REVIEW

グレタ ひとりぼっちの挑戦

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『グレタ ひとりぼっちの挑戦』グレタ・トゥーンベリ

環境保護の活動家グレタさんのことは知っていましたが、彼女の詳しい背景について本作を観て知り、驚かされました。彼女が環境問題に目を向けたきっかけは、学校で観た映画だそうです。今どんどん環境が破壊されていき、もう猶予がない状況を目の当たりにして、その後彼女はふさぎ込み、食べず話さずという状態で病気になり、何年もその状態が続いていたとのことです。そんな時期を乗り越えて、彼女は15歳で1人、学校ストライキを始めました。それは政治家が環境問題に力を入れるように選挙前に訴えるための活動です。その後の展開は本作を観ていただければと思いますが、徹底した態度を取り、権力者の前だろうが誰に対してだろうが強い言葉で訴える姿がとても印象的です。
彼女の活動は各国のニュースで取り上げられ、広く知られるようになりますが、そんな状況でも彼女の姿勢には一切のブレがありません。何のために活動をしているのか、それは環境のためであって目立ちたいわけでも何でもありません。それなのに、彼女がまだ若いこと、アスペルガー症候群であることなどを理由に、彼女の意見や活動を批判したりする人達も出てきます。それは、匿名の一般人だけではなく、いくつかの先進国の首脳だったりするところもショッキングです。これに耐えるのは並大抵のことではありません。たった1人の活動が世界中に広がったというプラスの面と同時に、環境を守りたいと純粋に訴える少女を非難したり脅迫したりする人が出てくるというマイナス面も、本作では同時に映し出されています。この状況を観ていると、環境問題に至る以前の問題も山積みであることがわかります。そして、大人達がいかに楽観主義に逃げて、責任を放棄しようとしているかも痛感させられます。正直なところ、日常でどうしても甘えが出てしまったり、頭ではわかっていても自分ではどうにもできないことだと結局諦めてしまうことのほうが多いですが、たった1人で始めてここまでのムーブメントを起こしたグレタさんの姿そのものが、「やればできる」と証明していると感じられるドキュメンタリーです。できることから少しずつ取り組まなければいけないですね。

デート向き映画判定
映画『グレタ ひとりぼっちの挑戦』グレタ・トゥーンベリ

プラスチック製品が氾濫していること、温暖化現象がひどくなってきていること、地球の資源がなくなってきていることなど、環境問題は私達の生活と密接に繋がっています。今日明日は今まで通りに暮らせるかもしれませんが、数年後にどうなっているかはわかりません。もし真剣に交際している相手がいたら、生活を共にする場合、そういうところの価値観やスタンスも大きな影響があるでしょう。本作を一緒に観て、どんな意見を持っているかお互いに知ることで、一緒に暮らしていけそうかどうかもシミュレーションできるのではないでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『グレタ ひとりぼっちの挑戦』グレタ・トゥーンベリ

皆さんはグレタさんと同世代なので、余計に彼女が持つ危機感や大人に対する苛立ちや絶望がとても身近に思えるでしょう。皆さんが大人になった時、今とどう変わってしまうかはわかりません。それは何十年も先のことではなくなっていることは、大人も含めて、おかしな気候や自然災害の多さなどから皆気付いていることだと思います。大人が1番責任を感じて行動すべきなのはもちろんですが、ぜひ皆さんも今からこういった状況を知っておいて欲しいと思います。

映画『グレタ ひとりぼっちの挑戦』グレタ・トゥーンベリ

『グレタ ひとりぼっちの挑戦』
2021年10月22日より全国順次公開
アンプラグド
公式サイト

© 2020 B-Reel Films AB, All rights reserved.

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『戦争と女の顔』ヴィクトリア・ミロシニチェンコ ヴィクトリア・ミロシニチェンコ【ギャラリー/出演作一覧】

1994年5月17日生まれ。ロシア出身。

映画『ファンファーレ!ふたつの音』エマニュエル・クールコル監督インタビュー 『ファンファーレ!ふたつの音』エマニュエル・クールコル監督インタビュー

フランスで3週連続NO.1(仏映画興収/実写映画において)を獲得し、260万人動員の大ヒットを記録した話題作『ファンファーレ!ふたつの音』。今回は本作のエマニュエル・クールコル監督にインタビューさせていただきました。

映画『ひゃくえむ。』 ひゃくえむ。【レビュー】

魚豊著の『チ。 ―地球の運動について―』がすごく好きなので、絶対に本作も…

映画『お嬢と番犬くん』櫻井海音 櫻井海音【ギャラリー/出演作一覧】

2001年4月13日生まれ。東京都出身。

映画『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』ビル・スカルスガルド ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝【レビュー】

実に楽しい!良い意味で「なんじゃこりゃ?」というハチャメチャなノリなのに…

ポッドキャスト:トーキョー女子映画部チャンネルアイキャッチ202509 ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】お悩み相談「どうしたらいい出会いがありますか?」他

今回は、正式部員の皆さんからいただいたお悩み相談の中から、下記のお2人のお悩みをピックアップして、マイソンなりにお答えしています。最後にチラッと映画の紹介もしています。

映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ ザ・ザ・コルダのフェニキア計画【レビュー】

REVIEWこれぞウェス・アンダーソン監督作という、何から何までかわいい世界観でありながら…

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流 こんな事があった【レビュー】

2021年夏の福島を舞台に、主人公の17歳の青年のほか、震災後も苦悩しながら生きる人々の姿を…

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ セレステ・ダッラ・ポルタ【ギャラリー/出演作一覧】

1997年12月24日生まれ。イタリア出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 ファストムービー時代の真逆を行こうと覚悟を決めた!大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート前編

『るろうに剣心』シリーズ、『レジェンド&バタフライ』などを手掛けた大友啓史監督が<沖縄がアメリカだった時代>を描いた映画『宝島』。今回、当部の部活史上初めて監督ご本人にご参加いただき、映画好きの皆さんと一緒に本作について語っていただきました。

映画『宝島』妻夫木聡/広瀬すず/窪田正孝 沖縄がアメリカ統治下だったことについてどう思う?『宝島』アンケート特集

【大友啓史監督 × 妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太】のタッグにより、混沌とした時代を自由を求めて全力で駆け抜けた若者達の姿を描く『宝島』が9月19日より劇場公開されます。この度トーキョー女子映画部では、『宝島』を応援すべく、正式部員の皆さんに同作にちなんだアンケートを実施しました。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『ふつうの子ども』嶋田鉄太/瑠璃
  2. 映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダー
  3. 映画『バーバラと心の巨人』マディソン・ウルフ

REVIEW

  1. 映画『ひゃくえむ。』
  2. 映画『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』ビル・スカルスガルド
  3. 映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ
  4. 映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流
  5. 映画『ブロークン 復讐者の夜』ハ・ジョンウ

PRESENT

  1. 映画『ホーリー・カウ』クレマン・ファヴォー
  2. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  3. 映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈/板垣李光人
PAGE TOP