REVIEW

レ・ミゼラブル

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『レ・ミゼラブル』

ヴィクトル・ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」の舞台でもあるパリ郊外のモンフェルメイユは、移民や低所得者が多く住む町です。本作はこの町に今も住むラジ・リ監督が、実際に起こった出来事をもとに映画化したものです。この地域を担当する警察官の正義感は足りず、大人達も自分達の権力争いに目がいっているなか、子ども達は無邪気に遊んでいますが、ある少年が起こしたトラブルがきっかけで、多くの人を巻き込む事態に発展していきます。この町なりの暗黙のルールがあるようで、大人だけのトラブルなら駆け引きで何とか出来そうに見えますが、子どもがトラブルの中心にいることで、そう簡単に済まない展開になっていきます。本作には、子ども達の変化は結局は大人のせいで、引いては社会の責任とも言える現状が生々しく描かれています。こうやってこの地域では悪循環がずっと続いているのだとわかりますが、目を背けずに現実を変えようとする大人の存在がいかに大切かを教えてくれます。状況が違えど、日本でも同じようなことがそこら中で起きています。これは遠い国のお話ではないというところで、よりスリルを感じ、心を掻き乱されるのだと思います。

デート向き映画判定
映画『レ・ミゼラブル』ダミアン・ボナール/アレクシス・マネンティ/ジェブリル・ゾンガ

デートが盛り上がるような内容ではありませんが、お子さんのいるご夫婦やこれから子どもを持とうとするカップルは、一緒に観ると子どもへの接し方や考え方などいろいろと共有できるきっかけにできると思います。また、子ども側の視点で観ても、過去を話すきっかけになるので、お互いを知るための会話に繋がる部分もありそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『レ・ミゼラブル』

キッズやティーンの皆さんは、本作に登場する子ども達の目線で感情移入できる部分があると思います。大人に対して抱く疑念や絶望が、自分達にどんな影響を及ぼすのか。こういう事態にならないように、皆さんの立場でできることは何なのか、そして大人にどうして欲しいのかを考えて、ぜひ身近な大人に何らかの形で伝えて欲しいと思います。本来は大人が考えるべき問題ですが、これを機に大人と意見交換してもらえれば嬉しいです。

映画『レ・ミゼラブル』

『レ・ミゼラブル』
2020年2月28日より全国公開
東北新社、STAR CHANNEL MOVIES
公式サイト

©SRAB FILMS LYLY FILMS RECTANGLE PRODUCTIONS

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ドライブ・イン・マンハッタン』クリスティ・ホール監督インタビュー 『ドライブ・イン・マンハッタン』クリスティ・ホール監督インタビュー

ダコタ・ジョンソンとショーン・ペンの2人芝居で魅せる『ドライブ・イン・マンハッタン』で監督、脚本を務めたクリスティ・ホールさんにオンラインでインタビューをさせていただきました…

映画『愛を耕すひと』マッツ・ミケルセン 愛を耕すひと【レビュー】

イダ・ジェッセンによる史実に基づく歴史小説“The Captain and Ann Barbara(英題)”を原作に…

映画『嘘喰い』白石麻衣 白石麻衣【ギャラリー/出演作一覧】

1992年8月20日生まれ。群馬県出身。

映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』来日スペシャルレッドカーペットイベント:ティモシー・シャラメ ボブ・ディランの音楽がいかに僕にインパクトを与えたかわかるはず『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』ティモシー・シャラメ来日

第97回アカデミー賞8部門にノミネートされている『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』でボブ・ディランを演じたティモシー・シャラメが来日…

映画『ロングレッグス』マイカ・モンロー 『ロングレッグス』トークイベント付き試写会 5組10名様ご招待

映画『ロングレッグス』トークイベント付き試写会 5組10名様ご招待

映画『ブルータリスト』エイドリアン・ブロディ/フェリシティ・ジョーンズ ブルータリスト【レビュー】

タイトルになっている“ブルータリスト”は「残忍な」という意味の単語ですが、“ブルータリズム”と呼ばれる建築様式にもかけて付けられていると考えられます…

映画『TATAMI』アリエンヌ・マンディ 『TATAMI』ムビチケオンライン券 3名様プレゼント

映画『TATAMI』ムビチケオンライン券 3名様プレゼント

映画『セプテンバー5』ジョン・マガロ/レオニー・ベネシュ セプテンバー5【レビュー】

ミュンヘンオリンピック開催中の1972年9月5日、パレスチナ武装組織“黒い九月”はイスラエル選手団を人質にとりました。本作は、その事件が発生してから終結するまでを中継…

映画『ディックス!! ザ・ミュージカル』ネイサン・レーン/メーガン・ムラーリー メーガン・ムラーリー【ギャラリー/出演作一覧】

1958年11月12日生まれ。アメリカ、カリフォルニア州ロサンゼルス出身。

映画『映画を愛する君へ』 ポッドキャスト【だからワタシ達は映画が好き27】2025年1月後半から2月初旬「気になる映画とオススメ映画」

2025年1月は注目して欲しい作品が多く、今回もたくさんの作品についておしゃべりしました。僭越ながらマイソンが研究している“SEL(社会性と情動の学習)と映画”というテーマにも少し触れさせていただきました。

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』トム・ホランド/ゼンデイヤ 映画好きが選ぶマーベル映画ランキング

2025年もマーベルシリーズ最新作が公開されます。そこでこれまでのマーベルシリーズも合わせて盛り上げたいということで、ランキングを実施しました。

映画『ベルヴィル・ランデブー』 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.3

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダーほか トーキョー女子映画部が選ぶ 2024年ベスト10&イイ俳優MVP

毎年恒例のこの企画では、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

REVIEW

  1. 映画『愛を耕すひと』マッツ・ミケルセン
  2. 映画『ブルータリスト』エイドリアン・ブロディ/フェリシティ・ジョーンズ
  3. 映画『セプテンバー5』ジョン・マガロ/レオニー・ベネシュ
  4. 劇場版『トリリオンゲーム』目黒蓮/佐野勇斗/今田美桜/福本莉子/吉川晃司
  5. 映画『大きな玉ねぎの下で』神尾楓珠/桜田ひより

PRESENT

  1. 映画『ロングレッグス』マイカ・モンロー
  2. 映画『TATAMI』アリエンヌ・マンディ
  3. 映画『フライト・リスク』マーク・ウォールバーグ
PAGE TOP