REVIEW

泣くな赤鬼

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『泣くな赤鬼』堤真一/柳楽優弥

タイトルから熱血先生のお話かと思いきや、中年の危機、大人の燃え尽き症候群を描いています。野球部の顧問と生徒とくれば、顧問の教師が問題児を更正して、強いチームになっていくというような内容が定番ですが、本作は生徒をきっかけに先生が変わっていくという内容。堤真一が演じる主人公に影響を及ぼす生徒のキャラクターがとてもリアルで、いわゆる根っからの不良というわけではなく、才能がありながら、気持ちがついていかない性格で、ある意味正論だけれど、屁理屈で大人に反論してくるようなどこにでもいるようなタイプというところが逆に本作を個性的なものにしています。大人の理想論が通じなくなってくる、思春期の生徒にどう対処すれば良いのか。これは教師と生徒という立場に限らず、親子関係や、上司と部下という立場にも通じる部分がありますが、突き放すべきか、もっともっと強引に踏み込むべきか、とても難しい問題だと思います。この生徒だけをどうにかするのではなく、他の生徒のことも合わせて考えて、一人ひとりに合ったやり方で接しているつもりでも、意図した通りに通じているとは限りません。これはどちらが良い、悪いということではなく、人間関係にはこういうケースが絶対にあって、それをやり直すきっかけがいつかやってくるかも知れないという希望も込められているように思います。でも良い意味で、希望的な展開を膨らませ過ぎることなく、とてもリアルに描いているところも共感できて、大きなことを成し遂げるかどうかよりも、本当は心を通じ合わせたかった2人が再会した時にどんな化学反応を起こすのかを軸においている点で、大人の“こうでなければいけない”という頭を柔らかくしてくれる部分もあります。子どもが大人に期待しているところって、そういうことなんだなという点にも気付かされる内容で、大人こそ感受性を豊かにしなければと思わせてくれる作品です。

デート向き映画判定
映画『泣くな赤鬼』堤真一

50代の男性を主人公にした、昔生徒だった青年とのお話で、しんみりとしたテンションで、特別デート向きというわけではありませんが、誰でも共感できるところはあるので、デートで観ても問題ないでしょう。相手や自分が、すごく夢中になっていたことがあるのに急にやる気が失せて活気がなくなっているとしたら、本作を一緒に観に行って、心のうちを話すだけでも癒されると思います。

キッズ&ティーン向き映画判定

「大人は綺麗事ばかり言う」と思ったり、「なんで自分だけ」と他の人と比較して、大人の態度を理解できない時がありますよね。大人は皆さんより長く生きていて知っていること、経験していることも多いですが、だからこそ余計にわからなくなっていること、頭が堅くなっていることもあります。本作は大人の視点を少し変えるきっかけになるようなストーリーなので、親子で観て語り合うきっかけにすると、普段伝え切れていないことが少し伝わるかも知れません。

映画『泣くな赤鬼』堤真一/柳楽優弥/川栄李奈/竜星涼/キムラ緑子/麻生祐未

『泣くな赤鬼』
2019年6月14日より全国公開
KADOKAWA
公式サイト

©2019「泣くな赤鬼」製作委員会

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『RYUJI 竜二』柳楽優弥/萩原利久/JUNON(BE:FIRST) RYUJI 竜二【レビュー】

1983年、俳優の金子正次自らが考案し初主演を飾った『竜二』は、映画史に残る1作となりました…

映画『バイオハザード』ザック・クレッガー監督版:オースティン・エイブラムス ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】あの映画がおもしろいと思う本当の理由『DIGGER/ディガー』『バイオハザード』『わたしの知らない子どもたち』など

