REVIEW

RUN/ラン【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『RUN/ラン』サラ・ポールソン/キーラ・アレン

REVIEW

複数の障害を抱え車イス生活をしている娘と、そんな娘を必死に育ててきたシングルマザー。最初はそんな関係に見えている母子の関係が物語が展開するにつれ、徐々に歪んだものだということが明らかになっていきます。日常の何気ない小さな変化から母に不信感を抱いた娘は、突然大きな不安にかられて行動を起こします。でも、娘の行動を先読みしている母は、徹底的に娘の行動を封じ込めます。物語の設定はとてもシンプルで、早い段階で母の目論見はわかります。でも、娘を大切にしている母という立場を貫く彼女の姿は、世間にはその通りに見えて、娘が周囲の人に助けを求める声がまったく届かない状況が本当に恐ろしく思えます。頭脳戦とはいえ、やはり行動が伴うので車イスの娘が圧倒的に不利なのですが、それでもめげずに試行錯誤する娘の闘いぶりに最後まで目が離せません。さらにクライマックスでは驚くべき事実が判明するだけでなく、ゾッとさせられるラストが待ちかまえています。最後の最後まで観て、改めて「怖っ!でも、ちょっと爽快」と思えるスリラーです。
娘を手放すまいと手段を選ばない母をサラ・ポールソンが見事に演じていて、自分の行為が娘への愛だと思い込んでいる狂信的な姿が本当に恐ろしいです。クロエを演じたキーラ・アレンも車イスを自由自在に操り、すごく練習したのだろうという努力が見えます。本作はほぼ二人芝居と言って良い構成になっていますが、この2人の名演によって、緊張感が途切れることなく、スリリングな展開を楽しめます。心理的な怖さのある作品が好きな方には特にオススメですよ。

デート向き映画判定

映画『RUN/ラン』サラ・ポールソン/キーラ・アレン

ここで描かれているのは親子の関係ですが、恋愛関係においてもこういう関係が知らず知らずに芽生える場合もあるかもしれません。束縛が強すぎる相手と付き合っている方は、自分達の関係にちょっと置きかえて観てしまう可能性もあるので、デートではなく、友達と観に行くか、1人でじっくり観るほうが良さそうです。円満なカップルは、単純にエンタテインメントとして楽しめるので、デートで観るのも良いと思います。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『RUN/ラン』キーラ・アレン

上映時間は90分なので、キッズやティーンの皆さんにも観やすいと思います。ホラーのような怖さではないので、その点でも身構えなくて大丈夫です。ただ、本作で描かれるような出来事は世の中に実際にあるので、身近で起こっていてもおかしくないと思うと、リアルさが増してゾッとするはずです。毒親に困っている人は友達と観て、悩みを相談してみるのも良いかもしれません。

映画『RUN/ラン』サラ・ポールソン/キーラ・アレン

『RUN/ラン』
2021年6月18日より全国公開
キノフィルムズ
公式サイト

© 2020 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

TEXT by Myson

関連記事

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

【20周年記念ボイスシネマ声優口演ライブ2025】羽佐間道夫、山寺宏一ほか 人気声優達が真剣勝負!会場が終始笑いに包まれた【20周年記念ボイスシネマ声優口演ライブ2025】本番リポート

発起人である羽佐間道夫のもと、山寺宏一、林原めぐみほか錚々たる人気声優達がズラリと顔を揃えたライブは今年で20周年を迎えました…

映画『あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。』ホン・サビン/シン・ジュヒョブ あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。【レビュー】

物語の始まりは、1995年の韓国、テグ。学校でいじめられていたドンジュン…

映画『8番出口』河内大和 河内大和【ギャラリー/出演作一覧】

1978年12月3日生まれ。山口県出身。

映画『キル・ビル Vol.2』ユマ・サーマン 俳優ファミリー特集Vol.2

親子、兄弟姉妹、親戚揃って活躍する俳優達をご紹介するシリーズ第2弾をお届けします。

映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ 『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ 3名様プレゼント

映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ 3名様プレゼント

映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』吉永小百合 てっぺんの向こうにあなたがいる【レビュー】

女性初、エベレスト登頂に成功した、登山家の田部井淳子氏による著書「人生、山あり“時々”谷あり」を原案として映画化された本作は、実話を基にしたフィクション…

ポッドキャスト:トーキョー女子映画部チャンネルアイキャッチ202509 ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】お悩み相談「映画アカウントで自分らしい距離感やペースをどう整えていけばいい?」

正式部員さんからいただいたSNSについてのお悩み相談におこたえしました。後半は…

映画『トロン:アレス』グレタ・リー グレタ・リー【ギャラリー/出演作一覧】

1983年3月7日生まれ。アメリカ生まれ。

映画『盤上の向日葵』坂口健太郎/渡辺謙 盤上の向日葵【レビュー】

“孤狼の血”シリーズの原作者としても知られるベストセラー作家、柚月裕子の同名小説を映画化した本作は…

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

AXA生命保険お金のセミナー20251106ver3 11月6日開催:トーキョー女子映画部マイソンと学ぶ【明るい未来のための将来設計とお金の基本講座】(スイーツとお飲み物付)女性限定ご招待!

本セミナーでは、「NISA・iDeCoなどの資産形成」「子どもの教育資金」「将来受け取る年金」「住宅購入・住宅ローン」「保険」など、将来に役立つお金の知識や情報、仕組みやルールについて、ファイナンシャルプランナーの先生が初めての方でもわかりやすく優しく教えてくれます。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  2. 映画『おーい、応為』長澤まさみ
  3. AXA生命保険お金のセミナー20251106ver3

REVIEW

  1. 映画『あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。』ホン・サビン/シン・ジュヒョブ
  2. 映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』吉永小百合
  3. 映画『盤上の向日葵』坂口健太郎/渡辺謙
  4. 映画『女性の休日』
  5. 映画『爆弾』山田裕貴/佐藤二朗

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP