイケル・スミス

人工妊娠中絶といった社会問題をテーマにした作品なので、デートを盛り上げる要素はありません。もしデートで相手を誘う場合はどんなテーマの作品なのか事前に説明しておくほうが親切だと思います。また、ジョイの夫婦関係を観ていると、夫に秘密を持つなど少々複雑な感情になる場面もあります。そうした姿を自分達に置き換えて観ると、お互いの関係を振り返るきっかけにもなりそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー』エリザベス・バンクス/シガニー・ウィーバー

皆さんの場合は中学生くらいになり、ある程度妊娠や中絶についてわかるようになってから観ることをオススメします。フィクションとはいえ、実在した団体を基にした物語だと思うと、より衝撃が走ります。本作を観終わった後は、アメリカの人工妊娠中絶にまつわる歴史や現状についてご自身でも調べると勉強になると思います。

映画『コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー』エリザベス・バンクス

『コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー』
2024年3月22日より全国公開
PG-12
プレシディオ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

©2022 Vintage Park, Inc. All rights reserved.

TEXT by Shamy

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年3月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『流麻溝十五号』余佩真(ユー・ペイチェン) 流麻溝十五号【レビュー】

本作の原作は、曹欽榮(ツァオ・シンロン)と鄭南榕基金会による「流麻溝十五號:綠島女生分隊及其他」です…

映画『ツイスターズ』オリジナルハンディファン 『ツイスターズ』オリジナルハンディファン 2名様プレゼント

映画『ツイスターズ』オリジナルハンディファン 2名様プレゼント

映画『このろくでもない世界で』ホン・サビン/ソン・ジュンギ このろくでもない世界で【レビュー】

冒頭から緊張感のあるシーンで始まる本作は、ろくでもない世界でもがく18歳の少年を主人公に…

映画『OUT』公開初日舞台挨拶、杉本哲太 杉本哲太【プロフィールと出演作一覧】

1965年7月21日生まれ。神奈川県出身。『白蛇抄』(1983)で映画デビューし…

映画『あのコはだぁれ?』清水崇監督インタビュー 『あのコはだぁれ?』清水崇監督インタビュー

昨年話題となった『ミンナのウタ』のDNAを引き継ぐ最新作『あのコはだぁれ?』。今回は本作を手掛けた…

映画『デッドプール&ウルヴァリン』ライアン・レイノルズ/ヒュー・ジャックマン デッドプール&ウルヴァリン【レビュー】

たくさん言いたいことはありながら、ネタバレになるので言えないことが多過ぎ…

映画『時々、私は考える』デイジー・リドリー 時々、私は考える【レビュー】

主人公のフラン(デイジー・リドリー)はとても静かだけれど、ここぞという時には…

映画『お隣さんはヒトラー?』デヴィッド・ヘイマン/ウド・キアー お隣さんはヒトラー?【レビュー】

タイトルは『お隣さんはヒトラー?』で、物語の舞台は1960年のコロンビア…。「むむむ?アドルフ・ヒトラーって…

映画『ロイヤルホテル』ジュリア・ガーナー/ジェシカ・ヘンウィック ロイヤルホテル【レビュー】

『アシスタント』のキティ・グリーン監督と、主演を務めたジュリア・ガーナーが再びタッグを組んだ本作は…

映画『チャレンジャーズ』ゼンデイヤ 映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外10代、20代編】個性部門

映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外10代、20代編】番外編として、今回は<個性部門>のランキングを発表します。特に個性が光る俳優としてどの俳優に投票が集まったのでしょうか?

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『チャレンジャーズ』ゼンデイヤ 映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外10代、20代編】個性部門

映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外10代、20代編】番外編として、今回は<個性部門>のランキングを発表します。特に個性が光る俳優としてどの俳優に投票が集まったのでしょうか?

Netflix映画『悪魔はいつもそこに』トム・ホランド 映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外10代、20代編】演技力部門

映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外10代、20代編】番外編として、今回は<演技力部門>のランキングを発表します。演技派揃いのなか、どのような結果になったのでしょうか。

海外ドラマ『THE GREAT 〜エカチェリーナの時々真実の物語〜』エル・ファニング 映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外10代、20代編】雰囲気部門

映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外10代、20代編】番外編として、今回は<雰囲気部門>のランキングを発表します。雰囲気の良さが特に評価されているのは、どの俳優でしょうか。

REVIEW

  1. 映画『流麻溝十五号』余佩真(ユー・ペイチェン)
  2. 映画『このろくでもない世界で』ホン・サビン/ソン・ジュンギ
  3. 映画『デッドプール&ウルヴァリン』ライアン・レイノルズ/ヒュー・ジャックマン
  4. 映画『時々、私は考える』デイジー・リドリー
  5. 映画『お隣さんはヒトラー?』デヴィッド・ヘイマン/ウド・キアー

PRESENT

  1. 映画『ツイスターズ』オリジナルハンディファン
  2. 映画『サユリ』
  3. 映画『ボストン1947』ハ・ジョンウ/イム・シワン
PAGE TOP