今回もなるべくネタバレせずにお話していますが、何も知らずに観たい方は映画をご覧になってからお聞きく…

映画『クレイフェイス』トム・リス・ハリス クレイフェイス【レビュー】

DCコミックスのヴィランを主人公とした、強烈な描写による本気のホラーです…

映画『ザ・ハウスメAIド 』ミーガン・フォックス ザ・ハウスメAIド <服従>【レビュー】

性能の高いフィジカルAIが続々と誕生している昨今、本作のストーリーは一層現実性を帯びてみえます…

映画『BOSS/ボス』チョ・ウジン/チョン・ギョンホ/パク・ジファン BOSS/ボス【レビュー】

ボスの座を争う話は数あれど、本作はどうしたらボスにならずに済むかというストーリーで…

映画『進行曲 マーチングボーイズ』ムー・セン(牧森) 進行曲 マーチングボーイズ【レビュー】

台湾屈指の進学校でマーチングバンド部に所属する男子高校生を主人公とした本作は、実話に基づいています…

映画『55 FIFTY FIVE/番号で呼ばれた少年』リズワーン・シェイク 『55 FIFTY FIVE/番号で呼ばれた少年』特別試写会 10名様ご招待

映画『55 FIFTY FIVE/番号で呼ばれた少年』特別試写会 10名様ご招待

映画『うるわしの宵の月』道枝駿佑/安斉星来 うるわしの宵の月【レビュー】

なんとも初々しく、キュンキュンさせられて、観ているだけで20歳くらい若返りました(笑)…

映画『ナギダイアリー』石橋静河 石橋静河【ギャラリー/出演作一覧】

1994年7月8日生まれ。東京都出身。

映画『真実と反逆 〜ナチスと闘った若きレジスタンス〜』ユアン・ホロックス 『真実と反逆 〜ナチスと闘った若きレジスタンス〜』【レビュー】

本作は、ナチス政権に言論の力で対抗した少年ヘルムス・ヒューベナーの実話を基にしています…

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』トム・クルーズ/ブラッド・ピット あの名作をリメイクするとしたら、誰をキャスティングする?『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』

世界的な超トップスター、トム・クルーズとブラッド・ピットが共演した奇跡の作品『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のパッケージリリースを機に、当部恒例企画「勝手にキャスティング企画!」を実施。

【映画学ゼミSeason2】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求(2)言葉とイメージの関係」参加者募集! 【映画学ゼミSeason2】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求(2)言葉とイメージの関係」参加者募集!

Season2では、比喩的思考、批判的思考、論理的思考を軸として、「思考力を鍛える映画鑑賞の仕組み」を探求するスタンスで一連の流れを意識して構成しています。 とはいえ、毎回冒頭で前回までの振り返りを簡単にしますので、好きな回だけ単発で参加いただいてもOKです。映画に関する雑談も含めて一緒に楽しみましょう!

映画『プラダを着た悪魔』アン・ハサウェイ 映画好きが選んだアン・ハサウェイ人気作品ランキング

今回は、アン・ハサウェイ出演作品(日本劇場未公開作品と直近の劇場公開作品を除く)を対象に、正式部員…

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミSeason2】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求(2)言葉とイメージの関係」参加者募集!
  2. 【映画学ゼミSeason2 第1回】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求①オリエンテーション」参加者募集!
  3. 【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集!

REVIEW

  1. 映画『RYUJI 竜二』柳楽優弥/萩原利久/JUNON(BE:FIRST)
  2. 映画『クレイフェイス』トム・リス・ハリス
  3. 映画『ザ・ハウスメAIド 』ミーガン・フォックス
  4. 映画『BOSS/ボス』チョ・ウジン/チョン・ギョンホ/パク・ジファン
  5. 映画『進行曲 マーチングボーイズ』ムー・セン(牧森)

PRESENT

  1. 映画『55 FIFTY FIVE/番号で呼ばれた少年』リズワーン・シェイク
  2. 映画『ムクドリと人生とレモンパスタ』アルバ・ロルヴァケル/エリオ・ジェルマーノ
  3. 映画『君の話』北村匠海/出口夏希
PAGE TOP