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35年目のラブレター【レビュー】

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映画『35年目のラブレター』笑福亭鶴瓶/原田知世

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戦時中に生まれ、家庭の事情から小学校を卒業できないまま大人になった主人公と、彼を支えた妻の物語を描いた本作は、実在する西畑保氏(にしはたたもつ)と西畑晈子(きょうこ)氏の夫婦の実話をベースにしています。保(笑福亭鶴瓶)は読み書きができず、晈子(原田知世)が代わりに読み書きをしてサポートしてきました。そんななか、保は定年退職を迎え、夜間学校に通い、読み書きを学び、晈子にラブレターを書くと決意します。果たして妻へのラブレターは書けるのか。その過程が本作に描かれています。

映画『35年目のラブレター』笑福亭鶴瓶

映画公式資料によると、塚本連平監督の妻がたまたまテレビで放映された西畑保氏のドキュメンタリーを観て、その話を聞いた塚本監督が映画化したいと考え、企画が生まれたといいます。塚本監督によると、保氏は本当にポジティブでエネルギッシュな方で、映画化にも快諾し、参考資料などをすすんで提供してくれたそうです。そして、塚本監督と森谷雄プロデューサーは、保氏を演じられるのは笑福亭鶴瓶しかいない、彼がオファーを受けてくれなかったらこの映画は作らないと覚悟していたと述べています。笑福亭鶴瓶は、その期待通り、西畑保役をチャーミングに演じています。

映画『35年目のラブレター』笑福亭鶴瓶

保氏の壮絶な人生が描かれつつ、本作が幸福感に満ちあふれているのは、言うまでもなく西畑夫妻の明るさと前向きさがあるからです。関西弁で放たれるユーモアたっぷりの会話は、クスっとした笑いと、時に涙を誘います。“ラブレター”の文面も優しくて温かいです。地道に覚えた文字を駆使しして書かれた手紙にはたどたどしいところがあったとしても、とても味があり、真っ直ぐな気持ちが伝わってきます。

映画『35年目のラブレター』重岡大毅/上白石萌音

『35年目のラブレター』というタイトルから、ストーリーの展開を先読みしてしまう部分はありつつも、実は意外な展開があり、『35年目のラブレター』が意味するところは別のところにもあるとわかります。観ると本当に温かい気持ちになれる本作は、どんなことがあってもへこたれずに前に進む勇気もくれます。

デート向き映画判定

映画『35年目のラブレター』笑福亭鶴瓶/原田知世

西畑夫妻がお互いを本当に大切にしている様子がヒシヒシと伝わってきて、微笑ましく観られる作品です。本作を観るとお互いに優しい気持ちになれるので、カップルで観るのにピッタリです。涙腺を刺激される場面が何度も出てくるので、涙もろい方はハンカチを忘れずに。これを機にお互いに感謝のラブレターを書くと2人の絆も一層深まりそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『35年目のラブレター』笑福亭鶴瓶/原田知世/安田顕

保の幼少の頃も描かれていて、皆さんにも身近に感じられるシーンが出てきます。皆さんのクラスメイトの中にもいろいろな事情を抱える人がいるかもしれないという視点を持つきっかけにもなるでしょう。戦時中とは異なり、今ではほとんど人が学校に通える時代になりつつも、通えない事情があったり、進学できない事情がある人もいます。社会を知るきっかけとしても観て欲しい1作です。

映画『35年目のラブレター』笑福亭鶴瓶/原田知世/重岡大毅/上白石萌音/江口のりこ/笹野高史/安田顕

『35年目のラブレター』
2025年3月7日より全国公開
東映
公式サイト

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©2025「35年目のラブレター」製作委員会

TEXT by Myson

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